1: 異界バイト
新しい作品です!
高校に通いながら書くので頻度は遅くなると思います…
「おい、水戸いつまで寝ているんだ」
「ふぁ?」
あれ?いつ寝たんだっけ?確か授業が始まったところはぼんやりと覚えているが……
もう終礼も終わったのか?教室にいるのは親友の八神凜斗だけだった。
「先生のマネするな、焦るだろ」
「寝ているお前が悪いからな」
「はぁ、夜はもっと早く寝ろよな」
「あぁ、頑張るわ」
俺たちは帰路についた。
「そういやもうすぐテストだな。楓は大丈夫なのか?そこそこの授業を寝ているが」
「多分なんとかなるだろ、予習復習はちゃんとしている。」
「そうだよなー」
いいよなインテリは、と凜斗がぼやいている。
「楓ー?帰ってたのー?」
「ごめん、用事があって遅くなった」
母……正確には血のつながっていない母である詩絵里が心配したような声色で話しかけてきた。
俺は机の上を整理して明日の分の予習を進めることにした。
俺の通う香住高校では宿題や予習が多いから早いうちに終わらせないと自分の時間が取れない。
明日から体育で体力テストがあるのか……
少し調整しながらしないとな……
気づいたら7時半を過ぎていた。俺は母と妹の玲奈と一緒に夕ご飯を食べた。
ちなみに玲奈も血のつながっていない家族だ。自分で言うのもあれだが俺と玲奈は普通の兄妹よりも仲がいいと思っている。
まぁ、そのおかげで凜斗を含めた友達には「シスコン兄貴」といじられるが……
「ごちそうさま」
「あ、お兄ちゃん、今日の夜勉強教えてくれない?」
「あー……悪い、今日はバイトがあって……」
家は訳合って父親がいない。そのせいでそこそこ貧乏なのだ。
「そっかー残念……バイト頑張ってね!」
「あぁ」
……俺は家族のことが好きだし信用している。
俺は母に「バイトに行ってくる」と言って夜の暗い道を一人歩いていた。
……だからふたりとも嘘をつかない。
もう夏だなと思わせるような生暖かい風が俺の頬を撫でる。そろそろ半袖にしようかなと考えながら歩いた。
……でも俺は二人に一つだけ嘘をついている。
俺は薄暗い森の中に入っていった。
「いつ来ても少し怖いな……」
そうつぶやきながら森の奥へと歩みを進めた。
……二人にはコンビニのバイトに行っていることにしている。
……でも本当は違う。
俺は誰も来ないような神社の前で止まった。
そして迷わずにその宮内へと進んでいく。
すると封印しているかのように御札貼られている扉の前まで来た。
普通の人なら絶対に開けないような扉に俺は迷わず手を添えた。
「ポドラボットゥカ・ヴ・ドルゴム・ミリー」
そう唱えると、ゴゴゴ……とゆっくりと扉が開いていった。
そして俺はその中へと進んでいった。
するとそこには一人のお姉さんがいた。
「いらっしゃいませ、カエデ様。本日はどのようなクエストに挑戦されますか?」
「あぁ、そうだな……」
とつぶやいて凜斗に忠告されたのを思い出して、「時間のかからないもので」と言った。
「承知しました。でしたら……このクエストはいかがでしょうか」
なるほど……比較的すぐに終わりそうだな……
「……よし、これで頼む」
「かしこまりました。それでは……行ってらっしゃいませ。」
するとさらに奥に扉が出現した。
そうして俺は今日もこのバイト……"異界バイト"に挑戦する。
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