第8章: 失われた力、迫り来る影
「蠍の焔」を手に入れたレイナとエリカは、悪夢の化身との最終決戦に向けて準備を進めていた。しかし、セレスティアのグラスアイがまだ取り戻されていないことが、レイナの心に重くのしかかっていた。
「セレスティア、あなたが本来の力を発揮できないのでは…私たちは勝てないかもしれない。」レイナは不安そうにセレスティアに語りかけた。
セレスティアは静かに頷きながら答えた。「私もそのことを気にかけています。グラスアイがなければ、私の力は不完全なまま…そして、あなたたちを十分に守ることができないかもしれません。」
「でも、今からグラスアイを探しに行く時間はないわ。」エリカが深刻な表情で言った。「私たちには、もう少しの猶予しかない。悪夢の化身は、すぐそこまで迫っている…」
その言葉に、レイナは強く拳を握りしめた。彼女の胸の中で、焦りと苛立ちが混ざり合い、どうするべきかを模索していた。セレスティアがこの状態では、最強の敵に立ち向かうことは不可能に近い。それでも、逃げるわけにはいかないという思いが、彼女の心に強く根付いていた。
「私たちは、他に選択肢があるのかしら?」エリカがアストリアに尋ねた。
アストリアは少しの間考え込み、静かに答えた。「時間がない今、グラスアイを取り戻すことは難しいでしょう。ですが、蠍の焔を用いて戦うことで、一時的にセレスティアの力を補うことができるかもしれません。」
「それでも不安が残るわ。」レイナはため息をつきながら言った。「セレスティアが完全ではないまま戦うのは…本当に大丈夫なの?」
「私たちは、できる限りのことをして、最善を尽くすしかありません。」セレスティアが穏やかに答えた。「そして、どんな状況であっても、私はあなたたちを守るために全力を尽くします。」
その言葉に、レイナは少しだけ気持ちを落ち着けたが、心の奥底には依然として不安が残っていた。それでも、彼女たちは前に進む決意を固め、最強の悪夢の化身が待ち受ける場所へと向かうことにした。