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異世界ハーレムは義務です~0からはじめる建国物語~  作者: 碧い月


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城勝負

「んっ、ということで城を作ることになった」


「ごめんなさい、まったく話が見えてこないんだけど」


 王都の一角に設けられたアルベラの天幕に、蝋燭の炎で照らされた二人の姿が影絵のように映し出される。既に日が落ちてから数時間が経ち仮説の酒場も店じまいとなり、辺りは静寂に包まれている。


 リオは政務をすすめるアルベラに事の顛末をかいつまんで説明するが、かいつまんではいけない部分まで大胆にカットしたため、アルベラの頭上ではクエスチョンマークが腕を組んでマイムマイムを踊っていた。


「城を作ればミナトの勝ち」


「勝利条件は分かったわ。後はどうして城を作ることになったのかが分かれば完璧ね」


「んっ、そこは察して欲しいとこ」


「アタシが読心術もってる前提で話を進めるのやめてくれない?経緯が分からないなら、可愛らしい砂のお城でも作って、はいっ完成って雑に終わらせるわよ。ハリーアップ」


 アルベラに急かされたリオは一切表情を変えることなく頬だけをハムスターのように膨らませ、やがてポツポツと事情を語り始めた。






「ふっ、まさか君が噂のミナト陛下だったなんてねえ。恩人相手に素性を隠すなんて、人が悪いじゃない」


「んっ、強引に仕切り直した」


「エランさん、ボクは貴方と争いたくない。シンギフ王国は弱き者を守るために作った国です。この国の歴史書に貴方の血でページを増やしたくはありません」


「カッコいいっぽいセリフ、ただし内容は麩菓子並みにスカスカ」


「もし、それでもボクと争うと言うのであれば、理由を聞かせてください」


「仕切り直しセカンド」


「ミナト陛下、とぼけるのもいい加減にして欲しいじゃない。俺の婚約者、クルブレール侯………ジェベル王国第一王女シャルロッテ殿下を奪おうというのなら、後は命のやり取りしか残ってないさ」


「んっ、読者に寄り添った説明口調ナイス」


「誤解です………ですが、今の貴方には何を言っても無駄なんでしょうね」


「潔く罪を認めるのかい?」


「いえ………決闘以外の方法で貴方と勝負し、ボクが勝ったらボクの話を信じてくれませんか」


「まさかの急展開」


「決闘以外の方法で?はんっ、いったい何の勝負をするって言うんだ。王都にすらまともな屋敷を建てられないような国、俺を驚かせられるような物があるとは思えないね」


「流れ変わった。料理勝負が始まりそうな勢い。多分後攻が勝つ」


「貴方を驚かせるような物を見せられれば、納得して引き下がってくれるんですね」


「読者に寄り添った勝利条件説明ナイス。しかも、この流れは確実に料理漫画の文脈。料理が美味しければ全てが解決する優しい世界の予感」


「ああ………例えばラージバル家の本城よりも立派な王城を1日で建てられたなら、負けを認めようじゃない」


「料理勝負じゃなかった。城勝負だった。建築勝負とか絶対アンケート不評なやつ。打ち切り不可避」


「分かりました。明日の夜、もう一度ここに来てください。本物の城をお見せしますよ」


「グート!!楽しみじゃない、尻尾を巻いて逃げないでくれよ」






「んっ、だいたいこんな感じ」


「一応念のため書いて確認しておくけど、貴方の言葉って回想をわかりやすくするためのものじゃなくて、実際に二人の会話に割り込んでたわけ?」


「イグザクトリー」


「その上で、アタシに一言一句報告してくれたの?」


「プレサイスリー」


 親指をグッと立て満足げなリオの姿に、アルベラは身体中の酸素をため息として吐き出す。


「………アタシ以外にこの話をする時は、ミナトの名誉のためにもカッコいいとこだけダイジェストにしてあげて。それで説明して貰っておいてなんだけど、城の下りについては更に理解できなくなったんだけど」


「料理勝負の流れじゃなかったか〜、城勝負の流れだったか〜」


「その棒読みなんなの?貴方の故郷だと何かにつけて料理で決着をつける風習があったわけ??それはまだ理解出来るとして、城勝負ってなに???決闘代わりにいちいち城作ってるの????そこらじゅう城だらけなわけ?????」


「細かい事はともかく、明日までに城を作らないとミナトの負け。だけど、ミナトは不敗、ミナトは無敵。だから城よろしく」


 疑問がダース単位で大量生産されるなか、リオから城づくりという難題を丸投げされたアルベラは、積みあがった書類に顔を埋め、再び地を這うようなため息をついた。

面白かった、これからも読みたい、AI先生による絵が可愛いと思った方は是非、☆評価、ブックマーク、感想等をお願いいたします!!

基本毎日投稿する予定ですので、完結までお付き合い頂ければ幸いです。

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