聖槍ゴブホリボルグ
「リオ、それって………」
ミナトは先をツンツンとつつくリオに、恐る恐る問いかける。
「テレレレテッテレー、聖槍ゴブホリボルグ〜(裏声)」
「いや、それ破鎚イドホリボルグだよね!?」
「違う、聖槍ゴブホリボルグ。先端の丸いとこが気持ち大きい」
「いや、そんな小指の角度が違えば別の技みたいなプロレス的なルール皆んな知らないからね!?でも、それをどうやって使う気………まさかっ!?」
ミナトが何かに気づいたような反応を示すと、リオはいつも通りの無表情でコクリと頷く。
「掘る。片っ端から。ゴブリンを。『ゴブリンを掘る者』ゴブリンホレイヤーの称号をミナトが得るまで」
「ネーミングが最悪すぎる!!むしろ蔑称だよ!!あと、サラッとボクに責任押し付けようとするのやめてね!?」
「んっ、ミナト、遊んでる場合じゃない。一刻も早くゴブリンを倒して村を救う。使命を忘れちゃダメ」
「うっ、正論………リオ頼んだよ」
「んっ、ゴブリンを掘り尽くす」
言うや否やリオの影は夕闇に溶け、1匹のゴブリンの背後に回り込む。
「んっ、まず1匹」
突然後ろから響いた声にゴブリンが振り返ると、リオはツンとほんの少しだけゴブホリボルグの先端をゴブリンに触れさせる。
「なんで、隙をついたのに思い切り殴らないんだ!?」
「大丈夫、見てて………」
ミナトはエッダの疑問を手で制し、これから起こるであろう惨劇から守るように前に歩み出る。
「ギャ………ギャウ?………ガッ………グアッッッ!!!」
ゴブリンの中で自分はなにをされたのかという疑問が膨らみ、次いで身体が膨らみ、そして頭が膨らみ、ゴブリンの小さな肉体が空気を入れすぎた風船のようになり、とうとう勢いよく爆ぜた。
ピチャリ
エッダの頬に何かが飛び散る。
あまりの出来事に脳が目の前で起こった惨劇の理解を放棄するが、ズルリと口元まで滑り落ちた肉片の鉄臭い味により、エッダは現実に引き戻された。
「えっ………ひあぁぁぁあ!!!!」
肺の空気を全て吐き出さんばかりの悲鳴。
「なに?エッダお姉ちゃん、どうしたの!?」
エッダの悲壮な叫びを聞き、一人の少女が固く閉じられた窓を開け、泣きそうな顔で外の様子を窺う。
ピチャッ
エッダの安否を確認しようと、決死の覚悟で自らの身を守る唯一の防壁を放棄した少女の視界に飛び込んできたのは、薄皮一枚まで膨れた異様なゴブリンの姿と、それが破裂し頭部であった部分から撒き散らされたピンク色の脳漿であった。
「………イッ………イヤアァァァォアアアッッッ!!!」
絶叫。
細胞の全てから酸素を吐き出すかのような絶叫。
いたいけな少女の魂からの叫びに、閉ざされていた窓や扉が次々と開き、同様の惨劇が繰り返される。
頭部が異様に膨れ上がったゴブリンが助けを求めるように走り回り、次の瞬間には肉片へと変化していく。地獄絵図としか言いようのない光景が、村人の記憶に深く刻み込まれていく。
「リオ!!リオッ!?グロすぎる!!グロすぎるよっ!!」
「んっ、これ位しないとトラウマにならない」
「ゴブリンにトラウマを植えつける前に、村に人達のSAN値がゴリゴリ削れてるから!!」
「現代っ子はひ弱。魚とか刺身の状態で泳いでると思ってるタイプ。もっと虫とか触るべき。現代社会の闇」
「この光景の方が遥かに闇が深いからね!?魚とか虫で得られる耐性なんて秒で貫通するから!!」
「んっ、仕方ない。エンタメ性をプラスしてSAN値回復」
リオはそう言うと、逃げ遅れたホブゴブリンの手の甲を数回に分けてつつく。
仲間の末路を目にしてきたホブゴブリンは、肉体の内部から込み上げてくる死の恐怖から逃れるように村の外へと逃亡を図るが、そのつま先が壊れた柵を乗り越えようとした刹那、足先がプクリと膨れ上がり爆ぜる。
「ゴアァァァォアアア!!アッ、アッ………アーッ!!!」
足先の次はふくらはぎ、続いて肩、痛みに悶える暇もなく掌、そして顎、最後に心臓。
時間差で様々な規模の小爆発が起こり、徐々に肉塊へと変っていくかつての強者のなれの果てに、外に控えるゴブリン達は情けない慟哭だけを残し、四散した。
「テッテレー、大成功」
少しだけ嬉しそうに頬を紅潮させるリオの前には、肉体の一部が欠けた無数の死体が散らばっていた。
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基本毎日投稿する予定ですので、完結までお付き合い頂ければ幸いです。
ゴブリン掘る者………人気出そうなタイトルですね




