4ツ葉のクローバーってただの突然変異だと思う
早くも1500Hitありがとうございます。
屋上での一時。2人の男子生徒とかなり可愛い女子生徒が座って学習中。
「だからさ、そこはXに置き換えてさ」
「うんうん……あ! できたぁ。さっすがは原田君! ゆりかでもわかるんだあ」
「応用だって頑張れば誰でも解けるようになるよ。泡沫は? 解けたか?」
「……」
「……泡沫?」
「……」
解けない。基本は解けるのに、応用が解けない。ゆ、ゆりかだって解けたのに! ショックだ。僕、ゆりかよりは頭良いと思ってたのに!
「杏ちゃん、ここはXじゃなくてYだよう」
え、今僕ゆりかに教えて貰ってんの?
「う……っ」
「き、杏ちゃん!?」
「う、泡沫泣くな!」
「な、泣いて、ねぇよ」
皆さんこんにちは。若干17歳にして人生のターニングポイントにさしかかってしまい、何故か今涙ぐんでいる青少年(これは僕の中ではイケメンと読みます。え、どうでもいいって? 連れないなあ)、泡沫杏佑です。
今日は『イケメンは顔だけじゃねぇんだよ』と言うゆりかの恐ろしい助言により、学年一のイケメンで頭良し顔良し運動能力良しの三良君である原田雅樹大天帝にイケメンとしての嗜み(たしなみ)としてお勉強を教わっておりましたところでして。
「ほら、あのさ、あれだ。泡沫はさ、飲み込みが遅いけど、一回わかれば忘れないタイプなんだよ」
ああ、原田の笑顔、どんなときでも爽やかだなぁ。でもね、原田。
「僕、飲み込み早い方なんだ」
「へぇ。……! それって」
焦る原田、黄昏る僕。
「あ、お気遣い感謝します」
「ごめん」
落ち込む原田に今度は僕が焦ってしまう。
「原田は悪くないよ」
そうだ。原田は丁寧に教えてくれてたぞ。多分問題は僕なんだ。
静かだったゆりかが実に可愛い笑顔を浮かべた。
「そうだよ。杏ちゃんがバカなだけだよ」
「ゆりかに言われたくな……すみませんでしたぁぁぁああ!」
こっぇええ! 足抓ったこの子! 笑顔で抓った!
「クハッ!」
「原田ー」
「だって、萩本、がっ! ククク、アハハハ!」
原田って本当にゆりかのことツボなんだなあ。最近僕もゆりかのメガネ狂に対してあまり驚かなくなったし。慣れって怖い。
「さて、戻りますか」
「そうだね」
「じゃあまた、放課後」
なんだかんだ言って、最近僕と原田とゆりかは良く連んでいる。自然と一緒にいるんだ。
「でも3人とも違うクラスなんだよな」
「ん、なになに?」
いや、独り言ですよ、原田大天帝。
「何でもない」
「?」
なんか、メガネかけてから本当に変わったな。僕の日常。僕のクラスが近づいたから、原田やゆりかと別れる。
「あー、平和平和」
そう、呟いたときだった。そいつが突然僕の前に現れたんだ。
「そんなメガネ美男子・泡沫君の平和を脅かす者、ここにあり!」
「……幻覚か」
そうだ。あれは幻覚だ。だってじゃないとまたせっかく慣れてきた日常が壊れるじゃないか。神様も、そこまでは僕の平穏に興味を持たないはずさ!
「幻覚じゃぬぁああい!」
赤いオシャレメガネ。切り揃えられた黒髪。僕の直感が、近づいたら後悔すると叫んでいた。
「見えない。僕にはお前は見えないぜ」
「泡沫杏佑! 君はこのメガネ美男子仲間である僕を無視するというのかあ!」
「知るか」
お前が美男子語れるかっつうの。
ハッ! しまった、少し反応じみたことをしてしまった!
「くそー! 僕の顔を見ろ!」
「見たら相手しなきゃいけなくなるだろうが」
見るからに(この場合の見るからには表現の一部だから勘弁してくれよ)ウザそうな奴の関わり合いになりたい奴なんているのか? いや、多分いないだろう。それは僕であっても例外とは言えないのだ。
確か見たことない奴だから、別クラだろう。なら、僕のクラスに入ってしまえばこっちのものと言うことだ。
でも、ウザそうな奴ってこういう時に予想外の行動力を発揮しちゃうんだよな。
「僕は牧山春風だぁぁああ!」
何が起きたのか、僕は始めわからずに、間抜けな面をしていたと思う。何故なら、牧山春風と言う、無駄に爽やかな名前を名乗りやがった男は、今僕の上に馬乗りになっているからだ。
「……」
「……ポッ」
「顔赤らめてんじゃねぇぇええ!」
僕の日常、またまた破滅へのロンドを奏でているみたいです。あ、テ○プリの跡○様じゃないぜ。