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異世界ハーレムは義務です~0からはじめる建国物語~  作者: 碧い月


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迫りくる死

「んっ、焼却完了」


 エクスカリバーナーの炎が消え、辺りには肉が焼け焦げたような異臭が漂う。同時に真っ黒に変色した肉片が熟柿のようにぽとりと地面に落ち、砕け散った。

 その変わり果てた姿をスライムの少女は恐怖に濁った瞳で見つめる。


「危うくキモいヒルがくっついたスライム娘をお持ち帰りするところだった。もう大丈夫」


「あのあのあの、何なの君達!!怖いよ、いきなり殺すとか、持ち帰るとか!?それにヒル焼く意味無かったよね、結構熱かったよ!!??」


 少女はヒルのついていた場所を指差し被害を訴えるが、美しい煌めきを帯びた薄緑色の肌には、人の目で見る限り一切変化がないように思えた。


「んっ、触りたくなかった。あとワンチャンくっついてた所の肉も焼けるかなって。ばっちいから消毒」


「こわいこわいこわい、気軽に焼こうとしないで!?私は悪いスライムじゃないから!!」


 少女は少し遅く後退りし、足先を水に浸す。

 透明な肉体が水面に重なると、その境界は徐々に曖昧になり、少女の命そのものが湖に溶け込んでいくような不可思議な錯覚を見る者に与える。


「モンスターじゃないなら、なにもの〜?私はナーガのルーナだよ〜」


「ふむふむふむ、私が何者かそんなに気になるんだね。教えてしんぜよう、私はゴッドスライムのクームフェルド。クーちゃんって呼んで」


「んっ、予想外の名前。ポムポムプルランとか、そういうふざけた名前だと思ってた」


「偏見偏見偏見、そういうの良くないよ、スライム差別だ!!」


「ゴッドスライム………初めて聞く種族名です。スライムの高位種でしょうか。それとも変異種………」


「ふっふっふっ、知らないのも当然だね。何故ならゴッドスライムはこの世に私だけ………つまり、私が勝手に名乗ってるだけだからね!!」


 クーがエヘンと胸を張ると、豊かな質量を持った2つの膨らみが勢いよく上下する。


「まさかの自称。ほのかに無理なタイプのエルフと同じ匂いを感じる。それにゴッドスライムはイキリすぎ。残念すぎるスライム、略して『残スラ』で良い」


「だってだってだって、これまで同族とか見たことないから、自分の種族名とか知らないんだよ〜。スライムは何となく仲間っぽくしてくれるけど、たまに齧ってくるし、言葉も通じないし、寂しく一人で水浴びしてたら通りすがりの変態に酷いことされるし………うわ〜ん、私の人生ずっとこうやって迫害されて一人ぼっちで死んでいくんだ〜!!」


 クーは泣くようなポーズを取るが、その身体は顔も含め多分に湿り気を帯びているため、涙が流れているのか光の加減なのか、はたまた肌が風に揺れているだけなのか全く判別がつかない。


「泣かないでください、クー様。まだ少し会話をしただけですが、悪い方ではないのは分かります。しかし、どうしてミナト様を拘束していたのですか?何か深い理由がおありなのでは??」


「それはそれはそれは………」


 クーがゴニョゴニョと口ごもる。


「捕食?」


「あ〜、ミナトっち美味しそうだもんね〜、ちょっと分かるかも〜」


「違う違う違う!!そうじゃなくて………ちょっと耳貸して」


 クーは覚悟を決めたのか、3人を集めコッソリと耳打ちをする。


「うわぁ、それは………ミナトっちが悪いね」


「どさくさに紛れてそんな事を………見損ないました、ミナト様」


「さすミナ、欲求に忠実」


 アルシェは大きく溜息をつき、自らの主人に成り代わってクーに頭を下げた。


「どちらにしろミナト様が()()()()()()()()、じっくりと問い詰める必要がございますね」


「そうだね〜、なにか大切な事を忘れてる気もするけど、ミナトっちが()()()()()()()()色々聞こ〜」


「んっ、とてつもなく大事な事を失念してる気がするけど、とりあえずミナトが()()()()()()まで待つ」


「そうですね、とんでもない何かを忘れてる気がしてなりませんが、全てはミナト様が()()()()()()()()()の話でございます………………息を吹き返す??」


 一行は何かを思い出したかのように顔を見合わせ、恐る恐る後ろを振り返る。

 そこには息をする事なく、死体のようにグッタリと地面に横たわるミナトの姿があった。

面白かった、これからも読みたい、AI先生による絵が可愛いと思った方は是非、☆評価、ブックマーク、感想等をお願いいたします!!

基本毎日投稿する予定ですので、完結までお付き合い頂ければ幸いです。


異世界一死に近い国王、それがミナト

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