プロローグ
ファイルを整理していたら出てきたお話です。
出会い編は最後まで書ききれますが、その後はどうなるかわかりません。
彼らの話、むちゃくちゃ長い上、昔書いたファイルの大半が喪失していますから……
それでもよければ、読んでください。
白い世界が広がっていた。
白骨の山が、足下から地平線に向かって永遠に広がる。
風もないのに、白骨がコロコロと音を立てて転がった。
振り返る。
何もない。
突然、足首に何かがからみつく。
それは、血まみれの白く細い手だった。
手首だけが、白骨の隙間から伸び、足首を掴んで離さない。
身動きを取ることもできず、その手を見つめていた。
目が覚めた。
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
寝てはいけないときに寝ると必ず見る夢。
呪いのように忘れることを許さない夢。
この夢を見た後は、もう休むことなどできはしない。
底冷えするような寒さだが、火を焚くことはできない。火を使えば、どうしても煙が出るし野営の跡を残さなければならなくなる。追手にわざわざ目印を上げることになるだけだ。
闇夜に虫の声が響き渡る。近くに流れる川のせせらぎ。
ふいに、背後から茂みをかき分ける音が聞こえた。
男は、傍らに置いてある剣の柄に手をかける。
音は少しずつ近づく。追っ手ではない。追っ手ならばこんなに派手に音を立てて来るはずはない。
ならば、一体?
音で、距離を測り間合いに入った瞬間、鞘から剣を抜き放った。そして、ソレに斬りつける寸前で剣が止まる。
「良かった、人だ……」
鼻先に剣を突きつけられた相手は、安堵したように呟き地面に倒れ込んだ。
「なんなんだ? コレ?」
地面に倒れる人物を見る。
14~15歳くらいの少女らしい。全身ずぶ濡れで、真っ青な顔をしている割に、気持ちよさそうな寝息をかいている。
どうしたモノかと男は天を仰いだ。