囚われのエルフ
「リオ、かかってる、罠かかってるよ!!」
「んっ、例え罠にかかっても、音が鳴る前に処理すればノーカン」
リオがそう言い張ると、顔に巻きついていた糸がバラバラになり、ハラリと地面に落ちる。
「いや、思いっきり音鳴ってたけどね!?はぁ、先が思いやられるなぁ………」
「ったく、これだから素人は困るぜ」
ガラガラガラッ
再び鳴子が音を立て、ミナトが頭を抱えながら振り返ると、そこには身体中に糸が巻き付いたデボラの姿があった。
「ふんっ!!」
デボラが気合を入れると、身体を覆っていた糸はパチンと弾け飛び、音もなく地面に吸い込まれていく。
「おしっ、気を引き締めていくぞ!!」
「えっ、サラッと無かったことにしようとしてますけど、デボラさん今かかりましたよね、罠!!」
「明らかに天丼」
「ミナト、知らねえのか?音が鳴る前に処理すればノーカンってのが、冒険者の常識だぞ」
「鳴ってましたから!!もう、本当に気を付けてくださいよ………」
ミナトは二人の前を行き、罠を見つけては丁寧に位置と回避方法を伝えながら進む。
「んっ、それにしても、2回もかかったのに敵が来ない。不思議発見」
リオの言葉通り、敵の襲来を告げる鳴子に複数回反応があったにもかかわらず、森はシンと静まり返っており、ゴブリン達が様子を見に来るような気配はない。
「ああ、ゴブリンはいい加減というかズボラと言うか………とにかく面倒くさがりなんだ。よっぽどねぐらに近い位置でもなければ、罠が少し鳴ったくらいじゃ動物でもかかっただろうと思うのか、見に来ないんだよね。例えば鳴子だと、人間くらいの背丈じゃないと罠に触れることはないから、罠の設置を指導してる立場の魔物がいればすぐに来るんだろうけど………」
「怠慢」
「そういう奴等だってことだ。まっ、人間だってあいつ等のことを馬鹿にも出来ねえけどな。傭兵をやってた頃にゃ、門の鍵を閉め忘れて滅亡した国の話やら、怪しげなバカでかい馬の置物を戦利品として持ち帰ったせいで破滅した都市の話やら、アホみたいな噂を山ほど耳にしたぜ。結局、どれだけご立派な防衛網を構築しようが、運用する奴次第じゃ宝の持ち腐れってわけだ」
「んっ、シンギフ王国の王都は12重の壁で囲んで、ひとつひとつの城門にたくさん鍵をかける。その鍵を別々の衛兵に持たせて、全部そろわないと城門を開けられないようにすれば、鉄壁」
「王都に入るのにどれだけ時間かかるの!?それに厳重にすればするほど、面倒がって手続きを勝手に省略する人が出てくるから完璧は無いよ。知恵と時間をかけて定期的に見直しをして、完璧とまではいかないものの悪くない仕組みを作っていかないとね。さぁ、今はゴブリン退治に集中しよう。そろそろ洞窟も近くなってきたから、トラップに引っかかると敵に気づかれ………」
ガラガラガラッ
「言った側から!?」
「んっ、私達じゃない。というか、遠くから聞こえた」
「哨戒中の間抜けなゴブリンが自分達の仕掛けた罠に引っかかんじゃねえか?」
ガラガラガラッ、ガラガラガラッ
バキンッ
グォン
「なによ、これ!!キャーーーーーーーッ!!!!」
耳をそばだてるミナト達の鼓膜を絹を裂くような悲鳴が震わす。
「あんた達何者!?私をどうするつもりよ!!キャーーーーー誰か、誰か助けて!!!!!」
「どうやらオレら以外にもお客さんがいたらしいな、それも相当間抜けな」
「んっ、明らかにアホ」
「………行こうか」
ミナトが足を速め、声をした方角に一直線に駆け付けると、数分もしないうちに森が途切れ、開けた場所に出る。
昼なお暗い鬱蒼とした森のなかで、まるで切り抜かれたかのように光が差すその場所でミナト達が目にしたものは、罠にかかりピンク色の長い髪を逆さに揺らしながら吊り下げられているエルフの少女と、それを取り囲むゴブリンの姿だった。
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基本毎日投稿する予定ですので、完結までお付き合い頂ければ幸いです。
ピンク髪エルフちゃんの画像、個人的には大好きなので早く載せたいです




