もてない男のもってる世界の秘密。
美少女でます(笑)。石原さとみでも誰でもいいので適当にイメージしてください。
額に大きなホクロがひとつある。大黒摩尼夫は今日もアファメーションを繰り返しながら歩いている。ホクロ以外の特徴は小太りでメガネをしているぐらい。一言で冴えない40前の男である。「オレはモテモテ」
「オレは超金持ち」「オレは・・」なかなか欲深い。近くの工場へ向かう道すがらツブやいていたらぶつかりそうになった。目の前には黒髪のスラリとした美少女。
「ハウッ・・・」何か言わねば。彼女は黒い美しい瞳でジッと見つめている。
「私とつきあってください」
はァ、何言ってんのこの娘。オレをからかってんのか。昔から人付き合いが苦手。ましてや女の子とまともに話したこともない男である。すっかり混乱した摩尼夫はこの場から逃げたくなった。その時、彼の脳内に白いウエディングドレスを着た彼女と花吹雪、祝福のチャペル。摩尼夫の手を引っ張り、勤めるシイタケ工場と反対方向へ行こうとする。
「ちょっと困ります。これから仕事が」
「ごめんなさい。お願いがあるの。ほんの少し時間をください」
ひと気のない路地に入ると彼女は人差し指を彼の額の真ん中にある女の乳首の様な大きなホクロに向けた。
「失礼します」
「ひっ、やめてください!」
摩尼夫は危うく身をかわす。子供時代からかわれ、散々いたぶられた苦い記憶が蘇る。壁に追いつめられ以外な強い力で片腕を掴まれた摩尼夫。人差し指が近づいてくる。その時、警官とグレーの背広を着た男達。
チッと舌打ち。彼女は摩尼夫を連れて走り出す。
若い女と中年男、警官とサラリーマン風の男。奇妙な追いかけっこ。やがて男達をまき、いつものシイタケ工場の裏。はァはァ。息を整える二人。
「私は安良木沙月。よろしくね」摩尼夫も名のる。
「摩尼夫さんは女の子とキスしたことある?」
その代わりホクロを押させてくれという。なんという取引。オレの人生にもこんな奇跡が!甘い感触。体から力が抜け魂も抜け出てしまいそうだ。「痛いのは初めだけよ」第一関節から第二関節までズブズブ入ってくる。摩尼夫の意識はしだいに溶解していくのであった。 つづく。
これから、もっと面白くなる予定。感想お願いします。