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異世界ハーレムは義務です~0からはじめる建国物語~  作者: 碧い月


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盗み聞き

「お〜い、飲んでるかぁっ!?」


 ギルド内の酒場でリオと共にミナトの帰りを待つアルベラの肩に、分厚く硬い掌がズシリと圧し掛かる。常人の倍はありそうな口からは絶え間なく濃厚な酒気を帯びた息が吐き出され、2人は思わず鼻を覆った。


「あ?ミナトはどうした、ミナトは!?」


「お使いに出てる給仕の子を呼びに行ったって聞いたわ、貴方から。はぁ、酔っ払いはこれだから嫌ね」


「おおっ?おおっ!!そうか、そうだったな、そりゃそうだ。それにしても遅えな!!二人でどっかにしけ込んでじゃねえか!?か〜、ミナトも可愛い顔してやるときゃやるなあ!!なあ、おいっ!!」


「んっ、究極メンドイ」


「同感ね。早くミナト帰ってこないかしら。………ところで一応聞いておくけど、さっきから何やってるの?」


 アルベラはテーブルの上に謎の装置を広げているリオに、呆れ顔で問いかける。2つのつまみの付いた小さな箱からは、アンテナのような細い長い金属製の棒が突き出ており、リオは仕組みを理解しているのかしていないのか、しきりに首を傾げながら箱を叩いては棒の角度を調整している。


「何それ?またトンチキな魔具?」


「超希少発信機&盗聴器『ナンデモワカール2号』」


「ハッシンキ?トウチョウキ?何に使う道具なのよ」


「これでミナトの位置が分かる。ついでにミナトの周りの音も聞ける」


「サラッと犯罪告白するのやめて貰える?」


「大丈夫、ミナトは私を信頼してるし、私もミナトを信頼してる。つまり、何をやってもノーカン。問題ない。むしろ推奨されてると思っていい」


「………今のうちに信頼の定義を書き換えておいた方が良いわよ」


 どこか誇らしげに胸を張るリオに対し、アルベラは深いため息をつく。


「おい、話は聞いたぞ、嬢ちゃんっ!!まさか、その妙ちくりんな魔具でミナトとアルシェの会話を盗み聞きしようってんじゃないだろうな!?」


「ダメ?」


「最っ高に面白えじゃねえかっ!!オレにも聞かせなっ!!」


「なにココ、倫理観終わってる人間しかいないの?罪を重ねることに迷いが無くて怖いわ」


「なんだぁ、お前は聞かないのか?」


「聞くに決まってるじゃない、面白そうだし」


「んっ、静かに、何か話してる」


 3人は装置から漏れ聞こえる微かな音に、懸命に耳を傾ける。


『………綺麗事です………理想論に過ぎません………私には出来ません………』


 少女の声。

 弱々しく、どこか投げやりなその口調には、何かを諦めたような響きがあった。


「なんか揉めてねえか。痴話喧嘩か!?」


「五月蠅いわね。聞こえないでしょ、静かにしなさい」


『………出来るよ。だって、アルシェはボクを救ってくれんだから』


『なんの話をされているのか理解できません』


『ボクがカラムーンに来た時、この国の事も冒険者の事も………どうやって生きて行けばいいのかすら分からなくて、途方に暮れてた。何も分からないまま、でも何かやらなきゃって思いだけでギルドの扉を開けて………子ども同然のボクがからかわれるなか、同い年くらいの小さな女の子が声をかけてくれたんだ』


「アルシェだな、間違いねえ!!」


「話の流れ的にそうに決まってるでしょ。これで違う女の話してたらサイコパスよ」


「ワンチャン、私の話の可能性」


 2人はリオのアピールを丁重に無視し、装置に顔を近づける。


『物珍しかっただけです。子どもなんて私以外いませんでしたから』


『それでもボクは嬉しかったんだ。アルシェが話を聞いてくれるから、お金もないのに毎日通って。せめて働けって怒られて、一緒に給仕をしてた時もあったよね』


『楽をしたかっただけです。今でもミナト様には冒険者よりも、給仕のほうが合ってると思っています』


「………なんか良い雰囲気じゃない?」


「んっ、勧誘タイム。巧みな話術で沼に引きずり込もうとしてる。ガールズハントの基本。流石ミナト」


「本当に褒めてる?方向性間違ってない?」


「しっ、なんか面白えこと言いそうだぞ!!」


 3人は再び耳を澄ませた。

面白かった、これからも読みたい、AI先生による絵が可愛いと思った方は是非、☆評価、ブックマーク、感想等をお願いいたします!!

基本毎日投稿する予定ですので、完結までお付き合い頂ければ幸いです。


中途半端ですがここで次回に続きます。

ちなみに、私もこの場にいたら一緒に聞く派の人間です。

でも、盗聴ダメ、絶対!!

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