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異世界ハーレムは義務です~0からはじめる建国物語~  作者: 碧い月


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古き頁を破り捨て

「王よ、まずはこの度の我らの所業について、族長して謝罪させて欲しい。また、親として娘の意を汲み、客として遇してくれたこと感謝する」


 マームードが膝を折り深々と頭を下げると、すべてのブレニムの民がそれに倣う。


「頭を上げてください」


 ミナトに促され、マームードが四本の脚で大地を踏み締める。


「ゼダーンの都市長に会い、街道沿いで何が起こっているかは聞いています。同時にボクが知ることのない、人と亜人の数え切れないほどの争いの歴史も皆さんの記憶から消すことはできないと思います。ですが大事なのは過去に何があったかではなく、未来に向けて何を出来るかだと思っています。シンギフ王国とブレニムの民で手を携え、新しい歴史を作れないでしょうか」


「新しい歴史か………時代は変わりつつある。我らも古き頁を破り捨て、未来に生きる時が来たのかもしれないな………」


 ミナトとマームードが共に手を差し出し、硬く手を握り合う。


「んっ、さっきから会話がふわっふわ。最近のポテチより内容量少ない」


「お父さんもとりあえずカッコつけるのやめてよね。後先考えずに雰囲気で喋りすぎ」


 リオとレティは、そんな二人のやり取りに冷ややかな視線を投げかける。


「いや、いまは何となく一緒に協力しよう的な所に着地すればいいから、こんな感じで正解だと思うよ!?それに皆んながいない所でボクが細かいこと決めちゃうと、後からなんでこんな条件で折り合ったんだって失望されそうで怖いし………」


「そうだよ、レティ、こういうのは方向性を決めるのが一番大事なんだ。シンギフ王国とブレニムの民が友人関係になるってことが重要だから」


 ミナトとマームードは同時に言い訳をし、お互いを労るように笑みを浮かべた。


「もし宜しければ、ボクの天幕でこれからの事を話し合いませんか」


 マームードは大きく頷き、レティとバイムトを伴い城門をくぐった。





「なるほど、確かにこれは壮観だ」


 天幕に入ったケンタウロスの長は、居並ぶ重臣を見て感嘆の声をあげる。

 ブレニムの民以外には旅の商人や僅かに訪れる他の亜人しか見かけない彼らの居住地と異なり、多種多様な種族から構成される王国の姿がこの天幕の中にいるだけで実感できたのだ。


「とは言っても、国民のほとんどはジェベル王国で暮らしていた人間なので、色んな種族がいるのはボクの周りだけなんですけどね。ボク自身知識が豊富なわけじゃないので、国境沿いの部族について教えて貰えると嬉しいです。ところで、レティとバイムトさん以外の方は大丈夫ですか。少し狭くはありますが、あと数人なら同席頂いても大丈夫ですが」


「構わない。年寄り連中を連れてくると無駄に話が長くなる。レティはいずれ族長を継ぎ、バイムトはそれを補佐する。未来の話をするのであれば、二人がいれば良い」


「わかりました、それでは互いの未来のための話し合いを始めましょう」


 ミナトはごく簡単に互いの紹介を済ませると、テーブルに一枚の地図を広げる。


「これが国境沿いの詳細な地図になります。ジェベル王国から貰ったものなので、都市の名前はジェベル時代のままですが、概ねカラムーン以北が丸々シンギフ王国になったと思ってください」


 マームードは初めて目にするであろう詳細な地図を前に『ほぅ』と声を漏らし、カロ、ゼダーン、そしてフォルティノ街道を指でなぞり、その位置関係からおおよその場所を割り出していく。


「我らブレニムの民の居住地は恐らくこの辺りだろう。鳥翼種は山脈沿いに点在している。湖沼の近くには………」


 マームードは自らが知る情報を地図に照らし合わせ説明し、ギルドの業務で報告内容を図上に落とし込む作業に慣れているアルシェが、模写した地図に注釈を入れていく。


「そして、我らブレニムの民の後背に位置するのが『ベスティア』と称する、肉食獣の脚を持つ好戦的な部族だ」


 マームードはそう言い地図上の一点を指さすと、強く奥歯を噛みしめた。

面白かった、これからも読みたい、AI先生による絵が可愛いと思った方は是非、☆評価、ブックマーク、感想等をお願いいたします!!

基本毎日投稿する予定ですので、完結までお付き合い頂ければ幸いです。

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