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6、ゲーム展開中

クロードの作戦通り、あの庭の所へ行くことにした。勿論護衛を伴って。

そして後一歩で庭という所で踵を返し元の場所に戻った。


「どうなさったのですか、殿下?」

「ああ、政務の事で急にアイデアが湧いたのだ、書き留めておこうと思ってね。

気分転換に散歩しようと思って良かったみたいだ。お前達には無駄足を踏ませて済まなかった。」

「何を仰るのですか! 我々の仕事は殿下をお守りする事です。何処へでもついて参りますとも。」

「ふふ、有難う。」


検証結果、鳥が取れた。勿論罠にかかった訳ではなく、急に空から降ってきたのだ。


アイラは「やったぜ べいべー! ! ! ふーふー」

と訳の分からない言葉を発し、小躍りしていた。


ここ最近鳥を取る為に散々苦労していたので、感動が覚めずいつまでも噛み締めていた。

それを木の陰からそっと見守り、マルクス君はそっと涙を流していたのだ。


報告に来たクロードは腹を抱えて大笑いしていた。


「その場で吹き出すかと思ったよ。 目的を完全に忘れてる。二人とも!

 マルクス君は憎っくき相手だったはずが見守る内に、あれは落ちるんじゃね?」


「・・・。恐ろしい結果だな。」

「ぬあぁ?」

「だってそうだろ? ゲームの設定に少しでもニアミスして仕舞えば、即発動って事じゃ無いのか?

マルクス君は必死に恋愛値を上げていたのは、アイラを返り討ちにする為だ。それが、意図とは違うのにアイラに近づいただけでアイラの虜になってしまっているのかもしれない。


だが何となく分かったこともある ヤーメイン君の様にゲームには出て来ないキャラはアイラと接触してもあまり危険では無いのかもしれない、しかし登場人物はゲーム補正が掛るかもしれないって事だ。」


「確かにそうかも知れないな。アイラのターゲットはお前だろうから、いくらお前が気を付けてもアイラが仕掛けて来る事は十分考えられる。

これまで以上に警護が必要かも知れないな、そっちはちゃんと指示しておく。」


「そう言えば、試験の結果が出ただろう? もしかしたらそろそろゲーム通りに行かないから作戦を変更して来るかも知れないな。シオンが狙われるか・・・。攻略上はゲムストに接近するよなー。 くっそ、面倒臭い!」


結局アイラは傷ついた鳥を10日間も学校内で飼っていた。しかし構内の見廻りの者に見つかりこっ酷く叱られ、怪我も治った鳥は空へ放たれた。振出しに戻った。


これで出会いのイベントは回避された。


一方アイラは、

おかしいわ。何故こんなに努力しているのに一向に王子と出会えないのかしら?

でもやっぱり鳥を捕まえようとしていた時は駄目だったけど、この間はゲームの通りに落ちてきたわ! あれで王子が通りかかれば完璧だったのにー。

いつ王子が庭に来るか分からないもん、困ったなぁ〜。


困ったって言えばこの間の試験の成績も最悪だったわ。ゲームの中では アイラは頑張り屋さんで、成績だって特別クラスで悪くは無かったのにー現実は基本クラス。これじゃあ、バード先生に叱られそう。長期休みの前に出会いたかったなー。


あっ! そう言えば王子は婚約して、本当なら私とラブラブな様子を妬んでヴェロニカが虐めてくるのに、出会えてないから嫉妬もしなければ、虐めもしてくれない!

こっちの方がすっごく拙い!だってヴェロニカと結婚しちゃったら私とは出来ないじゃない!


取り敢えず虐められていた事実を作らなきゃ!


そこでゲムストに虐められていた事実を目撃させようとした。


ゲムストが通り掛かるのを見越して、バケツの水を頭から被った。ビチョビチョになって、ヨロヨロと歩き出した。ボンっと人にぶつかり倒れた。潤ませた瞳で見上げるとそこにいたのはヤーメイン君だった。


「お前、こんな所で何をしている。人前で水を被ってそこら中水浸しじゃないか! 迷惑な奴だ、今すぐここを拭け!」

「いえ、これはヴェロニカ様にやられたのです。」

「お前 頭がおかしいのか? お前は私の目の前でそこのバケツの水を被ったのを見ていたぞ、何だったらここにいる数人も全員目撃していた。おかしな事を言うと学園側に報告するぞ! 全く迷惑な!」


そう、アイラはゲムストの動向ばかり気にしていて、自分の後方のことは気にしていなかったので、目の前でバケツを被られた方は吃驚し過ぎて声も出せなかった。それなのにヴェロニカのせいだと言ったのだ。瞬く間に噂が広がった。


アイラとか頭のおかしい奴が今度はバケツの水を被ってヴェロニカ様にやられたとか叫んだらしいぞ、最悪だな 近寄るのはやめよう。結構可愛い顔しているのにな、トラブルに巻き込まれたら大変だからな。しかも相手はヴェロニカ様だし。


ゲムストは何故あの時あの場にいなかったのか、それは勿論ヘラルドに呼び止められたから! 

「ガムス! 今日も騎士の訓練か?」

「おお、ルドか。ああそうだよ、何か用があったか?」

「いや、最近体が鈍っているからちょっと付き合って貰おうかと思ったんだ。」

「いいね。王宮に行くんだろ?そしたら騎士棟に来てくれれば少しの時間でも手合わせしようぜ。」

「おっいいねー。じゃあ後でな。」

「ああ、待っているよ。」


ふー、危ない危ない。

ゲムストはゲームほど脳筋ではないが、守るべき者が出来ればやはり思考が極端になり易い。この10年が無駄とは思わない、が 友が友を断罪し暴力を振るところなど見たくない。

今は友を守りたいのだ。


アイラは 日中無駄な努力はせず、鳥の捕獲は自然に任せることにした。

相変わらず、取り捕獲のための罠は仕掛けていた。

休み時間になるとダッシュで庭へ行き空から鳥が降ってくるのを待つ。

思い出した様に、虐められている事実を作りに行く。


この間は教室で皆がいない時間を見計らい、自分の教科書をビリビリに破いた。

そして授業が始まるとしの教科書を見つめて

「酷い、一体誰がこんな酷いことしたの?」泣いて、周りの人は変人アイラだけど ちょっぴり同情した。

そこへ登場したのはヤーメイン君。

「お前、『何がこんな酷い事をしたのは誰?』だよ! お前だよ、お前!

 お前だけこの間のアンケートが返却されていないって言うからクラスまで取りに来たら、鬼の形相して破り捨ててたじゃないか! 俺はてっきりあまりに馬鹿で授業についていけなくて腹立ち紛れにやっているのかと思ったけど、悲劇のヒロインぶるには、お前は頭が残念なんだよ!」

「チッ。」


またもアイラはヤーメインに見られていたのだ。


クラスの人間は冷たい視線を浴びせていた。


おかしいなー、ゲーム補正が入るはずなのに全然その気配がない。しかも計画は悉く失敗。

何がいけないんだろう?


よし! 悪役令嬢の定番階段落ちをしよう!


ヴェロニカの時間割りを調べてこの階段を使う時間を割り出した。どの角度が一番いいかしら?あまり高い位置からだと大怪我すると困るし考えた。


「5段よ! 私が導き出した階段から落ちても怪我しない高さ、それは5段! 痛いのは嫌だし、テイヤー! 」

ビョーン、シュタ! 見事な着地。

「あら、うっかり飛び降り成功しちゃったわ。でもいーわ。これでヴェロニカに突き落とされたっと。よし、次!」


そうだ、お弁当にゴミを入れられたなんて良いかも!

こればっかりは目撃者なんて必要ないでしょ?言い張れば良いんだから。

それから突き飛ばされたことにして、それから、それから 制服ビリビリ。これはよくあるわよね? 平民の子はそれがお似合いよ!とかのセリフ付きで。

よし、何をされたかここに書き連ねていこう!


日付、時間、場所、状況、セリフっと。


あははは、顔にいたずら書きされて、どこで?うーん 図書室―?うん、まあいっか。

「この腐った雌豚がー!」いい感じ。

あっ!そうだ、鳥の捕獲に行こうっと。


今日のマルクス君はラブリーちゃんに捕まっていた。

「マルクス様―。今度の舞踏会デビュタントなので私と一緒に行ってくれませんか?」

「可愛い人。僕は一人なのに沢山の美しい華から誘われて正直困っているんだ。

どうしてこうも美しいカナリアが多いのか、僕は迷ってしまって一人に決められないな。」

などとあまーい会話をしていると、ガサゴソ木が揺れた。ラブリーちゃんは小さな悲鳴を上げた。「きゃあ。」するとそこには嬉々として自分を殴りつけるアイラの姿があった。


当然マルクスとラブリーは唖然として言葉を失った。するとアイラはヨロヨロしながら校舎に戻っていった。


「どうしたのですかその格好は!」

「うっうっくぅぅぅ。ヴェロニカ様に、目障りだから消えなさいって叩かれました。怖かったぁー。ああ!!!」と泣き出した。その場にいた者は全員絶句した。


「取り敢えず保健室へ行って治療を受けなさい。大丈夫ですか?」

その場にいた教師もそれ以外掛ける言葉が無かった。


後日その噂が校内を駆け巡り、ヘラルドの耳にも入った。

「驚きの状況だね。」

「これからどうなるのでしょう?」

「さあー、長期休暇も近いから自宅療養になるのではないだろうか。」



更に後日 学園長室に呼ばれたアイラは扉を叩き入室するとそこには、父であるハイエンナ男爵とヴェロニカ様がいた。


そうか、この間の騒ぎでヴェロニカ様は呼び出しを受けたんだわ。

やっと思い通りになったって訳ね。お父様が呼ばれたのは謝罪の為ね。


「アイラ嬢 そこに掛けなさい。」

「はい。」神妙な顔で悲しそうに目線を下げる。


「アイラ嬢、先日貴女がここにいるヴェロニカ嬢から虐められていると言う申告があったがこの書類に間違いはないか?」

「はい。」震えながら答えた。


「ふー。」と一つ息を吐いた。

「ヴェロニカ嬢ここに書いてある事は事実かね?」

「いいえ、その様な事実はございません。」

「嘘よ、公爵様の地位を利用して散々虐めたじゃない!」


「ハイエンナ男爵、お聞きになりましたね。この通りなのです。

 アイラ嬢は急に貴族になりプレッシャーがあったのだと思います。少し精神を病んでいる様なので療養する事をお勧めいたします。」


「どうして? 私が平民出身の男爵の娘だからって嘘と決めつけるの? ここに書かれている事は本当の事よ!」

「先日貴女が叩かれたと言う庭には目撃者がいるよ。二人が話をしていると貴女がやってきて自分を殴りつけるのを見たと証言した。それにこれもこれも目撃者がいる。いきなり貴女が目の前でバケツの水を被って、ヴェロニカ嬢にやられたと叫んだと証言している。」


「嘘よ嘘よ嘘よ! 私が正しいの、私が言ったことが真実になるの。だって私が主人公なんですもの。ゲーム補正で明日には私こそが真実になるの!」

「この通りで我々もお手上げです。

アイラ嬢、貴女が証言した日ヴェロニカ嬢には犯行は不可能なんだよ。だってヴェロニカ嬢は国内に居なかったのだから。」

ヴェロニカ嬢は婚約式に出席する為、ヨークモント国へ行っていたのだ。


「えっ? 何それ?」

「アイラ、ヴェロニカ様は国内にいなかったからこんな酷い事は出来ないんだよ。

私が無理を言ってしまったんだね、学園を辞めて家で療養しよう。学園に行くまではあんなに元気だったじゃないか。もう無理しなくていいんだよ。」


アイラは放心状態で父親に連れて帰られた。


ゲームの主人公はあえなくドロップアウトした。


それから間もなく舞踏会が行われ、シオンはエスティローズを誘った。そしてそれにエスティローズも応えた。ゲムストもメルカンナ嬢をエスコートして舞踏会に来ていた。

それぞれが幸せになった。

そう言う私もこの度婚約が決まった。相手はカストワナ国の第一皇女 リアリム様だ。

両国の永遠の平和を願い王家同士の婚姻となった。


これからリアリム皇女をお迎えして1年掛け皇太子妃教育が施されお披露目され翌年結婚の儀が執り行われる。これからも平和が続く様に私が持てる全ての力をもってこの国を守っていこうと思う。


「クロードどうしたんだ?」

「うん? ああ、アイラ結婚したよ。家庭教師をしていたバードとね。そのバードが男爵家を継ぐ事になったらしい。」

「そうか、そこもうまく纏まって良かったな。」

「無事にアイラのルートから抜け出せて良かったな。」

「そうだな、多分 私達は運命に抗う力を試されていたのだ。何の努力もしなければアイラのルートに乗って怠惰な日々を過ごしてしまう。しかし知恵を使い友と協力する事によって運命を変えられたのだと思う。

アイラはゲーム補正が行われた事により努力する事を止めてしまったのだろう、だからこちらに運命を切り拓くチャンスが出来た。

アイラが努力し続ける子だったら危なかったかもしれないな。」


「なあ、ルドは恋愛しなくて良かったのか? お前の周りの者達の幸せばかり願ってお前自身の幸せは蔑ろで良いのかよ?」


「じゃあクロードの幸せは?」

「俺はまだ分からないから別にいいや。それよりお前!」

「俺はさ、結婚した相手を全力で愛そうと思う。俺の場合、恋愛結婚は出来ないけど結婚相手はいるだろ? だから出来れば相手を悲しませない様に側室は持たない様努力したい。そして歩み寄る事が両国間の平和に繋がると思うから。リアリム皇女を大切にしたいと思っている。」


「そうか。俺はじゃあその手伝いをするさ。まだ俺も愛する者は見つかっていない。相棒のお前の目指す国を一緒に作って行くさ。」

「ああ、頼むぞ 相棒!」


ああ無事にゲームの時間帯が終わった。

所で これは何回目のプレイだっただろう?

そして繰り返される時間。

私はまた生まれる、そして同じ時間を繰り返す。


この部屋には秘密の扉がある。本棚の後ろに隠されたもう一つの扉。

いつの頃かデジャブを度々感じる様になり、デジャヴと一言では片付けられなくなった。

前世の記憶と言うものでもない。詳細に感触があるのだ。匂いで感じるのだ。


一つの賭けだった。その日起きた事を詳細に記した。クロードに調べさせた事も、自分の事だけではなく、分かる限りヴェロニカ、シオンスト、ゲムスト、エスティローズ、それから王宮の事も、夢で見た事も、隣国で起きた事件も、分かるものは時間さえも詳細に記した。


そして見つけた扉。


扉の先に合った日記たち。その時の私はアイラを愛した、何の疑いもなくヴェロニカを断罪した。そして私は廃嫡されアーロンが皇太子となり幽閉された所で途切れていた。

別の生では、ヴェロニカと結婚をしていた。 

別の生では、エスティローズと結婚した。

別の生では、ゲムストを信じられずに処罰した先でゲムストは無実を訴え命を絶った。

別の生では、シオンストに嵌められ殺されたらしい。

次の生では、次の生では、次の生では、次の生では、次の生では、次の生では、次の生では、


ヴィーとは5回結婚、ローズとは8回結婚、アイラとは3回結婚 そして廃嫡

ゲムストを3回殺し、ゲムストに4回殺された。

シオンには6回裏切られて、4回助けられた。

アイラに5回殺された。他国の王女とは11回結婚した。


滑稽だな。ゲームではアイラとの結婚はハッピーエンドなのに、現実のその後はバッドエンドになる。


ずっとループしている。私はいつからか諦めた。この生はその先がない。

私が18歳付近になった時点でリセットされるのだ。永遠に0歳〜20歳位まで。

だから誰と結婚しても変わらない、私が生き残っても殺されてもきっと幽閉されても18歳より先は無い。私は与えられた生を一生懸命考え踠いて全うする。だけどこの私の生は誰かがプレイしているものを操り人形の様に動いているだけなのではないか?

この考えは果たして自分で本当に考えた事なのか?

分からなくなる。


でも私がこの日記に気づくのは4歳の転生者と思い出す時ではない。8歳の時だ。

アイラと出会うのは14歳の時。6年でどこまで現在進行形で動いている物語をどこまで介入出来るのか。


不思議なのがリセットされループする生、でもこの日記は消えないと気づいたのだ。


扉の中の日記はもう一日では読み切れないほど溜まっている『私』のこれまでの人生。 

ちょっと違うな。この世界は沢山の人生の上に成り立っているのだ。だからリセットと言う表現は間違っているのか?


イメージで言えば、プレイしてセーブして上書きして行く様な?キャラクターは新たな生だが、データだけは保存されている感じか。誰かが俯瞰して見ているのか?


膨大な量の過去の私が書いた日記、これを何度読んだのだろうか?

歴代の俺が読んだ痕跡がある。

それとは別に新しい文字で統計が取られていた、そして結論も書かれていた。

時間短縮サンキュー過去の俺。


今回の俺は19歳を迎える事が出来るのだろうか?

誰の死若しくは生を基準に、リセットされるのだろうか?

ここ何回かは最初に出会う4人とは友情を築き、アイラを選ばない選択が続いている。


ここにある装備が同じ物を使われている事が分かったので、それからは机や本棚にヒントとなる物を残しておく。それから私が記憶を戻してからいつも必ずする事も書き留めた。

侍女や侍従に見つかってはならないから、統計の横に思い当たる事の行動記録を記した。


ニャビットと出会う森、ニャビットを飼う小屋にも少しずつ残した。

その努力の結果、早い段階で最近は隠し扉を見つけられている。


どうせリセットされるから投げやりに生きる事も出来ない俺。


この選択が間違っているからループするのだろうか?


イヤ、アイラの事も何度も選択している、他の人間も複数回ある。

これらの登場人物以外を選んだ事もある。

しかし毎回リセット。


この世界はゲームだよなー。

それとも誰か特定の人間の為につくられたのだろうか?


今まで選択しなかった人間でこの物語で必ず出て来る登場人物?

イヤ、この世界は毎回リセットされている、俯瞰して見ている者がこの世界そのものに入り込むなんてあり得ない。あり得ない。


毎回深くこの物語に関わる者。

私の身近な者。

今まで一度も選んだ事が無い者。


まさか、イヤそんな馬鹿な、一番の理解者が? あり得ない! でも、もし。

終わらせたい。


「クロード。」


「呼んだか?」

「なあ、クロード、今まで話した通り俺達の人生はループしている。

なあ、俺が今まで選んだ事ない人を選んだら俺の人生はその先へ行けるのだろうか?ってな。」

「そんな人間お前の周りでいたか?」

「んー、女じゃいないと思うけど男であれば、シオンスト、ゲムスト、それにお前。

どう思う?」

「はぁ? 俺も入ってるの?」

「仮に選んだからって俺の人生が終わるとは限らない。でもそれ位しか。

 ゲムストもシオンストも女性を選んでいる。誰も選んでいないのはお前だけなんだよね。

一度試させて貰って良いかな?」


「本気か?」

「ああ、でも俺は皇太子だから皇女と結婚して子を儲ける義務がある。お前を選んだ場合お前との関係は秘密となる。すまない、それでも良いか?」

「その言い方だと俺がお前好きって事になっちゃうよ。俺は肯定するべきそれとも?」


「何をもって選んだと言えるのか分からない。取り敢えず何をしたらいいと思う?」



「はぁー、何度もループするの辛かった?」

「そうだな、気づいて仕舞えば俺が望む国は永遠に作れないって事だろ?一生懸命に生きる意味を見出せないんだ・・・最近。俺は俺の人生を全うし俺の目指す国を作る努力をして死んで行きたい。」

「そうか、ごめんな。お前が気づいた通りだよ。」


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