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1.転生者 25歳のサラリーマン

おっちょこちょいのコメディを書きたかったのですが、出来てみればあまりコメディ感のないものでした。きっと根暗だったのですね。8話の短編ですので、軽い気持ちで最後まで読んでいただけると有難いです。

俺はこの国の第一王子 ヘラルド フォン ド スパラーニュ 4歳。

金髪 碧眼 スタイル 愛くるしい笑顔 頭脳 剣術 何もかも完璧王子 将来を嘱望された光り輝く王子、唯一の欠点は性格が悪い。周りにチヤホヤされて長く鼻は伸びていた。


王宮で開かれたお茶会ではこの国の令嬢が殺到し、揉みくちゃにされていた。鬱陶しいと思っていたが、自分に群がる美姫に悪い気はしていなかった。


子供と言えど女、白熱した女の戦いはヘラルドを置き去りに熱を増し、おしくら饅頭状態。美姫たちが熱戦を見せる中、突き飛ばされた者がいた、「危ない!」突き飛ばされた先で彫刻が落ちてきて意識を失った、騒然とする中助け出されたのは、そう俺、第一王子ヘラルドだった。


意識を失ったヘラルドは王宮に運ばれて治療を施された。

夢の世界では見た事も無い世界が広がり、小さい頃からその男が死ぬまでを走馬灯の様にみていた。3日後意識を取り戻すと王宮の自分のベッドで寝ていたが混乱した。

そうだ、あの死んだ男は俺だー!!!


冷静になれ、私はこの4年間私は王子として生きてきた。

夢の中の男は夢と言うには生々しすぎて、最早他人事には出来なかった。

参った、所謂転生者だな、俺は25歳の社会人三年目、希望した職種の会社に入って必死に働いていた。残業代なんて全然つかないけど、石の上にも三年 今は仕事を覚えるべき時!と思い、毎日深夜まで、週末も休み返上で働いていた。3年目の今年やっと担当を持たせて貰って、これからって時に死んだ。あーあ、俺が必死に働いて使う当てもなく溜まっていた金は今どうなってるのかなー? 悔しいな、こんな事なら妹の胡桃に何か買ってやれば良かったな。俺 夢半ばで死んだんだな・・・。


いや、しかし! 過去の生は既に終わった事だ。今はヘラルドとして生を受けている、しかも王子だ、恵まれている。前世で若くして死んだから今世こそは最後までガッツリと生きるぞ!


気を取り直して、王子としての生活を始めた。今まで何とも思わなかったけど、スケジュールはギッチギチに詰まっている。これが4歳児の生活なのか? 両親と食事する事すらままならない。今の俺は中身が25歳だからまあいいが、記憶を思い出す前の俺は寂しくなかったのかな?


「ヘラルド王子殿下、この後 ご友人候補をお招きしましてお茶会となります。この席でお気に召した者がおりましたら、今後城へ度々お呼びになり、お話しする事も可能ですし、ダンスやマナーの授業は共に受ける事となります。本日こちらに召されるのは、

ヴェロニカ フォン パールフォン 公爵令嬢 7歳 父 筆頭公爵

エスティローズ フォン コールバニア 公爵令嬢 4歳 父 外務大臣

ゲムスト フォン カチャック 伯爵子息 父 騎士団長 5歳

シオンスト フォン クルゲール 公爵子息 父 宰相 4歳


以上の4名で御座います。お気に召さない場合、又はヘラルド王子殿下がご友人になりたい方がいらっしゃる場合は事前に審査が必要となりますので、お申し付け下さい。


何かご質問は御座いますか?」


「ハルマ有難う、特に質問はないよ。少し考えたい事があるから、一人にしてくれる?」

「畏まりました。時間になりましたらお声を掛けさせて頂きます。侍女は如何致しますか?」

「ああ、皆 下がらせてくれ。」

「承知いたしました。」パタン


ヘラルド、ヴェロニカ、ゲムスト、シオンスト、エスティローズ ・・・。ヤバイ、聞いた事ある。妹の乙女ゲーム『真実の愛 負けるなアイラ 悪役令嬢ヴェロニカの魔の手から真実の愛を守れ! 目指せ人生大逆転!』こってこてのありがちゲーム。えっ? 俺がアイラとの真実の愛に目覚めて今から会うヴェロニカを断罪するの? あの王子ってかなりのポンコツだったぞ。胡桃はイケメンのヘラルドを気に入っていたけど、元はと言えば王子があの男爵令嬢に恋して行く事自体理解出来なかった。

ヴェロニカってそんな悪い子じゃないと思うんだよな、急に態度冷たくなって距離とって、アイラの言葉だけを盲信するって、全ての元凶はお前だろーが!と突っ込みどころ満載だった。


はあー、あれが俺か! 残念な男ヘラルド。ポンコツ王子 俺 ヘラルド。

しかも、俺様 わがまま王子、こんな王子に尽くすって大変だよなぁ〜。はぁ〜。

今のヘラルドの中身は25歳のサラリーマン、4歳から見たらただのおっさんだよな。

はあ、罪悪感。これってロリッコンになりませんよね?

いや、俺はそんな気ないけど、でも結婚する時は年が近づいてたりするのか?でも、4歳から知っている20歳も離れたチビ達となると、恋愛感情は抱けんやろー。


えっと確か、優人学園に入学後一学年下でアイラが入学、世の乙女ゲーム同様 平民出の男爵の落胤、ピンク頭で健気な頑張り屋さん。平民の常識が王子には新鮮って、アイラに夢中になり婚約者を捨てるっと。ヘラルドに関しては絵面がイケメンって事しか特出すべき点は無いありふれたゲーム。


俺が、アイラと出会って純愛に目覚めて、婚約者であるヴェロニカに冷たく接する様になって、ヴェロニカがアイラに嫌がらせをして最後は断罪するってやつだろ。頭いてー。


普通に王子の立場で考えて、先程の4人は極めて政治的判断で学友となる訳だ。だいたいこの年で恋愛もクソもない。王子たる者 政略結婚は当たり前。向こうにしても当然王妃を狙う家は幼少期から王妃教育を施されている。それをゲーム チート?で優秀で特待生となった平民に恋するって。それって、つまり貴族としての常識が無いって事だろう?

だいたい男爵の落胤って、どんだけだらしねーオヤジなんだよ。どうせ、正妻に子供が出来ていたら放って置かれ何の援助も無く生きて行かなければならなかった親子、学園入学前に相続の問題で探し出されたって言うだけのそんな彼女を可哀想ではあるがいきなり王妃にするなんて狂気の沙汰としか思えない。


ヘラルドは学園に入るまで何を勉強してきたんだ!ポンコツめ! って俺か。

まあいい。ヘラルドは俺なんだから、俺次第で物語は変わるのだろうか!? ゲーム補正が入って同じルートを辿るのだろうか?俺は王子だ、この国を守って行く義務がある。ゲームの運命になんて負けない! 

そうか、今日のお茶会は第一歩だ、物語が始まる前に思い出せたのは僥倖だ。ヴェロニカもエスティローズも悪役令嬢になんかさせない、やってやるぜ!


**王宮内庭園**


「ヘラルド王子殿下がお見えです。」

全員立って礼を尽す。


「ようこそ王宮へ。私はヘラルドだ。ここへ何故呼ばれたかは聞いている?」

「「「「 はい、存じております。 」」」」

「そう、ではヴェロニカ嬢から挨拶して貰おうか。」

「私をご存知なのですか?光栄です。ヴェロニカと申します。宜しくお願い申し上げます。」

殿下に促され次々挨拶をして行く。


「さて、挨拶も無事に終わったし、これから我々は友として接する。折角友となったのだから、あまり堅苦しくしないで。私は貴方達の事をもっと良く知りたい。其々何が好きなのか、嫌いなのか、興味がある事は何かなど教えてくれる? これは、テストじゃないよ。本当に私は貴方達と仲良くなりたいと思って聞きたいんだ、教えてくれる?」


ちょっと、首を傾げておねだりすれば皆 表情を緩めて教えてくれた。

この子達にすればおっさんだ。おっさんが首傾げて愛想振り撒くって気持ち悪いが、これは俺だけじゃなくお前達の人生も掛かっているから協力してくれ!


「それではエスティローズは何が好きなの?」

「私は名前にローズが入っておりますので、薔薇に因んだ物を贈られることが多いのです。いつの間にか増えてそれらに囲まれている内に好きになってしまいました。今では薔薇のお茶に、クッキーに、お風呂に薔薇が使われていたりします。ウフフ。

嫌いな物は蛙です。小さい頃に従兄弟に蛙を持って追い掛けられた事があって、それ以来苦手になりました。」


「女の子らしくて可愛いね。他には?」

「最近刺繍を教えて頂いているのですが、難しくて・・・どちらかと言うと本を読む事が好きです。」

「へぇーそうなんだ。女性は刺繍など細い作業をして大変だよね、私のハンカチなども美しく彩られているが、入れてくれている方達には頭が下がるよ。

それでどんな本を読んでいるの?」

「はい、冒険譚も好きなのですが、最近は植物図鑑を見ております。」

「そうなのだね、植物図鑑とは随分難しそうな物を読むのだね。」


「私達はあまり家から出られませんので冒険譚も図鑑も、世界にはこんな花が咲く場所があるのね、と思うとワクワクするのです。」

「それは分かる! 私も見た事ない世界に憧れるな。」

「私もです。行けるなら何処にでも行ってみたいです。」


「ゲムストも行動的なんだね。シオンストはどうなんだい?」

「私は本を読んで、本の世界で旅をします。周りの目が煩いので、一人静かになれて落ち着くのです。」

「シオンスト、シオンって呼んでもいい?」

「はい、構いません。」

「有難う、シオンはとても素直な性格をしているのだね。私もシオンの気持ちが分かるな。」


「私は体を動かす事が好きです。父が騎士団長と言う事もあって、いつも稽古をつけられています。最初は嫌だと感じる事もあったのですが、今は強くなりたいと思うようになりました。」

「ゲムストは真っ直ぐな男だね。きっと私の護衛になるのだろう?君が強くなる事を期待しているよ。」


この後も和やかにお茶会は進んだ。


お茶会が済んだ後、状況の整理。ゲームでの性格と今の性格は大きくはズレてはいないだろうが、ゲーム程単純ではない、と言う事。


ヴェロニカはゲームではプライドの塊、公爵令嬢をはなにかけツンとした性格だったが、実物は聡明さが際立つ。思慮深い感じがした。

エスティローズはおっとり大人しいイメージだったが案外行動的な感じがした。

ゲムストは脳筋、単純、熱血だが、実際はまだ脳筋より素直で一生懸命な感じがした。

シオンストは正確無比、冷血漢だったが少し重圧に辟易として冷めた印象が有るが好奇心旺盛な気がした。


まだ、アイラと出会うのは10年後位だ。それまでに俺達の人間関係を良好なものにしよう。

大体、こんな時期に出会っているのに何故あんなに酷い一方的な断罪が出来るんだか。


俺は王子の孤独を平民のアイラの屈託の無い明るさで包まれ、常識破りな行動に次第に惹かれるようになった。


ゲムストは脳筋、アイラが嫌がらせをされたと言えば、『何て酷い奴だ!』と声高に叫ぶ。その実キチンと調べもしない。直向きに修練する姿を『偉いわ、とても頑張っているんですね。』って言われてコロっと落ちる。


シオンストは宰相の息子で成績優秀者、でもいつもどんなに頑張っても周りは満足せず、常に誰かと比べられる。誰も自分を認めてくれない。それを『いつも一番なんて凄い! とても努力をしているんでしょうね、分からない所聞いても良いですか?』で、心を開くようになる。


なんてありがち&単純。乙女ゲーム 恐るべし。


でもある意味真理でもあるかー、誰だって自分の努力を認めて欲しいと願うものだからな。


本当の友達がいなかったから孤独になったのかなー?

でも、まあ貴族だと本心なんて曝け出せねーかなー。それも事実だ。俺だって表面だけで付き合っているところがある。子供だけど、素直な良い子のままじゃすぐに、魑魅魍魎に喰い殺される。子供は子供なりにこの波を泳いで行く必要が有る。


後は抑圧される環境だなー。

貴族に生まれればそれなりに求められるものがあるからな。本当の子供には重荷だよな。


まあ、俺の人生だから好きにやらせて貰う。

まずは友達作り!ベタだけど、友人関係を濃密にし気づいたフラグは折って行こう!

幸いにも俺には前世の記憶がある。全部は把握していないがイベントも覚えているものもある。寧ろ好都合なのかもしれない。


今回のお茶会で趣味や興味、苦手な事も聞き出した。

それを取っ掛かりに近づいて行こう。



と言う事で、取り敢えず単純そうなゲムストを誘って剣の稽古をする事にした。


第一王子の剣の稽古は当然 騎士団長から手解きを受ける。ゲムストにとっては父親だが、職務中なので割と丁寧に教えてくれる。ゲムストにしても丁寧に教える職務中の父親は初めてだ、嬉しくて仕方ないようで、私に対しても上機嫌で手解きしてくれる。


「騎士団長はとても丁寧に教えてくださるので分かりやすいです。」

「恐れ入ります。ゲムストがご迷惑をお掛けしていませんでしょうか?」

「いえ、同じ年代の者がいるから私も良い刺激を受けています。団長これからもゲムストと一緒に教えて下さいますか?」

「勿論です。こちらこそ宜しくお願い致します。」

「ゲムストは練習熱心だね。私も頑張らなくちゃな。君を見ていると凄くカッコいいなって思うよ。」

「殿下もカッコいいです! 凄く一生懸命で、素晴らしいと思います!」

「フハハ、有難う、何だかくすぐったいな。嬉しいよ。」


それからも度々一緒に練習した。私も勉学の合間にも自主練もした。王子たる者 才秀でていなければ、国民を率いて行けない。己を律して学べる事は貪欲に学んで行く。


それからシオンストとも交流を持つようにした。

シオンストが興味が有るって言っていた物を勉強する事にした、そして『家畜の買い方』を勉強し始めた。


シオンストは宰相の息子だから誰よりも優秀ではなければならないと小さい頃から言われて来ていた。本当は動物と戯れる事が大好きだった。でも、父親に見つかればこっぴどく叱られるのは分かっていた。だから家族が見ている前では興味がないフリをしてきた。


自宅の図書室には本を読みに行き、人の目を盗んでは動物の本を読んだ。

最初は動物の目に惹かれた。曇りなき澄んだ瞳が自分の本当の姿を見てくれている様な気がした、そして僕が何者でも構わないと言ってくれている気がした。それから感情が真っすぐで誰かの顔色を見たりしない、媚びたりもしない、自由に走れる、憧れる。 それからもふもふの毛も、艶々の毛、バリバリの毛もクシャクシャの毛も見ているだけで手を絡めたくなる。おっと、最初 心を通わせ無かった動物達が、自分の手から餌を食べてくれた時は凄く嬉しかった。

実は馬屋のペックおじさんには私の本当の気持ちを知られている。

私はここにいると安らげた。


ヘラルドはシオンストと共に学びたいと王宮に招いた。教師から様々な事を学び、同じ時間を過ごした。こう言った時間はゲームにはなかったな、なんて思いながら自然に、

「シオン、少し休憩しない?」と外に誘った。


長く同じ時間を過ごす事によって少しは打ち解けてくれていると思うけど、言っても相手は王子だ、無礼があってはならないと緊張もしているし、遠慮もしている。


王宮では一般の者が立ち入れない裏庭の一角の方へ歩いてきた。

「ここは秘密だよ。」と言い、ニャビットの所へ来た。


ニャビットとは、猫と兎のあいのこみたいな、モフモフの毛に垂れた耳人懐っこく尻尾は長くフサフサ、モフ好きにはたまらない 癒される動物で有る。


「抱いてみる?」と聞くと、ぐるんと首がこちらを向きキラキラした目を向けてきた。そして、コクコクコクコク、ヘッドバンキングの様に縦に振っていた。 面白い。


「可愛いだろう? 最近疲れるとこの子達に会いに来て癒して貰っているんだ。

この間ね、森に行った時 傷ついたこの子達兄妹を見つけたんだ。だから連れて帰ってきて世話をしているの。

私に怪我をさせたら困ると部屋には連れて帰れなかったんだけど、懐いたら部屋に連れて行っても良いって言われてるの。だから今本で勉強してるんだ。」と言うと、

「殿下! 私も一緒にお世話させて頂いても良いですか?」

「本当? 嬉しい。一緒にこの子達の面倒を見てくれる? そうだ、一匹ずつ名前をつけようか?」


「殿下―! 

私、本当は動物が大好きなのです。でも父には不要だって言われてずっと隠してたのです。でも殿下は隠さず好きだって口に出来る、それって素敵だと思います、憧れます。一緒に名前付けさせてください!」

「うん、私達貴族は制約があって面倒だよね。私も君も十分頑張っているのにね、少し位息抜きしても良いよね。

私はね、王子だから正直本音と建前がある、だけど友達には本音で付き合いたいと思ってる。シオン 私の友になって。良いでしょ?」

「はい、はい、私も本音が話せる友に、ズビ、殿下の友になりたいです!」


ふっ、落ちたな。


「宰相の事もあるから、この子達のことは内緒にした方が良いのかな?

所で名前は何が良いかな? えへ。」

「はい、すみません。今はまだ内緒にして貰えますか?」

「うん、そうしよう。私達だけの秘密だね。」


ニャビットは 雄を アナミ 白色 雌を ユナミ 黒色 友と名付けた。


二匹のニャビットは凄く懐いて呼べば来るし、20cm位の大きさで抱っこしてモフモフも出来る。寒い時は首にマフラー代わりに出来るぐらい大人しい。強面さんもあまりの可愛さに垂れ目になってしまう程、魅力の塊だった。


「殿下、アナミとユナミは凄く懐きましたね。もう、殿下のお部屋で飼われても問題無いのではありませんか?」

「そうだね、この子達は凄く懐いてくれて可愛い。でも正直迷っているんだ。」

「何をですか?」

「私の部屋で飼えば、雨風も凌げ、侍女たちもきちんと世話をするし快適だと思う。

でも、この子達は元々森で住んでいただろう? だから、宮殿の中に囲ってしまうと窮屈じゃないかと思ってね・・・。

ほら、ここならこの子達は自由だ。好きな時に昼寝も出来る。

でも、本当は森に返してあげるべきなのか、ここで暮らすべきか、私の部屋にいるべきか 考えてしまうんだ。」


「殿下はお優しいのですね。私は殿下の部屋でこの子達をモフる事ばかり考えてしまっていましたが、殿下はこの子達の幸せを考えてあげていたのですね。


僭越ながら申し上げますと、森に返す事は難しいと思います。ここまで人に慣れ、餌を貰う事に慣れてしまっては自分で狩りをする事も難しく・・・。

それに、殿下の私室はやはり窮屈かも知れませんよね、人の目に常にさらされることは、人にとっても動物にとってもストレスかもしれません。

私はここにいる事がこの子達に幸せだとおもいます。」


「そうか、そうだな私もそれが一番の気がする。

シオン、これからもここで共に世話をしてくれるかい?」

「勿論です、殿下。」


秘密の共有、重要事項の決定権、意思尊重、信頼 シオンは落ちたな。

少々腹黒だが、25歳のおっさんからすればこんなものだろう。


次の攻略対象は、令嬢二人。

しかし、ここで難しいのはあまり親密度を上げてしまうと

婚約話しが持ち上がってしまう事、故の個人を呼びつけるのも、出向くのもNG。


エスティローズは本が好きだと言っていたな、ここから攻めてみるか。まずは文通、そして本についての考察を重ね、悩みを打ち明け易い状況を作り出す。


ヴェロニカにはひとまず好きだと言っていたミモザの鉢を贈ってみよう、視察中に見つけたので、と添えて。


私は、王子の職務を全うしながらもこも4人との友人関係を濃密にするべく行動し、今や冗談が言い合える程の仲良しとなった。頑張った、俺。


そしてとうとう来月から優人学園に入学となる。アイラとの対決 違う 絡みは更に一年後、4人もゲームのような影は無い。俺は婚約もしていない。そしてもう一つのお約束、俺が転生者である以上、他にも 例えばアイラとか転生者がいると言う事だ。気を引き締めて行くぞー!


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