13と言う数字が不吉に思えるのは僕だけなのかな
大変長らくお待たせしてしまってすみませんでした。軽くスランプに陥ってしまっています。ごめんなさい。
昨日あんなにゆりかが怒ったことが良くわからなくて、原田に相談してみる。女子の扱いが上手い原田なら、良いアドバイスをくれそうだった。
「なあ原田、どういうつもりだと思う?」
「そりゃあれだろ、萩本は……」
でも、自分の問題は、自分で解決しなきゃって神様は思っていらっしゃるみたいです。視界の端から、サーモンピンクの頭がドアップで覗いた。
「ゆりかが何ですって?」
その顔からは怒っている様子は伺えない。
「うわっ、ゆりかいたのか!」
もう怒ってないのか? あーわけわからん! 昨日のアレは何に怒っていたんだ?
「何よその言い草は! 言っておくけど昨日のアレは保留にしてやっただけで、許してなんかないんだから!」
「……なんか、ごめん」
ゆりかが僕に対して怒ったことを保留にするのは、いつものことだ。と言うのも、僕はいつもゆりかの気持ちがわからなくて、結局ゆりかが保留にしてくれない限り仲直りできないから。
「全く、杏ちゃんはいつになったら真のイケメンになるのやら」
真のイケメン……それは真のイケてるメンズ! それ無理じゃね?
何か、真って言う響きがマジすぎて無理だ。
「無理だな」
「また杏ちゃんはそういうことを言う!」
「何だよ。杏ちゃん、杏ちゃんってさ。中国人かよ! キョウ・チャンってのかよ!」
「泡沫、論点がズレてるぜ」
「キョウ・チャン……? ふ、ふふふっ。あははははは!」
あれ、良く考えたら、僕なんか面白いこと言ってる? うわ、今頃ピークきた!
「くっ……くはは! うわぁ、ウケるなぁ!」
そんなこんなで、未だにメガネ美男子やってます、泡沫杏佑です。皆さんこんにちは。お元気でしたか? え? 更新が大幅に遅れた理由ですか? そんなの、作者の紗英場さんに聞いて下さいよ。
ところで、今僕達は、屋上にいるわけで。
「なぁ原田。今日は何するんだ?」
今日は、原田に呼び出されて屋上に来たから、てっきりまた改造計画かと思いきや、原田は笑って首を横に振った。
「いいから、今から杏佑の家に行くぞ」
いつからか、原田は僕のことを杏佑って呼んでくれるようになった。皆は泡沫泡沫って呼ぶから、少しだけ嬉しい。僕も原田のこと、雅樹って呼んでみたいけど、慣れないし申し訳ないしで、たまにしか呼べてない。
僕とゆりかと原田は、僕の家へ向かった。
「なぁなぁ、僕の家で何するんだよ」
「まぁまぁ、自分の部屋に行けばわかるって」
そんなやりとりを2、3回程繰り返して、僕の家に到着した。
「杏佑、先に部屋に行っててくれ。ちょっとトイレ借りるぞ」
「おう」
渋々と2階にある自室へ向かう。
「うお、真っ暗」
僕が電気のスイッチを押そうとしたその時だった。
「泡沫、誕生日おめでとうー!」
左右から黄色い声援とともに、何かが弾ける音がする。電気がついてからようやく、それがクラッカーだとわかった。
「えっ、な、んで?」
真っ白な頭を何とか働かせて、今日が誕生日だったことを思い出す。1人暮らしだから、すっかり忘れていた。今日、僕の誕生日だ。
「原田がさ、泡沫の家でドッキリパーティーしようって言うから」
「……原田が?」
「良い奴だよな。今まで何か絡み辛かったけど、アイツ全然気さくだしさ。流石は泡沫だよな。親友まで良い奴だよ」
僕の部屋には、山咲君や後藤君、真鍋さんをはじめ、5、6人のクラスメートがいた。原田、僕のためにパーティー開いてくれたのか。何か、すげぇ嬉しい。こんなん、はじめてだ。親友がいなかったから、パーティーなんて、開いたこともない。原田は、親友なのかな。山咲君は親友だと思ってるらしいけど。
「おい、杏佑! コレは俺からのプレゼント」
下の階にいた原田が上がって来て、未だに部屋に入っていない僕の背後から話しかけてきた。
「は、原田ぁ……! ありがとう!」
「何言ってるんだよ。俺達親友だろ。だから、その原田っての止めろよ。雅樹で良いからさ」
「……原田!」
「だから雅樹で良いって」
「あっ、雅樹」
「ちょっとちょっとー。私のこと忘れないでよう」
「ゆりか」
やはりまだ部屋に入っていない僕と原田の背後からゆりかが上がって来た。その手には、ケーキが収まっている。
「はいこれ、ゆりかからのプレゼント。手作りなんだよ」
「ゆりかはお菓子作るの上手いからな。ありがとう」
この際そのケーキのプレートに、“メガネ美男子”と書かれていたのは目を瞑りたいところだ。
その日、僕の部屋はいつになく賑やかで、久しぶりにパーティーなんかしたもんだから、皆が帰るときには何だか少し寂しい気がした。