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スーパーのおばさん

作者: おとのみ

 そのおばさんは、深夜のスーパーにいた。どういうわけでスーパーのパートになったのか、僕には分からない。ともかくそのおばさんは、いつもスーパーにいた。僕は大抵、深夜の二時頃にスーパーに行く。毎日ではない。週に二回か三回。その程度だ。そのたびに、おばさんはいつもスーパーにいた。あるいはおばあさんと言うべきかもしれない。彼女の年齢は謎に満ちている。


 僕がレジに買い物かごを置く。

「いらっしゃいませー」

 ピッピッ。

「わりびきかーどはおもちですかー?」

「いいえ」

 ピッピッ。

「しつれいしましたー」

 ピッピッ。

「レジ袋をひとつ」と僕が言う。

「おおきいのでよろしいですかー」

「はい」

 ピッピッ。

 ピッピッ。

 ピッピッ。

「おかいけいせんひゃくごじゅうにえんになります」

 僕がお金を払う。

「ありがとうございましたまたおこしくださいませー」


 このやりとりを、僕らはもう三年も繰り返している。彼女はなぜ、まだここにいるのだろうか。僕ときたらとっくの昔に飽きてしまった。彼女の言う台詞を、僕は一言一句頭に浮かべることができる。

いらっしゃいませ。

割引カードはお持ちですか。

大きいのでよろしいですか。

いらっしゃいませ。

いらっしゃいませ。

いらっしゃいませ。


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2020/05/15 00:14 退会済み
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