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2話

なかなか話が進まない・・・。




改9月5日

改10月7日

さて、魔術の練習でもしようか。

さっき私が使った・・・名前はなんだろう・・・をスムーズにできるようにすることから始めよう。

さっきの現れたのを使うと見つかる可能性があるから慎重に動かねばいけないけど・・・

ばれるか?

いやでも、アリアという女は寝ているからばれることはないだろう。

たぶん。おそらく。きっと。・・・ばれないといいな、うん。

まあ、ばれたらばれたでそのとき考えよう。

さっき魔術を解除した時は目を閉じるイメージを浮かべれば解除できた。

なら、逆に目を開くことをイメージすればいいだろう。

よし、始めよう。


目を少しづつ開くイメージを持つ。

すると、何かの力の流れが出来、私の所に集まってる気がする。

その流れを一箇所に集めることを意識して、目を開くこと、見ることを強く願う。

すると、だんだんと周囲の風景が見えてきた。


ふう・・・成功だな。

でも、今の力の流れはいったい・・・。

もしかして、魔力?

さっきアリアに魔力を感知されたから今の力が魔力だろう。

でも、どうして急に感じ取れるようになったんだろうか?

アリアの魔力探知を見たから?

見ただけでこうなるとしたら・・・急成長しすぎではないだろうか?

・・・普通、魔術はこんな簡単に扱えるようなものじゃないよな。

どういことだろう?

そういえば、今は3人組はどうなっているかな。


三人組の方を見てみると、焚き火の前で茶色の髪で短髪の男が片手剣を抱えながら、たびたび枯れ木や枯れ草をくべて火を絶やさないようにしている。

男から5メートル程離れたところにテントが二つたっている。

男女を分けているのであろう。


テントはどうやって持ってきたのだろうか?

彼らの荷物を見た限りでは二つのテントをしまえそうには無かったけども・・・。

まあ、いいか。

優先順位は低い。

それより、あの男は・・・気づいた様子は無いな。

早速練習・・・というか魔術の確認を始めよう。

まず、移動はできるのかな?

<私>の許まで行ってみよう。


ふわふわと体が揺れるような感覚を受けながら、ゆっくりと近づいていく。

30秒ほどでたどり木の下にたどり着いた。


14,5メートルくらいしかないのに意外と時間がかかったな・・・。

というより、なんだこの浮遊感は?

そういえば、さっきから見下ろしているような・・・。

まさか、飛んでる?

というか、浮いてるのか?

なぜ気づかなかった、私。

まあいいか。

しかし、この胡桃の木・・・以外と小さいな?

約2メートルと言ったところか・・・。

まだ若木なのか?

それにしても・・・やっぱり光っているな。

濃い緑だ。

周囲の同化してすごく見えづらいな。

あの女は青い光を発していたが、この木は緑色の光を発しているのはなぜだろう?

・・・そういえば、周囲の風景が見えたりしているなら今の自分の姿が見えるんじゃないのか?

どうして気づかなかったんだ、私。


そう思い、確認のため下を向く。

一度顔を元の位置に戻し、両目を擦ってから再び下を向いて私の体を確認する。


なぜか半透明なんだけど・・・。

半透明はまだいい・・・いや良くないけど、だけど、どうして裸なんだ・・・。

魔術で出来た体だから仕方ないのかもしれないが。

それで、幽霊にでもなったのか私は?

自縛霊か何かか?

ははは、幽霊になると性別が変わって、幼くなるのか・・・。

あははは、はぁ・・・。

なんだこれは?

どうして女・・・幼いから幼女か、になってるんだ私は・・・。

そもそも半透明ってなんだ?

幽霊とは違う感じだが・・・まあ、幽霊なんて見たことが無いから分からないが。

今の私は半透明の全裸の幼女姿だ。

文章にすると変態でしかないんだが・・・。

それはどうでもいいとして、どういうことだ?

私は男だったはずだ。

そう男で・・・。

・・・そういえば、私の名前は何だったか・・・。

思い出せない。

私は、一体何者なんだ?

どうして、こんな、よく分からない状況に・・・。


自身のこと、今の状況が分からず恐怖が湧き上がる。

自分で自分を抱きしめる。

そうでもしないと体の振るえが止まらない。


私は一体なんなんだ・・・。

どうしてこんな事になってしまったんだ・・・。

ありえない。

でも、これは現実だ。

だが、ありえない。

こんな事があっていいはずがない!

あってはいけないんだ・・・。


恐怖を打ち払うように頭を振り、深呼吸をする。

呼吸してない事に気づいたが、少し落ち着いた。


・・・一回落ち着こう。

いろいろあって混乱してきた。

まず、1つずつ確認しよう。

私は人間だったはずだ。なぜ胡桃の木になっているんだ?

そもそもそれが分からない。胡桃の木にとりついた幽霊?

分からん、次。

私は男だった。断じて女ではなかった。

しかも成人していた。正確な年齢は覚えていないが20代半ばだったはずだ。しかし今の見た目は4,5歳ほどの幼女だ。

幽霊説が消えた。次。

名前が思い出せない。確かに名前はあったはずだ。

思い出せないのはどうしようもない。次。

記憶がほとんど無い。正確には私が男として生きた記憶、思い出が無い。男だった頃に学んだ知識は残っている。

そもそも魔術なんてものはなかった。実は私が知らないだけだったのかも知れないが・・・。

しかし、3人のうち2人が実際に使っているし、私にも使うことができた。そもそも私が生きていた世界とは違うのかもしれない。未来の世界か?

そうでなければ、この森の植生について説明がつかない。

いや、だが3人の服装がおかしい。

中世ヨーロッパあたりの服装だろうか?

私が生きていた時代とは違うし、私が住んでいた国は日本だ。

外国ではない。そういえば、彼らの顔立ちは彫が深いな・・・。

そもそも剣や槍をむき出しにしていたら警察に捕まるだろう。

というより、剣や槍より銃の方がいいだろう。

私が知っている世界と違いすぎる。

異世界にでも来てしまったかのようだ・・・。

・・・いや、まさか、でも・・・。

まさか、異世界に来てしまったのか?

まあ、それが納得・・・出来ないけども、精神安定には丁度いい説明だな。

というよりは異世界に転生でもしたのか?

一応、今の私は人間ではなくて木のようだし・・・。

死んだ記憶はないが・・・私は元の世界では死んだものと考えてほうがいいか。

せめて人間がよかったな。


考え事をしていると物音がした。

振り返ると見張りをしていた男が立ち上がった音のようだった。

男は一度周囲を見渡した後、そのままテントに近づき、中の人物を起こす。


「ガッツ起きてくれ、交代の時間だ。」

「うん?・・・ああ、わかった。」

「眠そうだな?」

「仕方ねえだろ。二日もこの広い森を戦闘しながら彷徨っていたからな。しかも、おれは重装備のうえアタッカーとして動き回ってたから流石につかれた。早く依頼を達成して、酒でも飲みたいぜ。」

「この森は素早い敵が多いからな。だが今回の依頼の報酬は高額だ。終わったら好きなだけ飲むといいさ。」

「そうだな。っと、駄弁ってる場合じゃねえな。見張りに行ってくる。しっかり休めよリーダー。」

「ああ、分かってるよ。頼むぞ。」


そういいながら、テントに入っていく短髪の男。

そして入れ替わるように坊主頭の男が大槍を携えて出てくる。

そのまま焚き火の前に行き、大槍を傍に置きつつ見張りをし始めた。


まあ情報が少ないし、分からないことを考えても仕方がないか。

今は魔術の練習および把握に努めよう。

あの三人組がどこかにいったら、次に人が来るのがいつか分からないからな。

現状である程度今使ってる魔術を解明しなければ見つかる可能性が・・・。

まずは、この体でできることを調べるとしよう。

・・・物を持つことはできるのかな?

出来れば便利だけど。


そう思いながら、見張りをしている坊主頭の男に気がつかれないように離れる。

足音とかの音は出ないので良かった。

焚き火から20メートルほど離れ、恐る恐る木の下に生えているきのこに触ろうとする。


うん、普通に触れたし、持つことも出来た。

半透明だから通り抜けたりするのかと思った。

だけど、若干違和感が・・・。

なんというか、触ってるのに触ってない感じ?

握力が弱くて、しっかり持つ事ができない感じ?

まあそんな感じで、前世と感覚が違うから気持ちが悪い・・・。


そう考えていると、きのこの感触が無くなり、きのこは私の手を通り抜けて地面に落ちた。


・・・え、どういうことだ?


疑問に思いつつもう一度きのこに触れる。

何事も無く触れる。

そういうことだ?と、きのこを引き抜きながら思案する。


私はまずきのこに触ろうとした。

だが、感覚がおかしいから一度手放したいと思った。

つまり、触ろうと思ったら触れて、触れないと思ったら触れないのか・・・。

なかなか不便だな。

いや・・・考えようによっては便利なのか?

通り抜けとか出来そうだ。


他に何か無いかなと思い見渡すと、離れたところに橙色のきれいな花が咲いていた。

カランコエの花だ。

懐かしい。


きれいだなと思いながら近くで観察しようと近寄っていく。

花がある方に向けて少し歩いたところで、急に力が抜けてきのこを手から落とした。


何だ、これは!?体がおかしいぞ!?

力が入らない。自分が維持できない感じがする。

・・・まさか、本体である胡桃の木から離れすぎたせいか?

まずい・・・一旦戻るか。


落としたきのこを拾いながら、とぼとぼと戻っていく。

胡桃の木の近くまで来ると、ふと、きのこを見る。


そういえば、このきのこ食べられのかな?

それ以前にこの体を食事は必要なのか?

・・・試してみよう。

毒キノコのように見えるけど。

まあ大丈夫だろう。


意を決して口に運ぶ。

・・・味は感じない。

が、違和感がするのでなんとなく毒が入っているだろうと感じた。

また、すこし体がぽかぽかしている気がする。

血は通ってないはずだけどな。


うん、体に影響はないけど毒キノコだな。

まあ、体に害はないしせっかくだから完食するか・・・。


もきゅもきゅときのこを食べながら、今使っている魔術について考える。


おそらく、魔力で体を構成する魔術なのだろう。

つまり今の体は魔力体のため半透明なのだろう。

そして、普通の人間には見えない。

その証拠に坊主頭の男の視界に入っても反応がない。

目の前で手を振ったりしても、だ。

短髪の男の視界にも入ってたが気づいた様子はなかったしな。

まあ、幽霊みたいなものと考えれば分かりやすい。

幽霊が食事出来るかは知らないけども。

アリアという女は、魔術を使っている気配を感じることができても見えないと思う。

・・・そう思いたい。

それに今のこの状態を誰かに見られるのいやだ。

・・・裸だからな。

見られたら、なんかもう、生きていける気がしない。恥ずかしい・・・。

・・・もうそろそろ交代の時間だろう。

アリアという女の前で魔術を使うわけにはいかないだろう。

解除する前に結界とやらを観察しておこう。


結界に近づいていく。

地面に見たことの無い文字が規則的に並んでいる。


ふむふむこれがこの世界の文字か。

まったく分からん。

たぶん種類がたくさんあるため象形文字だとは思うが。


じっくりと見ていると、かすかに文字が発光していることに気がついた。

多くは青い光を発しているが、赤や黄色、黄緑の光を発光している文字があった。


これは、あれか。

いくつか魔術が混ざっているのか?

・・・そういえば、二重に結界を張るって言ってたな・・・それに罠も。

色は一体なにを表しているんだ?

ありえそうなのは属性かな?


結界がどれだけの範囲なのか文字を辿っていくと、地面にいくつかさまざまな色が混じったような奇妙な光を発する鉄の串が刺さっていることに気づいた。


これが結界の核なのだろうか?

ん?よく見ると串に宝石のような石が埋め込まれているな。

なんというか、おいしそうだ。

・・・今、なんて思った?

いやいや流石に石をおいしそうなんて・・・。

う~ん・・・少しだけ・・・いや、でもこれは結界の要素だし・・・。


串に付いている石をどうしようか悩んでいると物音がした。

慌てて振り返ると、坊主頭の男が立ち上がっており、テントに向かって歩いていた。

交代をするのだろう。


はあ、驚いた・・・。

でも、時間切れか。

次の見張りはアリアだろうし・・・。

気づかれて騒動になりたくないから早く解除しよう。


そう思い、目を閉じるイメージを頭に浮かべようとすると、遠吠えが聞こえた。

そして多くの足音が迫る。

嫌な感覚がする。



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