魔術設定
この世界の魔術の使い方についてまとめました。
本編で少し違うところがあるかもしれませんが、こっちが正しいとします。
私は氷に覆われた洞窟を歩み続け、大きな扉の前に辿り着く。
目の前の扉の開けて中に入り、巨大な魔木の根元で横になっていたお爺ちゃんの許に向かう。
そしてそのままいつものようにお爺ちゃんのお腹に凭れ掛かるように座り念話で話しかける。
―お爺ちゃん、来たよ。今日は魔術について教えてくれるんだよね?
―そうだな。早速話すとしよう。
お爺ちゃんは念話で私にそう伝えながら、ゆっくりと目を開いた。
今日私がこの洞窟に訪れた理由、それは魔術を教えてもらうためだ。
私の魔術の作り方は単純に遅く、構成に無駄が多い。
それでお爺ちゃんに相談した結果、今日教えてもらえることになった。
―魔術はお主が知っているとおり、体内の魔力を消費して発動する術だ。魔力は術者の生命力が呼吸を通して取り込まれる大気中のマナと融合してでき、体内に貯蔵される。魔力は生命力と同義のため、魔力が枯渇すれば当然衰弱して死ぬ。
魔術の発動させるための流れを話すが、まずは魔力を練る。次に練った魔力を身体のどこかに集中させ、その魔力を維持しながら、どのような形、効力があるのかをイメージして、成型したら外に放出する。これが魔術の発動の流れだ。例えば、魔術で指定した場所に樹を作り出したいのならば、木属性の魔力を練って、その魔力を一箇所に集中させ、どんな樹かをイメージし、魔力を成型する。成型を終えた魔力を樹を創りたい場所に流して、樹が成長していく様を思い浮かべれば現実に樹が現れる。
この過程で難しいのは魔力の成型なのだが、成型が難しい理由は魔力をイメージしたとおりに形づくる必要があるからだ。だが我々精霊には大した問題ではない。魔力が視認できるからな。
これは魔力自体が見えないと形づくるのが難しい。
だから人々は術式や詠唱といった方法で魔力の成型を行っておる。
お主はまず、最初に説明した方法で魔術を使ってくれ。
―分かった。じゃあ、やるよ。
私は目を瞑って魔力を練り始める。
魔力を練ると言うのは、マナと生命力の結合をより強固にして、属性を与えることらしい。
まずはそれを行う。
私はこの過程が苦手だな・・・。
少々手間取りながらも十分な魔力を練り上げて、右手に集中させてから創る樹を思い浮かべる。
考えるべくも無く、普通の胡桃の木を創ることにする。
イメージが固まったので、成型の作業に移る。
魔術を使う中でこの過程が一番楽しんだよね。
前世も何かを形作るのが好きだったのか?
そう思いながら成型を終えた。
ミニチュアサイズの胡桃の木だ。
続いて、目の前の地面に成型を終えた魔力を流し溶かし、樹が成長していく様を思い浮かべながら、術名を与える。
「【創樹】」
私が【創樹】と名づけた魔術によって、私の目の前の地面に成型された魔力が溶け、溶けた場所から芽が出始める。そして急速に成長し、私の目の前に一つの胡桃の木が現れた。
青々とした葉を茂らせながら、小ぶりな胡桃の実を実らせている。
お爺ちゃんは魔術の名づけについて説明はしてなかったが、名づけは単純に成型した魔術の形をより強固にする為に行う。
ようは名づけをすると成型した魔力が安定するため、魔術が発動させやすいのだ。
また魔術発動のきっかけを与える役目もある。
お爺ちゃんが私の目の前に現れた胡桃の木を見て、頷きながら念話を飛ばしてくる。
―ふむ・・・問題なく出来ておるな。だが、時間が掛かりすぎだな。まだ慣れておらぬ。魔力を練るのが遅いな。
―苦手だからね・・・やっぱり何度もやって慣れていくしかないの?
―それは術者それぞれだ。なんども使って慣れていくのが望ましいが、それでも慣れないのならばわしに相談するといい。さて、次は魔術行使形式について説明する。
ちなみに今創樹を使って、作り出すのに掛かった時間は約10秒。
実戦で使うには5秒以内が望ましい。
お爺ちゃんはゆっくりと左前足を動かす。
―まずはよく使われる形の術式について説明するとしよう。これは見るのが早いだろう。見ておれ。
―うん。
お爺ちゃんが前足を動かして地面を引っかく。
すると地面に文字が刻まれ、お爺ちゃんが素早く練り上げた魔力を流すと、刻まれた術式の文字が淡い青い光を発し始める。
そして次の瞬間に術式の上に氷の柱が生まれる。
確かに見たほうが分かりやすい。
そう思い頷きながらお爺ちゃんに聞く。
―練った魔力を術式に流して、術式に書かれている意味どおりの結果が現れた。これで合ってる?
―そうだ。これが魔術行使形式の一つ、術式魔術だ。これは術式がイメージと成型の過程を行っており、魔術は術式上に発生する。これのメリットは本来のやりかたと比べて術式さえ用意してあればすぐに発動させることが出来ることだ。ひとまずやってみよ。術式に使う文字は以前教えた魔術言語を使えばいい。
―古語の方でいいの?
―術式自体は人間でも視認できるからな、古語のほうが良かろう。
―分かった。
私は地面に手をつき、術式を構築する。
お爺ちゃんが地面を引っかいただけで地面に術式が刻まれたが、これは魔力で術式の文を成型して地面にスタンプを押す要領で刻んだだけだ。
私も同じようにして地面に術式を刻む。
私が刻んだ文字の意味は「我が意を汲み、形為せ。」である。
これが一番簡単な術式の形式で、思い浮かべたものを成型するという意味だが、もっと詳しく書いた方が複雑な魔術を使える。
それはそれとして、術式が完成したので、完成と同時に魔力を流して名を与える。
「【創樹】」
術式を書いた場所から芽が出てきて、急速に成長し、一つの胡桃の樹が生えた。
今回は約6秒で創樹を使う事ができた。
さっきの10秒と比べると、大分短縮されている。
―まあ、まだ改善点があるが、よかろう。後は練習あるのみだ。次は陣だ。これは円形の図形に術式を刻んだもので、術式よりも複雑で強力な魔術を使う事ができる。ついでに媒体魔術も教えよう。
媒体魔術は魔術媒体に魔力を流し、魔術媒体を使って魔術を使用する方法だ。とりあえず、実践してみせるから見ていろ。
お爺ちゃんが地面に再び地面を引っかくと、少し離れた場所に地面に陣が現れた。
次いでお爺ちゃんが陣の中心に魔石を置き、魔石に魔力を流す。
魔石を通し、下の陣にも魔力が流れ込む。
魔石と陣は魔力が注ぎこまれた影響で、淡く青い光を発していたが、魔石が一際強く光ると、陣の描かれた場所から氷柱が生える。
続いて陣が一際強く光ると、氷柱が陣を囲むように出現し、その氷柱を繋ぐように氷の壁が現れた。
氷の城塞の完成だ。
所要時間は約10秒。
私が何も使わずにこれと同じレベルの魔術を発動するには2分はかかるだろう。
驚きながらも目前に現れた氷の城塞に見入る。
―陣と魔術媒体を使えばこのような複雑な魔術がすぐに出来る。魔術媒体に魔力を流せば、魔力は勝手に練り上げられる。
媒体魔術は陣や術式と相性がよく、魔術媒体に術式もしくは陣を描きさえすれば魔力を流しておくとすぐに魔術を発動させることが出来る。事前に準備しておけるというわけだ。
お主はまず媒体魔術と術式魔術を極めるといい。・・・さて、魔術の特訓は今日はここまでだ。何か質問はあるか?
―これって、最初に説明を受けた魔術方式は無駄じゃない?媒体魔術があればいいと思うけど?
―あれは発動できる魔術の規模に制限が無い。強力で複雑な魔術を使おうとすれば術式や媒体魔術だとそれ相応の物が必要となるが、最初に説明した方式には必要量の魔力を捻出でき、その魔力を維持さえ出来れば強力な魔術を発動させることが出来る。場合によりけりと言うわけだ。
―そういうことね・・・つまりは簡単な魔術は媒体魔術とかを使ったほうがいいというわけだね?
―そういうことだ。
―ふ~ん・・・今日はわざわざ魔術について教えてくれてありがとう。やっぱり魔術はべんりだね。
―この世には魔術以外にも多種多様な術がある。魔術だけを覚えていると足元をすくわれかねんから気をつけるのだぞ。
―うん。そろそろ私は戻るね。じゃあ、お爺ちゃんまたね。
―うむ。
私はお爺ちゃんに別れを告げて洞窟を後にした。
魔術の簡単な流れ
魔力練る→体の一点に集める(手など)→どんな魔術にするかを思い浮かべる→魔力の成型→成型した魔力を発動地点に流す→術名を唱える。
術式、陣:成型を行う。
媒体魔術:媒体に魔力を流すと媒体の中で魔力が練られる。




