俺は特に名もない、ただの猫である。
野良猫の日常の一部分をを切り取って書いてみました。
俺は猫、特に名も無い、ただの猫である。
しかし、人間には様々な名前で呼ばれている。
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そんな昼下がり、下校中の中学生3人組に出会す。
「お、ミーコだ。」
男の子に指をさされる。
「えっ!ミミじゃないの?」
女の子が、聞き返す。
「いや、ミーコだって。」
2人が言い合う中へ。
「2人とも惜しいよ。
俺はミミコって聞いたぞ。」
3人組が話す中、猫は。
「俺はメスじゃねー!」
人間には聞こえないツッコミを入れる猫であった。
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次に歩いて来たのは、おじいさんだった。
「餌をやるから、こっちへおいで。」
おじいさんに、手招きされ近付く。
「よしよし。」
おじいさんは撫でながら、買ってきたお刺身をくれた。
(ムシャムシャ。)
猫は夢中でお刺身を食べた。
「よく食べたな、偉いぞポチ。」
猫は頭を撫でられながら。
「俺は犬じゃねー!
猫だー!」
また人間には聞こえないツッコミをした猫であった。
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ある日、猫は友猫と会話していた。
「人間って、何で勝手に名前付けてくるんだろう。」
友猫が聞いてくる。
「さあなー。」
猫は軽く返事する。
「この前、飼い猫と間違えられたんだぜ。」
友猫が溜め息をつきながら話す。
「まだ同類に間違われただけマシさ。」
猫も溜め息をつく。
「お前も間違われたのか。」
猫は頷く。
「先週、おじいさんにポチって呼ばれた。」
友猫は目を丸くした。
「……どんまい。」
友猫は猫の肩に手を置く。
「それだけかよ!」
友猫にツッコむ。
「じゃあ、アハハ犬に間違われるって傑作!」
友猫は腹を抱え笑う。
「笑うなー!」
猫は猫パンチを友猫に放つ。
「グフッ!」
友猫は飛び起きる。
「何するんじゃー!」
友猫は猫パンチを仕返す。
「なんか猫同士が喧嘩してるよ。」
「そうじゃのぅ。」
通り掛かった中学生3人組とおじいさんが見ている。
(ジロリ…。)
「お前達のせいだー!」
猫と友猫の人間には聞こえないダブルツッコミを放つのだった。
§おしまい§
読んで頂きありがとうございました。
切り取ったのは、ごく一部ですが、猫はどう思っているのかを想像してみました。
ぜひ感想をいただけるとありがたいです。