ミナトのプライド
「あっ、ひょっとして………そういう感じ?」
不意にレティが何かを察したのか、気まずそうにミナトに問いかける。
その表情には微かに「やってしまった」という焦りの色が見え隠れし、自らの過ちを悔いているようでもあった。
「うん、分かってくれたかな。自分達の慣習を押し付けるようで気が引けるんだけど、こういう性的なアレコレはあんまり大っぴらにするものではないから………」
「ミナト、自分のモノが届かないかもって心配してるのね」
レティは親指と人差し指を広げ、顔を赤らめながら2つの指先の距離を縮めていく。
そう、まるで両の指が示す距離が、何かを暗示するように。
「はい?」
「聞いたことあるんだ、私たちブレニムの民は人間相手だと、その………コンパクトな感じな人だと長さが足りないことがあるって。ごめんね、恥をかかせちゃって」
レティが申し訳なさそうにペコリと頭を下げる。
しかし、時と場合によっては、謝罪は何よりも強烈な煽りとなることを、純粋な心を持つがゆえにレティは知らなかった。
「えっ(笑)なになに(笑)そういう心配?(笑)それなら全然問題ないよ(笑)ああ、小柄だからイメージ的にね(笑)わかるわかる(笑)でもさ、御懸念無用というか、平気だからね(笑)どっちかと言うと、オーバーサイズ気味だって言われやすい方だしさ(笑)ホント、気にしないで(笑)」
ミナトは満面の笑みと余裕のある口調で、レティの謝罪を全面的に受け入れる。
「私の旦那が必死すぎる件について。余裕さを演出しようとしすぎて一周回ってサイコ味ある」
「漢には決して引けぬ時があるのだ」
「んっ、恐らく今ではない」
ミナトの弁明にも似た言葉にレティは自身の太もも触りながら少し考え、やがて一つの結論に至り口を開く。
「長さ的に足りるなら、なんの問題もないよね。じゃあ、もう夜も遅いし、早く始めちゃおう」
「んっ、当然の流れ」
(しまった!!」
レティの発言にミナトは思わず頭を抱える。
(不味い、このままじゃ極めて不名誉な形で◯◯◯してしまう!!バイムトは悟りを開いたみたいな表情してるし、リオはむしろ推進派。自分自身でこの窮地を乗り切らないと。何か手立てはないのか………そうだ、レティはブレニムの民としての義務感からボクと◯◯◯しようとしてるんだ。それなら族長の娘としてではない、レティ自身の感情に呼びかければ………ずっと幼馴染の二人には恋愛感情があるはずだ、これならすべて丸く収まる!!)
「………レティ、無理してるよね。レティの立場はわかる。その立場に応じた責任を感じていることも。一族を思いやる気持ちが今に繋がっているってことも。だけど、ボクはもっと皆に自分自身の気持ちを大事にして欲しいんだ。シンギフ王国はそういう国であって欲しい………レティ、ボクの他に好きな相手がいるでしょ?」
「………気づいてた?」
レティは僅かに俯き、ミナトから視線を逸らした。
「うん」
「ダメなんだ、身分も立場も違うから」
振り絞るようなレティの声に、バイムトは奥歯を噛みしめる。
「ボクはまだブレニムの民のことを全て知っているわけじゃない。一族の歴史や掟、連綿と受け継がれてきた想い、それをすぐに捨て去ることが出来ないことはわかる。だけど、今を生きる若い力が変えていけることだってあると思うんだ。一族のために自分を犠牲にするのではなく、自分も、一族の繁栄も、その両方を取る欲張りなやり方だって見つけられるはずだよ」
「ミナト………」
「だから、責任感に駆られてボクと………そういうことをしなくても大丈夫だよ。もっと自分の気持ちに素直になって」
「自分の気持ちに?」
レティは潤んだ瞳でバイムトを見つめる。
バイムトは僅かに頷き、そっと肩を抱き寄せた。
「ありがとう、私ようやく素直になれる。自分の本当に気持ちを大事に出来る」
ミナトはレティの言葉に穏やかな微笑みで応える。
「私、やっぱりロイエ様が好き!!」
「……………へっ??」
ロイエ、その単語が誰のことを指すのか、ミナトは瞬時には理解できなかった。
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