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高至

「問題は起こさないという条件での特待生なのだがな、神代流」

 体育教師兼生徒指導の高至(こういたる)が俺を睨みながら義眼を投げてよこす。

「今回、問題を起こしたのはまずあの先公だ。俺じゃない。高至(こういたる)先生」

 高至は空手で東京オリンピック代表候補になるほどの男だ。本来なら総合格闘技でプロになって女でもはべらしているのがいい男でもある。

「とにかく、もめ事は困る。推薦状を書いたわたしにも立場というものがあるのでな」

「わかったよ、コウ。今回の事は済まなかった」

「そういう素直さもわたしがお前を高く評価している点でもある。空手部への入部届をわたしはまだ受け取っていないが?」

「当面、帰宅部で様子を見るつもりだ。武術だけが人生だなんてなんて生きがいのない……」

「お前の実の父、神代・ショウ・マクファーレンはまさにそういう男だった」

「だからケツの穴が小さかったのさ」

「憎んでいるのか?」

「憎しみの定義が俺とあんたじゃ違う。コウ。俺はあの男を完全に否定する。そこに感情的な郷愁は一切、ない」

「部活に入る入らないはお前の勝手だが、顔位出しておけ」

「羅王流の結城春永がいるからか?」

「春永はお前と試合を望んでいる」

「あんなままごとに付き合えと?」

「確かに春永のやってることはただの伊達拳法だ。だからさ」

「教えてやれっていうのか? 本物の羅漢仁王剣を? あんたから教えればいい。高家舞心流のコウ先生の言うことなら聞くだろ」

「気が向いたらで構わん。もういいぞ」

 そう言うとコウは葉巻入れから葉巻を出して咥えた。火を付けて吸っているのは見たことがない。なぜそんな無意味なことをするのかは、俺は聞こうとも思わなかった。

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