べ、別にセ○ン11が好きな訳じゃないぞ!
さて、皆さんこんにちは。今僕が何をしているかと言うとですね。
「題して、泡沫杏佑改造計画、開始!」
原田の家で、ゆりかに首根っこを掴まれています。
「あははは」
「原田ー!」
全く、猟奇的な美少女を見て大爆笑するイケメンだなんて、どういう光景だよ。でも、これが今の僕の居場所なんだ。さんざん迷って、周りを巻き込んだって僕を待っててくれる場所。
「さあー、杏ちゃん! まずはメガネの上げ方からよ! そうね……こう、ゾクッとするような、セクシーな感じで!」
そいつはゆりかの趣味だろ。
「それ、やる意味あるのか……すみませんでしたぁあああ!」
笑顔で抓った! もうやだこの子!
「プフッ……たまらねぇっ」
「原田ー」
原田の笑い上戸は今日も絶好調だ。爆笑中の原田をよそに、ゆりかは酷く楽しそうだ。
「さっ。まずは中指でメガネの真ん中を上げるとき!」
え? まずは中指……ってことは、パターンがあるのか?
「こ、こうか?」
「違うよ杏ちゃん。実際はメガネを上げるときの表情だよ!」
あ、そっちね! ええと、できるだけ顔の力を抜き、僕よりも背の低いゆりかを見下す勢いで流し目をしてみる。
「こうか(声色セクシーめ)?」
「ヒュッ」
突然、ゆりかがひきつけを起こしたみたいに、床に倒れ込んで痙攣しだした。
「ゆりか(声色通常)!?」
思わずゆりかを抱きかかえて揺さぶる。ゆりかは案外早く回復すると、頬を染めた。
「ヤバ……ゆりかもう、杏ちゃんのこと……そう言う目でしか見れないかも」
「えぇ!?」
や、やっぱりゆりかは僕のことが好きなのか? ま、そんなラブコメないわけで。
「メガネ萌え!」
「わっ……! びっくりした、いきなり大声出すなよな!」
ですよね。こう言うオチですよね。しかもメガネ萌えって……ゆりか。
「杏ちゃんごめん。ゆりかもう杏ちゃんのこと、友達として見れないよ」
「ゆりか……」
「萌えの材料としてしか見れないよ!」
そうかそうか。萌えの材料か。
「はぁあ!?」
ていうかゆりかっていつからメガネ萌えだったの? (最早メガネ狂か)動揺する僕、涙を流して、床を転げ回る原田。
「ヒッヒッヒ! ヒィイイ!」
いくらなんでも笑いすぎだ!
「原田が何かヤバいって!」
ゆりかは原田を完全無視だ。
「杏ちゃーん。もう一回して! さっきの」
リクエストされて、ついつい応えてしまう。
「こう、か(声色セクシー)?」
「ぐはぁ!」
「ゆりか(声色セクシー)!」
あ、あれ? 喉が……おかしいな。
「杏ちゃん声、治ってな……! うぉぉおお、萌えぇぇええ!」
ゆ、ゆりかが怖いよぉぉお! 原田笑ってないで助けろよ!
「うわぁ、どうして声が戻らないんだ(声色セクシー)!?」
「ギャァァアア! 萌え死にするぅぅう! キュン死にするぅぅう!」
「……」
僕もう、話すの止めたい……。
「おい泡沫。咳してみ?」
やっと笑いが収まった原田が、アドバイスをくれる。
「ん、んんっ。あ、あー。おっ、治ってる! ありがとう原田」
涙を流して喜びを表す。今なんか、見ちゃいけないゆりかを見てしまった……気がする。
「んや、構わんよ(声色セクシー)」
原田が遊び半分なのか、急にセクシーを作り出しやがった。お前がするとシャレにならないんだよ!
「ぐはぁ!」
「ぐはぁ!」
原田がやると何かエロいんだけど!
「はははっ。これ面白いなぁ。次から俺の必殺技にでもすっかな」
「いや、原田ファンクラブが増殖するだけだぞ、きっと」
「あー。それはちょっと」
「ゆりかは(声色セクシー)?」
ゆ、ゆりか……! 女子がしちゃいけません!
「ぐはぁ!」
「ぐはぁ!」
キュン死にする僕達に更なる追い討ちが。
「あ、これやる方はなんかカ・イ・カ・ン(声色セクシー)」
可愛い女子がするとヤベェ!
「エロい!」
「エロい!」
「そうかしらぁん(声色セクシー)?」
「あっ、今のは別に……」
「えっ」
「ていうか、今メガネの上げ方やってるんだよな?」
「……」
「……」
あっそーでした♪ こんなんで大丈夫なのか? 泡沫杏佑改造計画。まだまだ続くらしいぜ!