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その男、神代流

 2021年、4月。俺、神代流は入学席の季節に俺は私立天寿台高校の入学式に出ていた。俺は天涯孤独の身で、父も母も死んでいた。それを拾ったのが葉山家の長男、葉山真一郎だった。俺は同い年の葉山遥と共に育ち、真一郎も、義理の祖父の悟も俺を家族同然に扱ってくれた。葉山家は舞踏と武道の家柄で、俺は幼少期から能楽と空手に似た武術を学んでいた。

 その名を神羅舞心流。

 入学式も終わり、俺は遥と一緒に教室に向かう。

「流? もう高校生なんだから問題を起こさないでよね?」

 遥は真顔で俺にそう問いただした。

「努力はするさ」

 無論嘘だ。俺は短気で強情で融通きかない性格だ。1ーA の教室に入り、自分の席に座る。

 窓際の一番後ろで、遥は通路を挟んで隣だった。遥の前の席にはひときわ目立つ金髪と耳にピアスの女。明らかに校則違反の赤いピアスが目立つ。

 やがて教師が入ってきて、自己紹介が始まった。一人一人立って、あたりさわりのない自己紹介をしていく中、その女の番になってその女が立つと教師は目の色を変えた。

「芹沢なつみ! そのピアスはなんだ!」

「は? おしゃれですけど?」

 なつみという名の女はそうつっけんどんに言った。

「校則違反だ! ピアスをはずせ!」

「おしゃれは女の義務なんですけど~」

 なつみは教師の怒りなどどこ吹く風だ。やれやれ。

「いいから外せ! 髪も染めろ!」

「コレ、地毛だし~」

「校則で髪色は黒だと決まっている! 入学早々停学になりたいのか!」

「うっせーな」

 俺は教師の目を見て言った。

「なんだ今のは? 名前は? お前!」

 教師は怒りをあらわにする。

「神代流だ。ながれると書いてりゅう」

「今何を言った?」

「んなーこたぁ、どうでもいい。ファッションがだめなら、これも駄目だよなぁ」

「駄目だよ! 流!」

 遥は俺を止める。だが俺は無造作に左目に手を突っ込み、義眼を外して机に置いた。衝撃が教室内に響く。悲鳴を上げた者も居る。

「これで問題ないよなぁ?」

 俺は担任教師を右目だけで睨んだ。

「え、と、左目は?」

 教師の顔が青ざめ色を失う。

「子供の頃に父親に潰された」

 そう、俺の父、神代・ショウ・マクファーレンは俺を憎み、あらゆる暴行を俺に繰り返した。その一つがこの潰れた左目だ。

「と、とにかくだ。お前の義眼はいい。許可も出てるんだろう?」

「うっせーぞ! おっさん! ただジジイなだけで粋がるな!」

 俺は教師を怒鳴りつけ、教師はしどろもどろになって朝のホームルームを終えた。

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