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異世界ハーレムは義務です~0からはじめる建国物語~  作者: 碧い月


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深夜の会合

「もう、ミナト様!!事実上の夫婦関係とはいえ、親しき中にも礼儀ありですわ~~~~~~~~~!!!!!!!!!!」


 闇夜をつんざくような乙女の叫びがミナトの鼓膜を強かに震わせる。

 シャルロッテはフローネの案内で一度は部屋の中に入ったミナトを追い出し、急ぎ身支度を整え、呼吸も落ち着かないまま再び招き入れる。


「本当にゴメンね、こんな時間に。明日改めて………」


「いえ、問題ございません。ミナト様にお会いすることこそシャルロッテ様の意志であり、恋文の代わりとなりお呼びしたのは私ですので。むしろ、このような場所に一国の王を招くこととなった非礼をお詫びいたします。シャルロッテ様には日頃より整理整頓を欠かさぬよう口酸っぱく言っているのですが、『ちょっとくらい散らかってるほうが安心感がありますわ~』などと言い訳して、侍女が片付けるとハゼのように頬を膨らませる始末。花嫁修業は些か足りておりませんが、どうぞ好きなだけ持って行ってください」


「ハゼ!!主人に対してハゼと言いましたのっ!?………ちょっと、フローネ何処に行きますの??ワタクシへの不敬は許しますので、こちらで一緒に話を聞きなさい」


「あとは若い二人にお任せいたします」


 フローネは深々と一礼し踵を返すと、あたかもそれが当然といった様子で部屋を出ようとする。


「えっ!?いや、流石にシャルロッテと二人きりは色々と凄く不味いような!!ボクもアルシェと一緒に来てますし、フローネさんも同席してくれると心強いです」


「申し訳ありません、二人での会合はアルシェ様からの提案でございまして、私もそれを条件にお受けいたしましたので、同席は致しかねます」


「アルシェの?」


「はい、ご自分の存在がお二人の自由な意見交換に悪影響だと仰っておりました。そちらについては私も同意見です。シャルロッテ様は私がいると気が大きくなるのか、悪ふざけが酷くなりますので」


「あうっ、否定しきれない自分が情けないですわっ!!」


 シャルロッテは口を尖らせ、ベッドに置いてあるゆいぐるみを強く抱きしめる。


「ご安心ください、私もアルシェ様も近くの部屋で待機しておりますし、城の者には同席していることになっています。何より他の侍女や衛兵達は遠ざけておりますので、たとえ大きな声を出したとしても、少ししか聞こえません」


「意味深な物言いはやめてくださいまし!!だいたい少し聞こえるだけでも大問題ですわ!!」


「聞かれても支障のない事だけすれば良いのでは?ともかくミナト様とシャルロッテ様の間でどのような話をされても、何があっても外部には漏れない体制は敷いておりますので、心の赴くままに事をお進めください。………なお、緊張して何も話せなかった等の落ちだけは避けて頂けますと幸いです。会食の二の舞となりますので」


「あっ、はい………」


 ミナトとシャルロッテはつい数十分前に繰り広げられた惨状を思い出し、自然と頷く。


「それでは、私はアルシェ様の元に参ります。こちらはこちらで楽しそうなので、お互いに充実した時間を過ごせると信じております」


 フローネは言うや否や扉をバタリと閉めた。

 既に空は満点の星に覆われており、部屋には微かな月明りと燭台の蝋燭の温かな光が揺らめいている。


「本当に行っちゃったね………」


 ミナトは緊張を振り払うように努めて落ち着いた口調でそう言うと、自分だけが立っていることに気づき、気取られないよう座れる場所を横目で探す。


「そうですわね………あっ、ミナト様失礼いたしました。王様を立たせたままとは、ワタクシも突然のことに狼狽しておりましたのね。お恥ずかしいですわ」


「ボクも一緒だよ」


「ふふっ、似た者同士でございますわね」


 小さな笑い声が二つ重なる。


「では、こちらにお掛けください」


 シャルロッテはベッドから立ち上がり、美しい所作でお辞儀をするとミナトが腰を下ろすべき場所をピンと指先の揃った掌で指し示した。


「ありが………………え‘っ‘!?」


 勧められるままに座ろうとして、ミナトはピタリと動きを止めた。

 シャルロッテが何気なく誘導した先、それは先ほどまで自身がシーツにくるまり転がっていた、天蓋付きのベッドだった。

面白かった、これからも読みたい、AI先生による絵が可愛いと思った方は是非、☆評価、ブックマーク、感想等をお願いいたします!!

基本毎日投稿する予定ですので、完結までお付き合い頂ければ幸いです。

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