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この日の私は少しばかりおかしかったのだ。まぁ、飛び降りようだなんて考えるくらいには。人生山あり谷ありともいうけれど、まるで自分が底のない谷を落ちているようにも感じられて疲れ果てていた。
だからだろう、高いビルの上なんか眺めて。そこに向かおうとして――
「ちょ、ちょっと待った!」
呼び止められた。
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人生山があれば谷があるとも。
それだけでこぼこしていれば疲れてしまう。
足はパンパンで肩は上下する。
私はもう、歩き疲れたのだ。