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シリアスモードをやっと抜け出します。

 皆さんこんにちは。泡沫杏佑です。僕は今、1人ワックで黄昏ているわけで。

「君、格好いいね。今暇なの? だったら私達と遊ばない?」

 僕は変わってしまうのが、怖い。それがわかったから。

「僕、全然格好良くなんかないんです」

「はぁ?」

「だから、君達には釣り合わない」

 行動しなきゃ。この場所から進めるように、努力しなきゃ。

 僕が立ち上がった瞬間に、背後から原田の声がした。

「そーだぞ!」

「原田」

 驚く逆ナン女子大生達をよそに、原田は僕だけを見ている。

「決着はついたのか?」

「……うん」

 原田が、嬉しそうな、爽やかな笑顔を浮かべた。そのまま、僕に背を向けて歩き出す。いつの間にか、女子大生達はいなくなっていた。

「じゃ、行くぞ。萩本も外で待ってる」

 あまりにもあっさりと歩き出した原田に、少し戸惑って足が止まる。

「あの」

「何だ?」

「怒ってないのか?」

 僕が頼んだ訳じゃないとは言え、親切にカテキョしてくれてたのに、あんなことを言ってしまった。きっと原田は怒っているはずだ。

「必要ない。これは俺じゃなくて、お前自身の問題だ」

「……ありがとう」

 再び歩き出す原田の背中に向かって言うと、原田はやはり背を向けたまま手をヒラヒラとさせた。痺れるぜ。

 ワックを出ると、ゆりかが少し退屈そうに壁にもたれかかっていた。夕日は沈みかけていて、少しだけ暗い。ああ、いつもこうならゆりかは完璧な美少女なのになあ。

「杏ちゃん!」

「ゆりか……ごめんな。ここ、わかったんだ?」

「だって、杏ちゃんいつもそうでしょ。爆発すると、自動車で必ずワックに来るんだもん。発想に進歩が見られないよね」

「うん……?」

 あれ? 若干、最後失礼じゃなかったか? まぁ、今は気にしてられないよな。

 僕とゆりかの様子を眺めていた原田が、手を2回叩いた。

「さってと。じゃ今から泡沫改造計画開始しますか」

 原田が腕を頭の裏で組む。ん? 改造計画って何ですか?

「はは、面白い顔をしているな、泡沫」

「あのねぇ、杏ちゃん。杏ちゃんが進歩しないから、私と原田君で計画を……」

 怖えぇえ! ゆ、ゆりかが笑ってるよ!

「私のメガネ美男子が更に格好良くなるためなら、何でもするんだから……!」

「……」

「あははは!」

 原田絶対おもしろ半分だ!

「さっ。原田君ん家行くよ!」

「ぎゃぁああっ! 助けてえ! 話せよゆりか! うぅ……一体何をするんだ!?」

「ハハハハ! ククク……萩本……最高」

 僕はいつまでも止まない原田の笑い声をBGMに、すっかり暗くなった原田家への道をゆりかに引きずられて行った。



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