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異世界ハーレムは義務です~0からはじめる建国物語~  作者: 碧い月


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機械人形

「神の炎のおかげでこざっぱりしたわね。少しだけ男ぶりが増したんじゃない?心根も綺麗になってるなら、そろそろお引き取り願いたいんだけど」


 アルベラは指先に血の雫をたっぷりと溜め、レーベから距離を取りつつ語りかける。


「君のような美女に褒められて悪い気はしないけど、見え透いたハニートラップには惹かれないたちなんだ。僕には『真実の美』に至るという崇高な目的があるからね。些事にとらわれるわけにはいかない」


 レーベは服についた埃を払うように神炎の残り火を掻き消すと、真新しい洋服に袖を通したような晴々とした表情をアルベラに向ける。


「冥王の大鎌はどうしたんだい?肉体は不完全だとしても、アレはこの世界とは異なる場所に実在するものだ。そして、君だけにコチラの世界に持ち運べる権限が与えられている。六大魔公という奴は何かと特権が多いね、羨ましいよ」


「物欲しそうにしているところ申し訳ないけど、あれは子どものオモチャじゃないの。こんな遊びのために軽々しく出すわけにはいかないわ」


 明白な挑発にレーベは儀礼的に笑みを浮かべる。


「遊びでなくなれば見られるって事だね。ヒントをありがとう。では君の番も終わったようだし、今度は僕が力を披露するよ。六大魔公に満足して貰えるかは分からないけれど、楽しんでくれ。あぁ、そうだ、その子どもがいてはお互い気が散るだろう。君の立場も理解しているつもりだ、攻撃したりしないから、簡単な防壁で囲んで寝かしておくといい」


「親切にどうも、お心遣い痛み入るわ」


 アルベラはテオを地面に寝かすと、ポトリと血を一滴地面に垂らす。

 すると、先程レーベを捉えた物と同じ茨が地面から現れ、ちょうど中に一人入れるほどの空間を有したワイングラスのような形を作り上げ、そのままテオを包み込む。


「まずは僕も魔法を使えるところを思い出して貰おう。『人形召喚ドールコール』」


 レーベは肩から鋲を十ほど抜くと、親指の爪でそれを空高く弾き、息を吹きかける。

 すると鋲は急速に膨れ上がり、地面に降り立つまでに甲冑を着込んだ騎士を思わせる姿へと変貌し、それぞれが剣や槍、弓を手に立ち上がる。


「良い年してお人形遊びは女ウケが良くないわよ」


「騎士ごっこと言ってくれよ。女性には些か理解し難い感情かもしれないけれど、男なら幼い時に誰もが捕まえた虫を戦い合わせるものさ。自分が作り上げた軍団が敵を圧倒する、君も大好きだろう?」


「嫌いではないのが腹が立つわねッ!!」


 2人の会話が終わるのを待つことなく、十体の命なき騎士が一斉に襲いかかる。

 アルベラはその剣戟をバックステップで軽やかにかわすと、肌から流れる血を掌に集め、真紅の槍を生成する。


鮮血投槍ブラッディーランス


 詠唱と共に放たれた数多の投槍は容易く鋼の鎧を貫き、鋲により作られた仮初の生命を半数以上刈り取る。


「流石だね、ただ数体撃ち漏らしがあるようだけれど、大丈夫かい?」


「相変わらず心配症なのね、ストレスは肌に悪いわよ」


 アルベラが再び指をパチリと弾くと、深々と突き刺さっていた鮮血投槍ブラッディーランスが勢いよく飛散し、小さな礫となり残る鎧を瞬時にしてガラクタへと変える。


「ふふ、美しい花火だ。流石にこの程度の人形では幻体の君相手でも傷一つつけられないんだね。久しぶりに本気を出す相手が同胞だというのは少々心苦しいけれど、世間の評判では君の方が格上だろうしね。胸を借りるよ」


 レーベの周囲を黒い揺らぎが覆う。

 すると漆黒の境界より生み出された虚空から、レーベの背丈の数倍はあろうかという、骨組みだけの巨大な機械人形オートマターが現れた。


 血も肉も持たないその空虚な人形は、主人の真似をするようにあるはずのない口角を歪めた。

面白かった、これからも読みたい、AI先生による絵が可愛いと思った方は是非、☆評価、ブックマーク、感想等をお願いいたします!!

基本毎日投稿する予定ですので、完結までお付き合い頂ければ幸いです。

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