表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ハーレムは義務です~0からはじめる建国物語~  作者: 碧い月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

149/344

駆逐

「はぁぁぁぁぁあ、緊張した〜〜〜〜〜。アルベラのフォローが無かったら期日も決めずに帰るところだったよ、ありがとう」


 ゼダーンからの帰路、ミナトは都市長との交渉を思い返しながら、胸に溜めていた漠然とした不安を吐き出す。


「礼を言われるような程の事ではないわ。協議内容について正式な書面に残すよう提案したのはミナトなんだから、もっと自信を持ったほうがいいんじゃない。アタシのはちょっとしたおまじない程度のな意味合いしかないしね。皇帝の都合が悪いと言えば、会談なんてどれだけでも延期できるんだから。それより、まずは交渉の成功を祝いましょう」


「んっ、大戦果。欲しい物を何でも好きなだけくれるとか、大盤振る舞い。掘らなくて良かった」


 リオは手土産として受け取った荷をパンパンと叩きながら頬を紅潮させる。

 好きなだけという言葉が比喩であることは明らかだが、一国の王相手に口にした契約であることもまた事実である。

 ゼダーンを財政を破産させるような無茶な要求は出来なくとも、それ相応の対価を求める根拠となることは間違いないだろう。


「それにしても、ミナトの狙いが交易だけじゃないなんて知らなかったわ。皇帝との対等な立場での会談を要求するなんて、惚れ直しちゃった」


「ちょっと国としての規模は違うけど、国のトップであることは変わらないもの、対等で当然よ。会談には私も宰相兼魔法尚書として同席してあげるから、大舟に乗ったつもりで任せなさい」


 エルムは宰相という部分を強調するように言ってから、チラリとアルベラの様子を窺う。

 しかし、アルベラは自称政敵の動向に注意を払うことなく、ただミナトだけを見つめている。


「ははっ、その時は頼むよ。でも、相手に無茶な期日を提示されたから、こっちも何か反撃しなきゃと思って絶対無理だろうってお願いをしてみたんだけど、意外といけちゃうものなんだね」


 前髪を触りながらサラリと爆弾発言をするミナトに、一同は呆気にとられたようにポカンと口を空ける。


「まさか何の戦略も目的もなしに皇帝との会談を要求したの?アタシはてっきりお姫様と相談した上で事前に用意した作戦だと思ってたんだけど………ひょっとして皇帝と会って話す内容も今から考えるつもり?」


「ごめん、ついノリと勢いで………」


 ミナトはバツが悪そうな顔で頭を掻く。


「ミナト、貴方って相変わらず慎重なのか大胆なのか分からないわね」


「んっ、凡人には出来ない事を平然とやってのける。これこそ王の器」


「ふんっ、あんな無礼な奴ら、適当にかますくらいでちょうどいいのよ。それで亜人達はどうするつもり?街道沿いを魔法で片っ端から焼き払って、盗賊紛いのことをしたらどんな未来が待ち受けてるか示してあげる?」


 エルムは何気なく『片っ端から焼き払う』という不穏すぎるワードを口にする。


「んっ、生温い。サーチ&デストロイ。1週間もあれば駆逐できる」


「悪くはないけど、もっと効率よくやる必要があるわ。こうしましょう。隊商のふりをして亜人を誘き寄せて、適度に交戦して死なない程度に傷を負わせるの。そうすれば襲ってきた奴らは本拠地に戻らざるを得ないでしょ。あとは後をつけて、一つずつねぐらを潰していくだけでいいわ。魔物と違って最低限の文明を持っているから本拠地を特定しやすいし、仲間意識も強いって聞くから簡単に駆除できるはずよ」


「いやいやいやいや、『サーチ&デストロイ』とか『駆逐』とか『駆除』とか出てくる単語が人に対する者じゃないんだけど!?」


「友好的な種族ならともかく、隊商を襲うような亜人は魔物と変わらないでしょ?時間もないし、将来的の禍根を断つためにも徹底的に駆除したほうが周辺各国のためだと思うけど」


「珍しく同意見。アジホルボルグが掘る相手を求めてる」


「ダメだからね!?掘っちゃダメだから!!とにかく、いきなり殺すようなことは認めないよ、これは王令だからね!!」


 王令という言葉に3人は渋々口を閉じる。


「だけど、殺すつもりがないなら、どうやって交易路を確保するつもり?話し合いで解決を図るような時間はないと思うけど」


「それは………」


 子が親に秘密を打ち明けるようにミナトが耳打ちをすると、アルベラは僅かに眉間に皺を寄せ、そして反論を諦めたのか深いため息をついた。

面白かった、これからも読みたい、AI先生による絵が可愛いと思った方は是非、☆評価、ブックマーク、感想等をお願いいたします!!

基本毎日投稿する予定ですので、完結までお付き合い頂ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ