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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

神が選びし娘

作者: どんC

 何故こんな事になったの?


 私は【神が選びし娘】なのに?


 国民に慕われ、臣下に敬われ、王に愛され。


 皇后になった。


 幸せに暮らすはずだった!!


「騙したな!!」


 何故? あんなに優しかった彼が私を罵るの?


 憎悪に歪む顔。


「私はこの魔女と神官達に騙されたのだ!!」


 私に愛を囁いたその口から私を罵る言葉が紡ぎ出される。


「私はこの魔女に騙されたのだ!! 本当の【神が選びし娘】はエカテリーナだったのだ!! 私はエカテリーナを愛していたが、【神が選びし娘】と結婚するのが王の務めだ。泣く泣くエカテリーナを側室にした。」


 涙を流す彼。


「神官共は噓の神託をしてこの魔女を【神が選びし娘】として私達を騙した。それどころかエカテリーナと彼女の父親を無実の罪で殺させた!! 教会が【神が選びし娘】と神託をしなければ私は黒目黒髪のこんなどこの馬の骨とも分からない。薄気味悪い女など側室にすらさせなかっただろう!!」


 私はただ茫然と彼を見る。


 黒髪もこの瞳も美しいと言ってくれたのに。


 馬の骨? 薄気味悪い……


 彼女と彼女の父親は私を殺そうとしたから処刑したと彼は言った。


 全ては彼の判断だ。


 私は何も言っていないし、何もしていない。


 彼女エカテリーナの助命はした。


 でも彼は「君は優しいね。でも皇后を殺そうとした者を許すわけにはいかないのだよ」そう言って二人を処刑した。


 斧が煌めいて赤い血の花が咲き。


 ごろりと首が転がった。


 父親の転がる首を見て彼女は泣きながら訴えた。


 父も私も無実だと。


 そう叫んでいたのに。


 それを無視したのはあなたじゃない!!


 転がった二つの首を見て笑っていたあなた。


「もう大丈夫だよ。これで君をいや私達を脅かす敵は居なくなった。君は安全だよ」


 そう言って笑っていたじゃない。


 この男は何を言っているんだろう?


 敵は居なくなった? 私は安全? じゃ今私達を縛り上げ罵っている群衆は敵では無いの?


 私を【神が選びし娘】と判断したのは教会で。


 貴方が私を皇后に迎え入れたのだ。


 私は一言だって【神が選びし娘】だと言ったことは無い。


 私は皇后になるよりも元の世界に帰りたいだけだった。


 そう私はこの世界の人間ではない。


 私は日本という国に産まれて育った。


 父はサラリーマンで母はスーパーに勤めていた。


 私は平凡な高校生で。


 平和な世界で幸せに暮らしていた。


 帰りたい……お父さん……お母さん……


 でもこの世界の神が私をこの世界に呼び寄せた。


 私をこの世界に落として、勝手に【神が選びし娘】と祭り上げて。


 勝手に皇后にして。


 そして……


 飢饉が収まらない? 雨が降らない? 内乱が起きた? 


 辺境を守っていたエカテリーナの父親が処刑されたから、国境を守る者が居なくなった。


 だから外国が攻めてきた? 


 知らない!! なぜ私が責められるの!!


 5年前 エカテリーナと辺境伯である彼女の父親が処刑された広場に私達は引きずり出され。


 あの時の彼女と同じ粗末な服を着せられた。


 あのいけ好かない首相の息子が私達の罪状を民に告げる。


 くどくどと私に説教した男だ。


 皇后としての務めを果たせとか無駄遣いするなとか。


 本当に口やかましい男だった。


 エカテリーナが処刑されていた時、彼は隣の国に和平を結びに行って。


 この国には居なかった。


 帰ってきた彼はエカテリーナ親子が処刑されたと知るや否、職を辞して地下に潜み。


 反乱を陽動して私達を城から引きずり出した。


 そして彼は言う。


 私と彼が【神が選びし娘】を殺したとエカテリーナこそが本当の【神が選びし娘】であったと。


 私は偽物だと。


 真の【神が選びし娘】を冷遇して殺したから神はお怒りになられたのだと。


 だから……飢饉も内乱も戦争も皆皆私のせいなのだと……


 私を皇后に祭り上げ祝福した民が私に石を投げる。


 魔女と嘘つきと偽物と。


 口々に罵る。


 痛い!! 痛い!! やめて!!


 私達は柱に縛り付けられて足元に薪が積み上げられる。


 隣で王だった男がブツブツとエカテリーナを愛していたんだと呟く。


 首相の息子の合図で私達の足元に火がつけられた。


 薪には予め油がかけられいたんだろう。


 瞬く間に私達を焼き尽くす。


 熱い熱い熱い熱い!!


 苦しい!! 煙のせいで息ができない。


 痛い!! 炎が体を焼く!!


 お父さん!! お母さん!! 助けて!!


 誰も助けてくれない。


 この世界には神が居ると言うのに。


 私は【神が選びし娘】なのに。


 何でこんな目に遭わなくちゃいけないの?


 憎い!! 憎い!! 憎い!!


 呪われろ……


 神も王も貴族も平民も。


 皆皆呪われろ!!


 目の前が黒く塗りつぶされた。







 気が付くと闇の中。


 一人ポツンと立っている。


 あたりには誰も居ない。


 いえ……誰かいる。


 波打つ金の髪、空を思わせる青い瞳。品のある顔。


 闇の中だというのに彼女の姿ははっきり見える。


 粗末な服を着ていても彼女は美しい。


 あの白い粗末な服を着た娘は、エカテリーナ?


 誰かと話している。


 光? 


 温かな光が闇を払う。


「あの女が何故【神が選びし娘】なのですか? 本当の【神が選びし娘】なら飢饉や日照りや内乱や他国が攻めてきたのは何故ですか?」


 私も知りたい。何故私が【神が選びし娘】なのか。


 誰かの声がする。


『彼女は確かに【神が選びし娘】だ。だが、異世界の神の妨害に遭い。異世界に産まれてしまった。慌てて連れ戻したが時間の流れが向こうの世界の方が早い為、バランスを取る為に18年後に転移させたのだ』


「異世界の神が何故そんな事を?」


『異世界の神と私とは考え方が違うのだ。異世界の神は余り人に干渉しない。見守るだけだ。私は我が子達を教え導かねばならぬ。あ奴は皇帝の伴侶を神が決めるべきではないと、昔から突っかかってきた。【娘】を攫ったのも私への嫌がらせだ』


「そうですか。神様も色々あるんですね。でも何故彼女は祝福を与えることができなかったのですか?」


『【娘】がいない間、お前に彼女の代わりに半分だけ祝福を与えていたのだ。【娘】の力も半分になった。そのお陰で世界は辛うじてたもっていた。そして半分になった【娘】と半分の力を持つお前たちが力を合わせてこの世界に祝福を与えるはずだった』


「所が私は処刑され、【娘】は祝福を与えることも出来なかった」


『異世界で育った【娘】は祈る事を知らない。祈らなければ世界に祝福を与える事が出来ず。災いが起きた。【娘】は義務を果たさず皇后の甘い汁だけすすった。その結果民に処刑された。当然だろう向こうの世界の言葉で『働かざる者食うべからず』と言う言葉がある』


「私は祈っていたからこの世界に祝福を与える事が出来ていたのですか?」


『そうだ』


「世界はどうなったのですか?」


『祝福を貰う事が出来ず50年後に滅びた』


「新しい【神が選びし娘】を送られなかったのですか?」


『皇帝が血筋を残さず処刑されたのだ。送れない。この世界に祝福を与えるには初めに創ったルールがあるのだよ。この世界のルールは皇帝の妻は【神が選びし娘】で【娘】は祈りでこの世界に【祝福】を与える事が出来る。神とは言えそのルールを破る事は出来ない』


「神とは言え中々難しいのですね」


 彼女はため息をついた。


『ところで私は時を戻す事が出来るもう一度やり直してみないか?』


「いえ……結構です。またあの二人にも愚かな民にもただ王家に盲目的に従う父にも振り回されたくありません。私は死んだのです。死人らしく眠りとうございます」


『そうか……ゆっくりお休み。【娘】よ』


 彼女は光となって消えて行った。


 眠りについたのだろうか?


 彼女もまた【神が選びし娘】だった。


 首相の息子の言っていたことは半分だけ当たっている。


『でっ……君はどうしたい?』


 いきなり神が訊ねてきた。


 温かな光が私を照らす。


「私? 私は帰りたい」


『それは無理な話だ。君はあの世界の住人ではない。私があの世界に送っても弾き飛ばされるだけだ。それに君はトラックに轢かれて死んだ事になっている。帰れたとしても君の居場所はないし家族も友人も君を認識できない。幽霊のようなものだ』


「そんな……酷い……私には無理。それに前に神に祈りを捧げた時、血を吐いたわ」


『ああ……そうだな。神の祝福をお前の体を通路にして世界に流すのだが、魔力の無い世界から来たお前の躰では【祝福】は猛毒だな』


「酷い……酷い……これじゃあ詰んでるじゃない!! 【祝福】も与える事が出来ず、王妃教育もまかりならなくて、高校生程度の半端な知識では知識無双も出来ない!! 何の役にも立たないじゃない!!」


『元々【神が選びし娘】は生贄なんだよ』


「なんですって!!」


『この世界で育ったとしても王と結婚して10年生きられたらいい方だ。後は【王墓】に収められた体から【祝福】が流れて世界は保たれる。お前の体は焼かれ川に流された。【王墓】に収められないのであれば【祝福】は流れない。それもこの世界を創った時のルールだ。50年後世界は終焉を迎えた』


「死んだ後もこき使われるの!! ブラックだわ!!」


『お前はそれを言う資格はない。お前は働かなかったんだから』


「私は悪くない!! 王が居てくれるだけで良いって言ったわ。理不尽すぎる。皆皆あんたが悪いんじゃない!!」


『日本の神も祟り神であっただろう。神とは理不尽な者だ』


「エカテリーナは協力してくれないのね。酷いわ!! 彼女こそ国の為にその身を捧げるべきよ!!」


『ああ……流石に50回もお前たちに殺されたのだ。愛想をつかしたのだろう。もう今後の世界に彼女は居ない。辺境伯には息子がいるだけだ。彼女は舞台から降りた』


「50回? えっ? 何それ……知らない……」


『私が記憶を消したからね』


「記憶……消された……」


 神が何かを呟いた。


「あ……い……痛い!! 頭の中に記憶が流れ込んでくる……」


 私の頭に封印された記憶が蘇る。


 どの記憶も若干の違いがあるが、大まかに言えばエカテリーナ親子が処刑され。


 その5年後に私達も処刑される。


 私はどのルートでも【神が選びし娘】の務めを果たせなかった。


 私は指を握りしめ震えた。


 何て役立たずな【神が選びし娘】なんだろう。



 神の側に天使がやって来た。


 美しい天使だ。


 天使は神に何事かを告げた。


『そうか……別のルートで上手く行ったか』


 神は私を見た。


 姿が見えた訳ではないが、神の視線を感じた。


『他の並行世界のお前が死んだ。その世界のお前は血反吐を吐きながらもその世界に祝福を与える事ができた。そして死に王族の王墓に埋葬され。その亡骸から世界に祝福を与える。因みにその世界のエカテリーナとお前は仲が良く二人で協力して王を支えた。これで他の世界もその世界につなぎ合わせれば救われる』


「世界が救われたのね。だったら私をその世界に転移させてもう皇后にならずに済むわ。私は平民として生きていくわ」


 私は頭の中で計画を立てた。『神に生き返らせてもらった』と王とエカテリーナに会いに行ってそう言えばいい。


 私はまた贅沢三昧に暮らせる。


 もう王(彼)にも罵られなくて済む。


『平民として暮らしていくのか?』


「ええ。お願い」


『分かった』


 神が頷く気配がする。


 やったー!! 神を騙せたわ!!


 辺りが眩しい光が溢れる。


 水水水!!


 私の周りに水が溢れている。


 しかし……不思議なことに水は私を濡らさない。


 噴水のように水は私を大地へと運びふわりと降り立った。


 ここは?


 王城にある池だ。


 雅な音楽が流れ。


 あたりには着飾った人々が溢れている。


 御馳走とお酒と祝福に満ち溢れた光景。


 ああ……この光景見たことがある。


 私が初めてこの世界に来た時の風景だ。


 確かかれとエカテリーナの結婚披露の前夜祭だ。


 貴族達とメイドに侍従達がポカンと私を見ている。


 無理もない、池から光り輝く女の子が現れたのだ。


 しかも死んだはずの【神が選びし娘】が蘇ったのだ。


 王が私の側にやって来る。


 エカテリーナも彼の後ろに控えている。


 騎士が何時でも攻撃できるように私の周りを取り囲む。


「君は誰だ?」


 しかし王は私を初めて見たと言わんばかりの台詞を吐いた。


 ???????


 えっ? ちょっと待って。王とエカテリーナの衣装を見たことがある。


 王は白地に金の刺繡の入った服を着て、エカテリーナは薔薇のような赤いドレスを纏っている。


 あれ? 


 私が【神の選びし娘】として初めてここに来た時もその服だったよね?


「私の名は美玖。【神が選びし娘】です。王とエカテリーナ様に神の祝福を持ってきました」


 ??????


 えっ? なに? 口が勝手に動いて王の足元に跪く。


「何と!! 素晴らしい【祝福】がもたらされるのか?」


「皇帝万歳」


「エカテリーナ様万歳」


「【神が選びし娘】万歳!!」


 辺りは歓喜に満ち溢れる。


 嵌められた!!


 畜生!! 神を騙したはずが、騙されたのはこっちだ!!


 私は2人を【祝福】した。


 私の祈りから光が溢れ、2人を包む。


 これでこの二人は20年は年を取らない。


 ひいいぃぃぃぃぃぃぃぃ~~~~~!!


 私は頭の中で転がりのたうち回り血反吐を吐く。


 しかし皆には平然と立っているように見えるだろう。


 私は気が付いた。


 これは罠だと。これは罰だと。これは傲慢な私に仕掛けられた牢獄だと。


 ああ~~!! ああ~~!!


 私はこの世界に【祝福】を流す。


 私の体から光の粒が辺りに溢れ、冬だというのに花々が咲き乱れた。


 城の中にいる人々が狂喜する。


 口々に神に感謝する。


 私は笑みを浮かべている。


 痛い!! 痛い!! 痛い!!


 力を使うたびに私は苦痛に苛まれる。


 拷問だ!! 


 神はなんと言っていた?


【神が選びし娘】は生贄だと。


 10年も生きられないと。


 待って!! 待って!! 待って!!


 この拷問が10年も続くの?


 幸せそうに笑う王とエカテリーナと貴族達。


 いや!! いや!! いや!! 痛い!! 苦しい!!


 誰か助けて!!






 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



『酷いことをするのね』


【娘】を攫った女神が笑いながらチェスの駒を動かす。


『酷いこと? 君のせいだと思うが(笑)』


 子供の姿をした神がこてりと首を傾げ、クイーンでチェックメイトを決める。


 あらあら負けちゃったと女神は笑う。


『だいたい君があの子を攫わなければここまで酷くならなかったよ。どれだけの世界が滅びたことか……』


『可哀想な【神が選びし娘】に平凡な幸せを味あわせてあげただけよ』


『幸せを奪うなら初めから知らない方が幸せだと思うが』


『まあ。どっちが良いかは本人が決めることだわ。私達(神)は見守るだけでいいのよ』


『よく言うよ。水の清め。火の清め。まるで日本刀を作るように彼らの魂を叩いて鍛えて……刀(神)は……後継者はできたかい?』


『かなりいい魂が出来たわ。後はあの娘のように【闇落ち】からどうやって這い上がるか』


『女神様は【闇落ち萌え】かよ』


『あら当然じゃない。その方がドラマチックじゃない。流行りの乙女ゲームなら、執事? 騎士? それとも海賊? 暗殺者? 誰が彼女を闇から救うのかしら? それに貴方も私も【闇に落とされて神になった者】【闇落ち】体験者よ』


 女神はうふふふと笑う。


 確かに私は古代アルメキアの王子として産まれたが、神の生贄として捧げられた。


 父は私を縛り神にその心臓を捧げて戦争の勝利を願った。


 確かに戦には勝った。


 が……父は兄に殺された。


 次の戦の生贄は自分かも知れないと疑心暗鬼に囚われたのだ。


 そして……国は滅びた。


 彼女は確か橋を作る時の人柱として殺されたはず。


 私はクスクス笑う。


 私達は見事なまでに祟り神だ。


 そして後に神として崇め奉られたもの。


『あれ? 乙女ゲームは【闇落ちした】攻略対象を救う話じゃなかったっけ? 確か【闇に恋して】て言う乙女ゲームはこの世界に似ていたな。しかしあれは闇落ちした攻略対象をヒロインが救う話だったろう?』


『ふふふ……あのヒロインは嫌いだわ。いい子ちゃんって言うよりも自分の傲慢で短慮な思想を押しつけている。【救ってあげる】なんておこがましいのかしら。傲慢にもほどがあると思わない? 救うも救われないも本人の気持ち次第よ。所詮自分を救えるのは自分だけ』


 天使は女神と子供の姿をした神に緑茶と煎餅を差し出した。


 二柱の神は美味しそうに煎餅をぱくつく。


 二柱は浅草の煎餅に嵌っているのだ。


 何回も浅草に買いに行かされた。


 そんな二柱を見つめて天使は思う。


 ああ……神は間違いを犯しても時を戻して何度でもやり直せる。


 それこそ何百回何千回でも。


 神の強みだな。


 それでもだめなら、並行世界で試練錯誤すればいい。


 時間は永久にあるのだから。


 しかし……あの娘の魂は持つのだろうか?


 何度も魂は壊れてそれを練り直し、ツギハギだらけの魂。


 並行世界の自分の魂との融合。


 まあ融合でもさせないと持たないのだけれど。


 天使は思う【神の選びし娘】は【神の選びしオモチャ】或は【神の選びし娘(生贄)】であることに誰も気が付かないのは不思議でならない。


 あの娘は後50回も転移させられ世界を救う。


 己が魂と引き換えに。


 感動的な話だろう。


 裏を知らなければ……


 ボロボロの魂。


 神に愛された者の末路は自分と同じ天使だろう。


 神にもなれず人にもなれず。


 ただ神のぱしりとして存在する者。


 脱落者。


 誰も彼女を救えないし、彼女も自分を救えない。


 哀れな【神が選びし娘】


 天使は瞼を閉じて一粒涙を零した。





 ~ Fin ~




 ~ 登場人物紹介 ~


 ★ 美玖 (17歳) ♀

【神が選びし娘】女神が自分の世界に呼び寄せたため、本来の世界から日本に産まれてしまった。

 基本阿保の子で空気は読むものではなく吸うものなため。空気を読まず50回も世界を滅ぼした。

 後悔も反省もしない。全部人のせいにする子。

 神様は私の僕と思い違いをした為にオートモードの罰を受ける。

 元の世界に帰りたいとかほざく割に帰る方法を探さないし、研究しない。

 性格の悪さを神に看破され強制ハッピーエンドコース(ただし幸せになるのは王とエカテリーナ)

 最終的に天使になってぱしりとして存在する事になる。


 ★ クリムト・ルー・アガサス王 (25歳) ♂

 アガサス帝国の王。若くして王位を継いだため家臣との距離がある。

 あまり有能ではない。出来の良いエカテリーナを嫌い。

 当てつけに美玖を溺愛する。がエカテリーナ親子を殺した後、神の恩恵が与えられなくて美玖に疑惑を向ける。

 愚王として名を残す。


 ★ エカテリーナ (20歳) ♀

 クリムト王の側室。皇妃として育てられる。

 アホな王と馬鹿な【神の選びし娘】に挟まれて何とか国を切り盛りしていたが王族暗殺の冤罪をかけられて処刑された。不憫な子。

 因みにエカテリーナに冤罪をかけたのは王の伯母である。アホな王より自分の方が王にふさわしいと思い込んでいた。実際は目くそ鼻くそである。


 ★ 首相の息子 (27歳) ♂

 エカテリーナを愛していたが、クリムト王が処刑してしまう。

 その為反乱を陽動し王と【神の選びし娘】を処刑する。ついでにエカテリーナ親子に冤罪をかけた王の伯母もついでに処刑した。その後穏やかに国を守る。


 ★ ミュージ・シャン伯爵夫人 (39歳) ♀

 王の伯母。昔から王が嫌い。男だったら王位につけたと妄想する。

 その為邪魔なエカテリーナ親子に冤罪を擦り付けて王に処刑させる。

 後に首相の息子にばれ処刑された。


 ★ 日本の女神

 橋を作る時生贄にされた女の子が後に神と崇められる。

 祟り神。美玖を日本に生まれさす。

 異世界の神とは考え方が違うが仲が悪い訳ではない。

 浅草の煎餅に嵌っている。描写はされていないが下半身は蛇である。


 ★ 子供の姿をした神

 古代アルメキアの王子。生贄にされた。戦には勝ったが王が殺され国は亡びる。

【祟り神】である。美玖が自分を騙して皇妃に返り咲こうとした事にムカついてオートモードにする。

 日本の女神とは仲は悪くない。













































仕事の残業が多くなり遅くなりました。楽しんでいただけたら幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] ダークだな
[一言] 時間遡行能力を持つ神様を殺すには……ゲッターロボかイデオンかな。 起こった後の結果側から原因をぶち殺しにこれるやつらで対処できるかな。 あとインド神話は時間遡行能力ないけど基本規模の単位が宇…
[一言] 美玖さんがかわいそう。この話で一番の被害者だよね。 彼女を性悪だのなんだの言っているけど、違う世界、違う常識を持ち、彼女の両親と思える相手もこの世界にいないんだよ? この世界の当り前(物価、…
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