2: 捕獲せよ
奥の扉に入り、十分ほど歩くと奥の方から光が見えてきた。
「さて………生きて帰ろう」
俺はそう決意して光の中へと進んだ。
段々と今日のクエストのダンジョンがどのようなものなのかわかってきた。
どうやら今回は昔の日本のようなイメージだな。
あらゆる家の屋根に瓦が使われており、基本的には木材の建築物が多い。
「現実の方だと夏なのに桜が咲いてるのかよ……」
俺はクエストを受けることができる場所……いわゆるギルドの本部のような場所に来た。
ここは行く場所に必ずあり、ここでクエストの難易度を選べる。
「お疲れ様です、本日はどのような難易度がいいですか?」
「今日は簡単なものでお願いします」
早く帰らないと凜斗をまた心配させるからな……
「それではこちらのクエストをお願いします」
……なるほど……これならすぐに終わりそうだな……
「じゃあ、行ってきます」
俺が今回受けるクエストは森の主を捕まえることだ。ただ倒すのではなく捕まえるということが少し難しいくらいだな……今までに受けたクエストと比べれば簡単だな……
森の主がいるのは、今いた街から20分くらいの場所だった。
ひとまず捕まえるための準備をするか……
「よし、こんなもんだろう」
俺はとりあえず地面に網を仕込んでその上に好物を置くという原始的な方法を試すことにした。
これで捕まえることができれば楽なのだがそこまで異界バイトは優しくない。
「来たか……」
俺が捕まえる獲物……ブラックリザードが現れた。
見た目としては恐竜のような鱗に姿を持っている。
さて……こちらに気づいてくれよ……
俺はそう願いながら息を潜めていた。すると、ブラックリザードがこちらの好物に気づいたようだ。
(このまま大人しく捕まれば楽なのだが……)
と思った次の瞬間、ビュン!と風……いや、突風のような音が聞こえ、罠の好物が消えていた。
(なるほど……そういうタイプが……)
今回のクエストの「捕まえる」というキーワードがよくわかるようなクエストだな。
「さてと、どうするかなー」
俺はブラックリザードがいなくなったのを確認して作戦のために荷物を広げていた。
(ひたすら移動速度が速いな……罠だと捕まえるのは困難……いや、無理だろうな……)
そこまで考えを巡らせて、俺は今回……異能力を使うことにした。
"異能力"ダンジョンによるがここだと異能力を使うことができる。ちなみに他には"身体能力強化"、"剣技"などがある。異能力はわかりやすく言うと魔法のようなものだ。
何なら魔法だって使うことができる俺の一番好きな能力だ。
俺はこれを使って真っ向から捕まえることにした。
俺はブラックリザードの好物を置き、ひたすら待つことにした。もうすでに仕掛けは済んでいる。
すると、
「来たか」
ほとんど見ることができないほど遠い場所で、僅かに土が舞っているのを確認した俺は
「ジーニャ!」
そう唱えてブラックリザードをしっかりと確認した。これは視力、動体視力、反射神経を上げる魔法だ。
「よし、あれか!」
すぐに俺は次の魔法、"強化"を使う。
「ピヤット!」と、唱えた。体中が熱を帯びているような感覚になった俺はすぐに走り出した。
ヒュンッという音がするほどの速さですぐにブラックリザードのめの前へと来た俺はすぐに、しゃがんだ。
「異能力!"鋼拳"!」
ガツンと、片方の足をおることに成功、これだけで半分以下のスピードになったブラックリザードはどうにか俺を殺そうとこちらに進んだ。
だがそこには……俺が先程仕込んだ網が埋められている。
「コネツ」
そう俺はつぶやくと、地面から網が飛び出してきた。
ブラックリザードはなんの抵抗もなく網の中に収まった。
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