魔槍ヌゥンヌニゥル
予約投稿の日時を間違えたため昨日夜に同じエピソード見た方もいると思われますが、見なかったことにしてやってください………
「ダンケ!!ふうっ、旨い酒、旨い肉、雄大な自然、美しい女性。地上の楽園と聞いていたが、噂は本当だったじゃない。最高だねえ」
すっかり日が落ち、空が星々の輝きに覆われるなか、王都の一角はいまだ陽性の熱気に満ちていた。
粗末なテーブルに木箱を裏返しただけの椅子。
隔離されたように設けられた仮説の酒場は、周りをぐるりと篝火に囲まれ、十分にお互いの顔を認識できるほど明るい。
「ははっ、そう言って貰えると嬉しいです。先程は本当にありがとうございました。貴方がいらっしゃらなかったら、どうなっていたか………」
「構わないさ。英雄は颯爽と人助けをし、旨い飯を旨そうに食い、嫌というほど女性にモテる、そういうものだろ?それよりも、一度共に戦った仲だ。いかに俺が大陸中にその名が轟く武門の名家、ラージバル伯爵家を継ぐ者だからって遠慮されると寂しいじゃない。気軽にエランと呼んでくれ」
「はい、エランさん。えっと、キミはテオ君だよね。よろしくね」
「あっ、も、勿体ないです、僕なんかに」
ミナトがエランの隣にいる自分よりも年若い少年に手を差し出すと、テオと呼ばれる可愛らしい容姿をした従者は小さな身体を一層縮こまらせた。
城外で子どもを助けたミナトとリオは、そこで出会った謎の騎士エランとその従者テオと共に王都に戻っていた。
道中エランはひたすらリオの美しさを褒め称え、ミナトに対しては名を名乗る程度であったため、実のところ今のいままでエランとテオが何者かという事は分かっていなかったのだが、リオが食事や酒を取りに席を外したおかげで、ようやくまともに話が出来るようになり二人の出自が判明したのだ。
(ラージバル伯爵家………ジェベル王国でも高名な北部貴族の雄。その御曹司がシンギフ王国にどんな用があったんだろう)
「んっ、追加のお酒と肉、肉、あと肉。ありがたく食べるといい。酔い潰れてさっさと寝るとなお良し」
リオが両手一杯に抱えたジョッキや食事を乱雑にテーブルに置いていく。
「プリマ!!女神すら嫉妬させる美貌だけでなく気立てまで良いなんて、君に会えただけでもこの国に来た甲斐があるってものだな!!」
「ミナト、寒気がする」
「あぁ、ちょっと冷えてきたからね。リオもスープ飲んで温まるといいよ」
ミナトがリオにスープ皿を差し出すと、リオは真顔のままぷくりと頬を膨らませる。
「しかし、勘違いして申し訳なかったねえ。アレが君達の作戦だとは気づかず、てっきり外で青・春・してたかと思ってしまったよ」
エランは闇夜にほのかに光る金の髪をかき上げ、苦笑する。
「シンプルに表現がキモい。プラス凄まじいセクハラ。メチャクチャねっとりした視線で見られた。ダブルにキモい」
「手厳しいねえ、そんな所も素敵だけどね」
ミナトは普段感情を見せないリオの瞳に明確な嫌悪の炎が燃え盛っていることに気づき、息を飲む。
(自分から脱いだとは言ってもあくまでアレはゴブリンの注意を逸らすための作戦だったわけだし、際どい格好見られたから怒ってるのかな………なんとか話題を変えないと………そうだ!!)
「それにしても、エランさんの一撃は凄かったです。あれは魔法の槍ですよね?」
ミナトは話の流れを変えるとともに、自らの疑問を解決する一石二鳥の質問を捻り出す。
「やっぱり分かっちゃうかい?見てくれ、この輝きを!!これこそラージバル伯爵家に代々伝わる『魔槍ヌゥンヌニゥル』さ」
「魔槍ヌゥンヌニゥル!?」
「死ぬほど発音しにくい件」
「そこが良いんじゃない。一度聞けば忘れられないってのが重要だよ。英雄には伝説の武器が付き物だろ、例えば六大魔公の一柱、不死公『常闇のダムド』をも退けたと言われるデュゼルの剣とかねえ………」
エランはニヤリと笑い、鋭い眼光でミナトを真正面から見据えた。
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