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異世界ハーレムは義務です~0からはじめる建国物語~  作者: 碧い月


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悪徳商法VS新興宗教

「………3つ目は神聖魔法。信仰魔法とも言われるわね。これは神への『信仰』の見返りとして、魔法を使わせて貰ってるって感じね」


「悪徳商法に新興宗教。異世界の倫理はボロボロ」


「まっ、怪しいって感想には同意するわ。私に言わせれば、神ってのも精霊の一形態にすぎないけど、異世界と繋がる事の出来ない人間にとっては、何だって神様に見えるのも仕方ないのかもね」


「人が3人集まれば、新しい神様が生まれるって言うしね。人は自分が信じたいものを信じる生き物なのさ」


 ミナトが物憂げに呟く。


「に、人間みたいな体も心も脆弱な生き物のことはよく分からないわ。とにかく、神聖魔法のメリットは精霊魔法と同じくらい高い威力を、古代魔法と同じくらい安定的に行使できることなの」


「最強じゃねえか」


「はい、ダウト!!『こう言うと、貴方達みたいな浅はかな人間は神聖魔法が一番強いと勘違いするかも知れないわね』ってセリフを用意してたところよ!!ひっかかったわね、脳筋トーテムポール!!」


「うぜぇ………」


「雑に撒かれた餌に喰いつく脳筋の鑑」


 デボラはリオの頬を思い切り引っ張るが、リオの真っ白な柔肌はどれだけ力を入れてもピクリとも動くことはない。


「なにジャレあってるのよ。主導権が精霊側にあるという事は、他の魔法体系と違ってやれる事の幅も狭くなるし、威力も神とか呼ばれる胡散臭い存在の匙加減次第になるの。精霊魔法は友達への『勧誘』、古代魔法は第三者との『契約』とすると、神聖魔法は上位者への『哀願』って感じね」


「哀願たぁ、随分卑屈だな」


「あくまで信仰が先にあるわけですから、信者にとっては自分の信奉する神への『哀願』なら、むしろ本望かもですよ」


「なんか面倒くせえ魔法だな」


 デボラはリオの頬をつねるのを諦め、再びドカリと木箱に腰を下ろす。


「珍しく意見が合うわね。神でも精霊でも上位者でも、呼び方は何でも構わないけど、常に信仰を示して相手に気に入られないとそもそも魔法を行使出来ないし、何かの理由で嫌われると一生その系統の神聖魔法が使えないこともザラにある、リスクの大きい程度の低い魔法よ。便利だとも、洗練されてるとも言い難いわ」


「その割には神官なんざ治癒魔法をチョチョイと楽に使ってるように見えるぜ」


「神官は日頃から行いを律して、自らが信奉する神に信仰を捧げるっていうコストを支払ってるのよ」


「なるほど、精霊魔法や古代魔法が一瞬で支払ってる対価を、日常生活の中で分割で支払ってるんだね。よく出来てるなぁ」


「1日にコーヒー1杯分理論。安易な考えで手を出して、気が付けばリボ地獄の予感。毎日お友達代をせびってくるお友達ではない何か。もはや神と言うより悪魔に近い」


「そ、そう、リボよ、リボ。よく知ってるじゃない。リボもあるけど、貴方達がよく会うような神官は、広く信仰されてるような主神クラスを奉じてるわけでしょ?使ってる人間が沢山いる神聖魔法はマニュアルもしっかりしてるし、多くの人間から哀願されるから、出力も適当なのよ。それにこう信仰すればオッケーっていう感じで、神の扱い方も体系化されてるでしょうしね」


「魔法を使うために信仰してるって考えると、なかなかに罰当たりで面白れえじゃねえか」


「でも、流石にこの魔法が便利そうだから信仰したふりをしようって気持ちじゃ強力な魔法は行使できなそうですし、極めれば強いんでしょうけど色々制限が厳しいそうですね」


「まっ、下等な魔法だから私は詳しくないけど、改宗しても信仰が認められないとすぐには使えないみたいね。ここまで簡単に3つの系統を説明したけど、流石にどれだけ愚鈍な人間でも、このレベルには付いてきてるわよね」


 デボラは嫌々といった様子で、リオは真顔で、ミナトは目を輝かせながら手をあげる。


「最後は至高にして最も洗練された神の御業、真言魔法よ。真言が最も高貴で最も美しく最も完成された魔法であり、それを操ることのできる魔法詠唱者マジックキャスターが最も優れている事は、炉端の石ですら知っている世界の理だというのは、言うまでもないわね?」


「真言魔法の話になると急に早口になるタイプ。電車の話にはなるとシュバってくる鉄オタと同じ臭い………」


「いや、リオ、そう言うのは止めとこう」


 ミナトは柔らかな微笑みを浮かべながら、あらんかぎりの力でリオの口を塞ぐ。


「ふふっ、なぜ真言魔法が至高の魔法であるか、教えてあげるわ。これまでの3つの魔法、精霊魔法、古代魔法、神聖魔法が何らかの媒体を介して異世界の力を行使するのと違って、真言魔法は魔法詠唱者マジックキャスター自身が直接異世界の力を行使するの」


 エルムはピンと人差し指を立て、指先に光を纏わせる。その光はやがて無数の文字に分解され、空気に溶け込むように消えていった。


「異世界の力を直接使えるの?」


「そうよ。異世界に満ちる無限の力を、有限の地であるこの世界に持ち込む。まさに神意としか言いようのない奇跡、それこそが真言魔法なのよ!!」

面白かった、これからも読みたい、AI先生による絵が可愛いと思った方は是非、☆評価、ブックマーク、感想等をお願いいたします!!

基本毎日投稿する予定ですので、完結までお付き合い頂ければ幸いです。


魔法講座、次回こそは終わります、信じてください(´;ω;`)

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