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異世界ハーレムは義務です~0からはじめる建国物語~  作者: 碧い月


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一代貴族

「一代子爵ってのは帝国が採用している一代貴族制に基づく爵位よ」


「爵位?」


 リオが首を傾ける。


「そっちは知っときなさいよ!!知っての通り、貴族は上から公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、準男爵、騎士爵って分かれていて、基本的には世襲だから平民が貴族になることはほぼ不可能よ。もちろん抜群の功績を上げて、新しく爵位を与えられる場合もあるけど、一度与えたら嫡子が途絶えるまでほぼ永続的に続く特権である爵位をポンポンあげるわけにもいかないでしょ?」


「際限なく貴族が増えちゃうし、それに付随する土地も王領から削られていくわけだもんね」


 ミナトはエルムの説明にふむふむと頷く。

 希少性とはたとえ特権が付与されていなくても、それ自体が価値となり得る。

 現代社会とは比べものにならないほど堅固な階級社会であるこの世界において、爵位という輝きを帯びた二文字は平民にとって羨望の的であることは間違いないだろう。


「爵位の管理は国家にとって重要な政治の一つよ。ジェベル王国なんかの後進国では封地を伴わない名誉だけの準男爵とか、過去に断絶した家の再興とか、本家からの独立って形で、なるべく国王の懐が痛まないよう爵位を与えているの」


「だからジェベルだと男爵家の次男三男なんかが冒険者の道を選んだりすることもあるんだよね。ボクも何人かそう噂されてる人を知ってるよ」


 ミナトの言葉通り、事の真偽はともかく貴族崩れの冒険者というのは必ずしも珍しい存在ではない。

 嫡子のストックとして与えられる最低限の教養と武芸、他者に対して指図をしてきた経験と言うのは、社会でも下層階級出身の多い冒険者の中では珍重されるスキルである。


「まっ、箔付けのためにホラを吹いてるだけのパターンも多いけどね。とにかく、ここで大事なのはジェベルでは限られた王領を守ることが優先されて、新しい貴族が生まれにくくなってるってこと」


「確かに他国の土地を奪いでもしない限り、限られたパイを分け合うしかないからね。でも、それだと公爵みたいな大きな爵位は与えられないってことになるのかな」


「そうなるわね。そういった問題を解決するため帝国で生まれたのが一代貴族制なの。大功を立てた平民に対して、一代限定で爵位を与えて封地や特権を与えるわけ。この仕組みなら相手がエルフでもない限り数十年もすれば領地は戻ってくるし、爵位を与えられる側の平民も他国では考えられないような高い身分を得られるし、既存の貴族も一代限りならって事で渋々ではあるけど納得するわ。もちろん子孫に爵位や封地を引き継がないってデメリットは大きいけど、そこは爵位を与えられる時に2等格下げで普通の貴族位を貰うことも出来るシステムにすることで、不満を緩和してるってわけ」


「ゼダーンの都市長は子爵だから、子どもには引き継げても準男爵っていうこと?」


「いえ、準男爵自体が特例的な爵位だから子どもには騎士爵しか引き継げないわ。いわゆる準貴族ってやつで、本当の意味での貴族にはなれないの。だから、一代子爵は躍起になって伯爵位を欲しがるのよ」


「そこに付け込む隙がありそうね。功を焦る人間は釣りやすいもの」


「でも、一代で子爵にまでなった人なんだから、きっと凄いやり手なんだよね。うぅ、緊張でお腹が痛くなってきた………」


「金勘定にうるさい根っからの商売人って噂ね。まったく人間は短い人生で一時的な快楽しか追い求めないから、いつまで経っても愚かなのよ」


「ははっ、耳が痛いな」


「商売人ね………国境沿いの都市を任されてるのも、交易に関する手腕を見込まれてのことかしら。一代貴族は実力で勝ち得た特権だから、地位を維持するだけでも常に国に対する功績を示さなければならないと聞いたことがあるわ。この都市の状況を考えると、案外アタシ達のことを待ち詫びてるんじゃない」


「んっ、ビックリするほど寂れてる」


 いま歩いているのは都市の目抜き通りであるにも関わらず、人通りはまばらでおよそ活気というものが感じられない。


 交易路が遮断されたことで商品の流通が止まっているのか、露店を開いている商人の顔を一様に暗く、同じ交易都市であるカラムーンと比べても数段階厳しい状況であることは明らかだ。


「カラムーンはジェベル王国でも裕福な北部領の国内物資の流通拠点って意味合いもあるから国家間の交易が止まっても何とかやってられるけど、ゼダーンは交易の比重が高いんだろうね」


「こちらにとっては好都合ね。向こうは窮状を悟られないように、上から目線で自分達だけの要求を通そうとするだろうけど、相手の方が苦しいのは間違いないわ。焦らしに焦らして、目いっぱい条件を釣りあげましょう」


「マナー勝負の次は交渉勝負ね、楽しくなってきたわ」


 ミナトは功を焦る仲間の姿に言い知れぬ不安を覚えつつ、政庁の門をくぐった。

 『理』と『利』、弁舌によりシンギフ王国の未来を切り開く戦いが始まろうとしていた。

面白かった、これからも読みたい、AI先生による絵が可愛いと思った方は是非、☆評価、ブックマーク、感想等をお願いいたします!!

基本毎日投稿する予定ですので、完結までお付き合い頂ければ幸いです。

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