『27』
『27』
皇宮の敷地内で最も北に位置するダスグリヌの塔回廊。その最上階は居室の態を成していたが、四辺の壁のうちの三辺は窓を有し開放することが可能な壁で、残り一辺の壁は堅固な鉄格子で代替されている。
鉄格子といえば牢が想起されるが、牢だとすれば、開閉可能な窓の存在が些かの違和感を生じさせるかもしれない。だが、この居室は牢という使途以外の役割が何も無いことは明らかだった。
それは、最上階の居室が位置する高度だ。仮に、それらの窓を通して外部へ出たとしても、目が眩む程の高さに、再び居室内へと戻らざるを得ない。あるいは、高所が苦手な者は外へ出た途端に身が竦み、身動き一つ取れなくなる可能性が極めて高い。皇宮における最北であると同時に、最高地でもあった。
皇国一脱するのが困難な牢といえるこの居室は、高貴な家柄に名を連ねる身分の高い者、皇宮において極めて地位の高い者、そうした者が罪人となった際に用いられた。だが、神皇帝一族の者がこの居室に囚われたことは、過去には一度もない。それは、神皇帝一族の者が罪を犯して捕らわれたことが過去には一度もないということと、同じ意味を指す。民を正道へ導く存在、民の規範となるべき存在、そうした神皇帝および神皇帝一族のあり方として、罪人が皆無であったことは理想の具現化といえた。
しかし……である。
確かに衆人環視の下、公の場で犯された罪は無かったが、あまりにも理想的なあり様の裏には、一般民が触れられぬ罪が、白日の下に晒されなかった罪が、一体どれ程あったのだろうか、という疑義も生じる。それが証しか、いつの頃からか神皇帝直属の隠密部隊が組織され、それは今も現存している。
そのような者たちが暗躍する背景に、神皇帝や神皇帝一族が罪を犯したという事実あるいは罪そのものを消失させるという役目は無かったと誰が言い切れよう。権力の下敷きに埋もれさせた罪が、時代の闇に埋もれさせた罪が、その存在を隠そうとすればするほど、"神皇帝一族で初めての罪人"、という表現は、禍々しい鮮やかさで彩られていった。
皇国軍全軍によって捕らえられた罪人デルソフィアの身は、その後一貫してダスグリヌ塔回廊の最上階にあった。そして今日、ダスグリヌ塔回廊最上階の居室は無人となった。
皇宮から皇国街を南下するように抜けて、しばらく進むと、海が見えてくる。その海辺には皇国の二番港であるシンクロウ港が広がる。
シンクロウ港は、大陸の最北にある一番港のオーラオーラ港と比べ、規模、建物や人の数において遥かに及ばない。世界の各大陸と結ぶ定期船のほとんどがオーラオーラ港を発着することに加え、魚が豊富な漁場も大陸より北側の海に多いため必然的に漁船などもオーラオーラ港に多い。
シンクロウ港には、漁船などよりも個人が遊興に用いる船が係留されており、それらは毎日のように出港していくわけではない。それも真夏ならまだしも、時期も春を迎えたばかりとなれば、なおさらだ。
従って、夏盛りを除いた普段は比較的閑散としていることが多い港と言えたが、今日は違った。早朝から続々と人が集まり始め、昼前には港一帯が埋め尽くされんばかりとなった。シンクロウ港近隣に住む者だけでは、こうはならない。皇国全土から人が集まっていた。
そんな人々から、響めきが挙がったのは一艇の中型船が港に接岸した時だった。特別な仕様というわけではないが、両舷側には皇国の紋が刻まれており、皇国が所有する船だ。戦船ではないその船が、どこから来たのか、ここへ集まった者たちは皆、知っていた。島牢獄へ罪人を運ぶ護送船。シンクロウ港とサーフノウ宮のある孤島を不定期に結ぶ船だった。
通常の護送航行であれば、大した注目を集めることはないが、真昼を幾らか過ぎた頃に起きた次の響めきが、これだけの注目を集める主の来訪を告げる役目を果たした。皇宮よりシンクロウ港へと南下してきた大仰な隊列を組んだ一団。一個大隊ほどの規模はあろうか、約六百人ほどはいそうだった。
その一団の中央には物々しく警護された御座車が複数連なり、その最後尾には荷台の上に牢を拵え、それを四頭の馬が曳く馬車が二台続いた。連なる御座車には皇国の頂に近しい身分の者があるのは一目瞭然だったが、一際豪奢な装飾が施された御座車には、神皇帝フガーリオが乗っていた。その他、神皇帝一族の悉くが、罪人の護送を見届けに来るという前代未聞の事態であったが、罪人もまた神皇帝一族であるという事実が狂騒一本槍に傾斜していきそうな辺りの雰囲気に歯止めをかけていた。
御座車に続く馬車に曳かれた牢には当然、デルソフィアとハーネスが収められており、二人は、拘束具を纏わされ手足の自由を奪われ、跪く体勢のままであった。その体勢で皇宮からここまで移動してきたのだ。
聴取期間の二人の処遇には過ごした場所のように、まさに天地ほどの開きがあったが、罪人として判決が出た後は同等の扱いとなり、神皇帝一族であろうと罪人は皆、等しく罰せられるという姿勢の提示といえた。そうした姿勢は概ね、皇国民の支持を得たようで、響めきはには賛同の響きがより濃く滲んでいた。
一団の進行と共に、港一帯を埋め尽くす人垣は割けていき、護送船に近づくと、警護隊から兵たちが飛び出し、辺りの人垣をさらに追い立てた。充分すぎる空白地を確保すると、次は別の兵たちが椅子や傘、敷物などを設置。神皇帝一族らが座して護送船の出港を見届けるための場が瞬く間に造り上げられた。
次いで、ジェレンティーナやウィジュリナも含む神皇帝一族の皇子や皇女が順に己の場へと座し、二人の皇妃が、場の中央に蟠踞する豪奢な椅子のすぐ右隣と左隣にそれぞれ腰を下ろすと、準備万端の如く、辺りは静けさに包まれた。
やがて御座車の御簾が上げられる音だけが聞こえ、神皇帝がゆっくりと姿を現した。歓声などは皆無で、固唾を呑むようにその一挙手一投足を皆が注視しており、水を打ったように静寂の溢れる時が流れ続けた。
それもその筈で、年始の宣言のために皇宮の長大な露台に姿を現わす時以外、皇国の一般民が神皇帝の姿を視界に捉える機会は基本的には無い。先のオッゾントールの葬儀への参列は例外中の例外であり、しかも参列者は皇国民のごく一部といえ、全数の一欠片程度だ。
皇国民の前に姿を晒したフガーリオは、その事実や辺りの静けさなど気にも留めぬ態で歩み、一族が居並ぶ中央の椅子に深々と腰を下ろした。すぐに警護隊の長と見受けられる者がフガーリオの許に跪き、小声で何かを話す。これにフガーリオが一言二言返すと、その者は大仰に頷いてその場を離れた。末席に座る皇女、ウィジュリナであったが、その横に立つと、張り裂けんばかりの声を挙げた。
「これより、ハーネス・セメドおよびデルソフィア・デフィーキル、二人の罪人を船へと移す。行き先はサーフノウ宮である」そこで声量をやや落とし、低く力を込めた声で続けた。「通常、神皇帝陛下がこのような場に立ち会うことはない。だが、本案件は極めて稀な案件である。陛下もまた一人の親であり、子を想う気持ちは民の皆々と同等であることに理解を求められている。神皇帝陛下としてではなく、親として、実父として、罪人の贖罪への始動を見届けたいとの願い、更生への道程へ確実な一歩を踏み出してほしいとの祈り、これらを捧げるため、神皇帝陛下ご本人、ご家族の皆様が今、この場に集われたのだ」
一瞬、静寂が再び舞い降りたが、それはすぐに破られた。
「分かります」
「親が子を想う気持ちは無償です」
「陛下が皇子に想いを馳せて、何が悪い」
「その願い、その祈り、きっと届きます」
集まった皇国民から次々と声が挙がり、やがて大歓声のように響いて地を震わせた。世界の頂にありながら、子を想う気持ちは民と同じであるとの宣言。上位下達の強制ではなく、並行な位置関係での要請。皇国民の好評を得たのは間違いない。
そこでフガーリオは徐ろに立ち上がると、手を挙げた。再びの大歓声。
もし仮に、これら全てに作為が介していたら、その首尾は完璧であったと言えよう。
護送船にはハーネスが先に連行された。牢が開放され、姿を現したハーネスは拘束具を纏ったままだったが、手足の拘束は解かれていた。
しかし、自由になった両腕は、牢よりハーネスが姿を現した直後に駆け付けた兵によって、左右とも掴まれた。両腕を捕らえられながらも自らの足で歩くハーネスは、馬車の荷台に拵えられた牢から護送船に乗せられるまで一貫して俯いていた。
それは久方振りに浴びた太陽光が眩しかっただけではない。どこへ顔を向ければ良いのか。意志をぶつけるべき対象が視界の中には無かったからだ。
だが、感じている。その存在は確かに自身のすぐ傍にある。だからこそ、希望が込み上げる。笑みが浮かんでいる。その顔を上げて、それを示す必要などない。
護送船に乗り込んでからも、しばらくの間、ハーネスは俯いたままだった。
神皇帝一族史上初の罪人が、公衆の面前に、その全容を現した。神皇帝フガーリオの登場を上回る緊張感を宿して張り詰めた空気は、まるで刃を突き付けるように、刮目する人々の動きを止めた。
衣擦れの音一つ無いような無音の世界が舞い降りた中、その世界の住人たちの視線は、ただの一点にのみ集中する。デルソフィア・デフィーキル。神皇帝一族の皇子である。
拘束具を纏ってはいるものの、手足の自由が確保されている姿はハーネスと変わらない。ただ、その両腕を捕らえる兵がいない。
圧倒的な無音の世界に己の役割を見失い、デルソフィアの許へ駆けつけられずにいたのだ。手足を含め、その身はまさに自由な身となっている。
だが、デルソフィアは微動だにせず、その場にあった。ハーネスとは対照的に顔を上げ、ただ前を見据えていた。
やがて、己の役割を思い出した兵二人が慌てて駆けつけ、静寂を破ると共にデルソフィアの両腕をやや遠慮がちに取った。ここでも、デルソフィアは何ら抵抗することはなかった。ただ変わらず前を見据え歩いていく。従って、誰もがその表情を窺えた。
だが、誰もがその表情を表現する的確な言葉を見つけられなかった。何と表現すれば良いのかーーそれがこの場にある万人に共通した想い。それ程までにデルソフィアには表情が無く、まさに無の境地に昇華したような存在だった。
無の表情であり続け、ただ護送船へと歩みを進めるデルソフィアの姿を前に、多くの者が戦慄した。それは神皇帝一族の皇子や皇女、皇妃、さらには警護にあたっていた兵らも同様で、デルソフィアが護送船に乗り込み、一度も振り返ることなく船内へと姿を消した後も、しばらく続いた。
そんな中、三人だけが違った。
ジェレンティーナは実弟の姿を焼き付けるが如く、睨むような眼差しを向けていた。それは、彼我の距離が遠く離れていく未来を前にしていても、今生の別れとは微塵も感じていないような力強さを宿した瞳だった。
ウィジュリナは凛とした瞳を実弟へと向けていた。 白磁の美しい肌は、生きていく源を確かに備えたことを証しているようで、絶望と悲しみの淵にいた時とは別人に見えた。ウィジュリナもまた、少し先の未来に訪れるであろう実弟との別れが、今生の別れとは露ほども考えていなかった。
この二人はやはり兄妹らしく、無に見えるデルソフィアの表情、特に前を見据えた瞳から、同じことを感じ取っていた。あの瞳は、決して希望を失ってしまった者の瞳ではない、と。
そしてもう一人、泰然とした態で薄らと笑みすら浮かべている者がいた。フガーリオである。
実子が罪人となり牢獄へ送られるのを目の当たりにし、かつ、一人の親としての心内を代弁者を介して吐露した。過酷な運命を共有し、共に責を負うーーそれが本来あるべき姿であろうが、フガーリオの表情からはそれが微塵も感じられなかった。だが、そのことに気が付く者はこの場に殆どいなかった。
ハーネス、そしてデルソフィアが護送船に乗り込むと間もなく、出港の最終準備が進められた。罪人を護送する船の出港に、儀式めいたものは何もなく、作業は淡々と進んだ。神皇帝フガーリオに向かって上昇した民たちの熱量も、何も感じ取ることができない、まさに無を体現したように見えたデルソフィアによって平静へと下降していた。
ジェレンティーナもウィジュリナも、現時点では何もできることはないことを改めて悟り、出港していく船を、そこへ乗り込んでいった実弟の後ろ姿を、刮目して焼き付けることで、今後為そうとしている事の輪郭を再び際立たせるよう努めた。
「これで終わりではない。いやむしろ、始まるのだ」声にせぬ言葉を、ジェレンティーナは何度も心内で言い聞かせた。
準備に動いていた者の一人がフガーリオの許へ駆け寄った。準備が整ったことを伝えたのだろう。
フガーリオが鷹揚な動作で頷いた。その者が振り向いて手を挙げると、次の瞬間、野太い汽笛が一つ鳴った。広げた帆に風を孕ませ、護送船は動き始めた。
驚くほど淡々と、そして静けさに包まれた中、史上初めて、神皇帝一族の罪人を乗せた船が島牢獄に向けて出港した。
護送船の船内は二層に分かれ、それぞれに四つずつ牢が設けられていた。今回護送されるのはデルソフィアとハーネスの二人だけだったが、ハーネスが上層、デルソフィアが下層の牢に入れられた。
デルソフィアは牢の中へ入ると、中央にぽつんと置かれた粗末な椅子に腰を下ろした。
次の瞬間、この身に降り注いだ過程へと想いを馳せるように、瞳を閉じた。
事ここに至ってもデルソフィアはまだ、セルジーンがただ保身のために心変わりをしたとは考えていなかった。それ程までに相対したセルジーンは政大将軍の鑑の如く毅然と振る舞っており、地位は下であっても、純粋に尊敬の念を抱ける尤物だった。
あの後、そう多くはない時の中で、セルジーンに何かが起こったのだ。それはもう疑いようのない事実として、厳然とデルソフィアの心内に蟠踞していた。
では実際に何が起こったのか。それは、通常起こり得る埒外の事象だろう。そうでもなければ、デルソフィアの中で形作られているセルジーン像が瓦解してしまう。だとすれば、やはり解は本人に確認するしかない。
一つ、まだやらねばならぬ事がある。
皇国からの逃亡を進言してきたハーネスは、どのような青写真を描いていたのだろうか。デルソフィア自身、近年は、皇国の外に出て見聞を深め、世界の情勢を少しでも把握したいと考え始めていたが、おそらくハーネスもそうしたデルソフィアの想いに気づいていただろう。
しかしながら、その想いの果てと逃亡とが大きく乖離していることをデルソフィアは瞬時に理解し、そう長くは逃亡していられないと悟っていた。ハーネスも同様であったと思う。
ただ、あの瞬間、あの場ではない何処かにある二人の姿を夢想のかもしれない。それはどんな二人であったか。
相変わらず剣の稽古に明け暮れる二人だったろうか。あるいは主従関係無く、夢を語らう二人であったろうか。憤りや後悔などとは無縁の、笑顔が絶えない二人になっていただろうか。ハーネスと自分の二人であれば、今この時でさえも無限に想像図は浮かんでくる。
一方でハーネスがどう考えるか、訊かなくてはならない。独りよがりの想像など、高が知れている。
また一つ、まだやらねばならぬ事がある。
自身とハーネスを捕らえるために、父が皇国軍の全軍を動員したという話は後から聞いた。些かの驚きはあったものの、父の魂胆は透けて見えた。
一般の民には、実子であろうとも罪人に対しては断固として処すという姿勢を見せ、その一方で皇宮内の者、あるいは自身に近しい地位にある者には、神皇帝の比類無き権力の巨きさを見せつける。
大まかに言えば、その程度のことだろう。尊敬の念を抱けぬ父に対しては、索漠とした気持ちだけが募っていく。
聴取や判決が公開の場で行われなかったことも、デルソフィアなりの考えは既に構築されている。父の中では、公の場で自身を批判、否定する者など、あってはならないのだ。神を冠した地位の名の如く、民にとっては神格化された存在でなければならないのだろう。
デルソフィアは失笑する。神皇帝であるから神格化されるのではなく、神格化されるに足る資質を備えた者が神皇帝であるべき、と考えるからだ。
神皇帝の在り様から大きく逸脱した神皇帝が統べる世界……。そうか。デルソフィアは得心し、あの日の邂逅を思い出した。
自身の前に現れた亡霊。初代神皇帝ヌクレシアが告げた、崩壊に瀕する世界とは、まさに神皇帝あらざる者が頂に立つ世界のことだったのだろう。
世界を救え。託された想い。世界を救うという大義は、そこに生きる一人ひとりを守り抜くということと同義だ。現時点の身の丈を遥かに超える使命となるが、応えなくてはならない。
デルソフィアは瞳を開けた。
椅子からも立ち上がり、天を仰いだ。低い天井に遮られた向こう側、果てしない天空が見えた。
「なるしかないのだな」そう声に出した。覚悟が湧き上がり身内を満たしていく。そして続けた。
「……俺が、神皇帝に」
その刹那、事は起きた。
デルソフィアの左手甲が急速に熱を持ち始め、嵌めていた肌色の手袋を瞬く間に消失させた。剥き出しになった左手甲からは、一筋の光が伸びていく。その光は次に幾筋もの光線に分かれ、意志を持ち、生きているかのように辺りを飛び回った。
どのくらいの時間が経っただろうか。やがて無数の光線は、次々とデルソフィアの左手甲に吸い込まれていった。
その次の瞬間、デルソフィアの左手甲には、二つ目の星紋が浮かび上がっていた。
一方、その時に船外は尋常ではない状況に陥っていた。
突如、宵闇と見紛うばかりの暗黒に転じ、強風が吹き荒れ、逆巻く大波が幾つも船に叩きつけていた。天の桶がひっくり返ったような豪雨となり、程なくして雷鳴が轟き始めた。暗黒を一瞬、白く染める稲光の連発は、この世のものから逸脱した雰囲気を醸し出している。
船員たちは、必死の形相で船を御すよう努めているが、事態が好転する兆しは一向に見えてこない。荒れる海原の上、次々に襲いくる波を辛うじて凌ぎ続けていた。
そんな中、波がやや穏やかになったことを多くの船員が感じ、安堵を芽生えさせた。だが、次に進行方向から向かってくる波があった。それを視界に収めた者は、皆、絶望した。
護送船の船高を遥かに凌駕する巨大な波。それが天頂から崩れていくと、絶望に絡め取られ身動きを忘れた船員たちを、運命ごと飲み込んでいった。
そして、そこには何も無くなった。
〜1章の上 完〜




