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22話

遅れてすいません。

次も三日後くらいに投稿すると思います。




改9月16日

「―――――――――、――――――。」


― ―――、―――――――!?


「―――!」


― ―――!


― ――――――・・・!


― ――――――?


― ―――――――――――。―――――――・・・!




死にたくない。

消えたくない。

助けて・・・。

          ◆          ◆



目が覚めた。


何か、夢を見たような気がするけどなんだったか・・・?

まあ、いいか。

それにしても・・・。


使用した魔力が全快しており、疲労感がとれて気持ちのいい目覚めだ。


時々眠るのもいいかな。

まだ寝た回数は十を数えてないし。

うん、前世の常識から考えると異常だな。

でも問題ないあたり、面白い体だ。


そう考えていると、声を掛けられた。


「母様、目が覚めましたか?」


―うん。おはようシャリー。ホムンクルスの様子はどう?


「おはようございます母様。まだ目は覚ましておりません。」


―そう・・・。どれくらい経った?


「母様が眠られて二日が経ちました。」


―え・・・。二日?


「はい。」


かなり眠っていたようだ。

魔力が完全に回復するはずである。

しかし二日も経てばそろそろホムンクルス達も目が覚めるだろう。


でも二日か・・・初めてだよ、こんなに長い間寝たのは。

実際あるもんだね。


ホムンクルス達が目を覚ませば、数日の間に準備をして、旅に出ることになるだろう。

私達が行くのは今現在いる大陸であるラーシアス大陸を基準としたならば、南東にある大陸、ユーラル大陸である。

ユーラル大陸は赤道直下にあたり、かなり高温多湿な地域が多いらしい。

この大陸のほぼ中央にある、アロースターという国にある森の中にお爺ちゃんが知っている木の精霊がいるらしい。


でも、どうしてお爺ちゃんはアロースターにいったんだろうか?

お爺ちゃんは氷の精霊だからユーラル大陸の環境は苦手だと思うけど・・・。

木の精霊に会うため?

また今度聞いてみようか。


それはさておき、南東の大陸に行くには、南の山脈を越えてイズミル王国に入り、さらにその南にある島国、インシュラーまで船で渡り、その国の最も東にある港町で南東の大陸に行く船が出ているらしい。

この情報はシャリーが行商人に聞いた情報である。

闇魔術を使い、うまく情報を引き出したのだそうだ。


シャリーは有能だなぁ。

・・・そういえば。


ふと気づいた。

シャリーはどうしようかと。

シャリーは<私>の傍で<私>を隠蔽する仕事がある。

なので私と一緒に行くのは無理だ。


どうしようかな。

・・・シャリーの仕事は<私>を隠蔽することで見つからないようにすること。

一応連れて行く事はできなくも無いが、負担がかかりすぎる。

なら、シャリーが傍に居なくても<私>を隠蔽できる方法を考えてみるか。


―シャリー、<私>の傍にいなくても魔術で<私>を隠せる?


―・・・いえ、無理です。


媒体魔術で魔術を発動させて、それを維持する魔術を構築するか。

だけど、それだとシャリーの魔力がたりないだろうし・・・。


―どうかしたか?


―萩?シャリーも連れて行きたいんだけど、少し、問題が・・・。


―フィンにきけば?


お爺ちゃんに聞くのが手っ取り早いけど、頼りすぎるのも問題がある。

しかし、名案が浮かばないし・・・。


―う~ん・・・そうしようか。


―私の問題なので、私が聞いてきます。


―いいや、一緒に行こう。私もシャリーと一緒に旅できたらいいと思ってるからね。


―母様・・・ありがとうございます!


―うん。萩も着いて来て。


―わかった。


ゴーレム達、ホムンクルス達が目覚めたら伝えるように指示してから、シャリーと萩を連れてお爺ちゃんの下に向かう。





―宝珠を使えばいい。


―宝珠を?


宝珠か・・・あれは異界の核となる物だけど、まあ確かに優れた魔術媒体か。

でもあれを使うと旅の間、異界を開く事ができないな・・・。

・・・仕方ないか。


―そうだ。宝珠を術の核とすれば闇魔術を維持することが出来るだろう。魔力が大分必要になるが、宝珠を使うならおぬしも手伝うことが出来る。


―なるほど。ありがとう、お爺ちゃん。


―ありがとうございます、フィン様。


―かまわん。


そういってからお爺ちゃんは言葉少なに洞窟の奥に戻っていった。

照れ隠しなのだろう。


あ、聞き忘れた。

・・・お爺ちゃんの貴重な姿を見れたし、またの機会にするか。


そう思いつつ、シャリーといつの間にか寝ていた萩を連れて<私>のところに戻ろうとしたら、私が作ったゴーレムがやってきた。


「え?なるほど・・・ありがとう。」


ホムンクルス達が目覚めたことを伝えに来たようだ。


―ホムンクルス達が目覚めたそうだよ。早く戻ろう。


―はい。


ゴーレムを撫でてから、急いで戻る。





<私>のところに到着すると二人の男女が立っていた。

ホムンクルス達である。

困惑した様子で女の方が話しかけてきた。


「すまない、少しいいだろうか?」


うん?

おかしいな?

ニンフみたいな口調だ。


―いいよ。


「な、なんだ!?頭に声が・・・念話?」


「?」


おや?ホムンクルスの様子が・・・?


「どういことだ?なぜ俺がこんなことを知っている?俺は兵士として家族を、幼馴染を、村の人々を喰らったあの憎き竜と戦っていたはずだ。」


―え?あの、大丈夫?


兵士?竜?村?

もしかして、前世持ち?

マジですか・・・。


「そして俺は・・・う、うわあああああああああ。」


女のホムンクルスは急に叫びだして倒れた。

気絶したようだ。


うん。あの様子から考えるに竜に殺されたようだ。

竜か・・・。

あのグランドドラゴンと戦った存在の記憶・・・?

いや、違うな。竜といってたから・・・竜核か?

・・・もう一体はどうなんだろうか?


男のホムンクルスに念話で話しかけてみる。


―ねえ。


「なんでしょうか、リーユ様。」


あ、こっちは冷静だね。

でもリーユ様って・・・シャリーと少し被ってるよ、この子。


―前世の記憶ある?


「申し訳ありません。ご質問の意図が分かりません。」


―・・・ごめん。なんでもない。


別にもう一体の方は特に問題なさそうだ。

・・・一度落ち着かせてから事情を伺って、それからお爺ちゃんに話に行こう。

・・・ああ、そうだ。

名前考えなきゃ。

ホムンクルス(男)と呼ぶのも可哀想だしな。

さて、どうしようか


そう考えてから、男のホムンクルスの名前を考える。


―シャリー、萩、あのホムンクルスの名前どうしようか?


―名前ですか?母様が考えたのでいいのでは?


―いい名前が思いつかない。だからアイデアが欲しいな。


―どらんとかでいいんじゃないか?


―それは流石に・・・。シャリーは何か無い?


―萩・・・。そういえば、男のホムンクルスに使われた竜核はリントブルムという竜のものらしいので、リントブルムから取って名づければいいのではないでしょうか?


―リントブルムか・・・。うん、シャリー、いい考えありがとう。


そう言ってシャリーを撫でる。


―えへへ・・・ありがとうございます。


シャリーを撫でていると萩が私も撫でろ言わんばかりに飛びついてきたので撫でてやる。

かわいい。

萩とシャリーに抱きついて撫でる。


「私のことを忘れていませんか?」


すっかり忘れていた。

名前か・・・リントブルムだから・・・。

ブルーム?トブルム?リント?

リント・・・うん、これだ。


―あ、ごめんね。・・・あなたの名前はリントね。これからよろしくねリント。


リントを観察しながら言う。


「分かりました。名前を付けていただき、ありがとうございます。」

そう言って微笑みながら礼を言う。


なんか、執事っぽいな。

顔立ちも整っており、身長も高いので執事の服を着せたらそれっぽくなりそうだ。

あ・・・。


そう思って見ていると、一つ気づいた。

ホムンクルス達は服を着てないことに。


・・・裸でいることに慣れすぎたから、気づくのに遅れてしまった・・・。


そっと、シャリーと萩からリントの姿を隠す。


「「???」」


早急に服を手に入れなければ。

当分はまあ、これを着てもらえばいいか。


―リントごめん。これを着てくれる?


宝珠を取り出して異界を開き、異界で創った服を着てもらう。

浴衣である。


「分かりました。ありがとうございます。」

と礼を言ってから着始めた。


さて、こっちは大丈夫。

で、あっちは・・・。

・・・むむむ。

浴衣しかないけど・・・大丈夫かな?


―リントも手伝って。


「分かりました。」


リントに体を起こしてもらいながら私が彼女に浴衣を着せていく。


―リントありがとう。


「いえ、これくらいならば。」


よし、これで大丈夫。

それにしても大きいな。

私が成長したらどうなるだろう?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・未来に期待。

頭を切り替えねば・・・旅に出る前にイーアスの街で二人の登録証と装備を作ってもらわなくちゃいけないな。

一応お爺ちゃんからお金は貰ってるからどうにかなるけど。


―それじゃあシャリー、始めようか。リントはもう一人の方を見てて。


―はい!


「分かりました。」


―わたしはどうすればいい?


―・・・寝てて。


―むう。


不満そうにしながらも<私>の根元で丸くなった。


かわいい。

後でもふろう。

思う存分。

私の磨り減った心をもふることで癒すのだ!

まずは作業に集中しよう。


萩が寝るのを横目で見ながら、地面に魔法陣を描く。

描き終えたら、中心に宝珠を置く。

シャリーは<私>を中心に魔法陣と術式を描く。

しばらくして準備が完了した。


―シャリー、やるよ。


―はい。


シャリーと共に私が描いた魔法陣に触れて、宝珠に魔力を流していく。


30分程魔力をしたら、今日はやめる。

後10日ほど魔力を注げば十分だろう。

魔力を消耗したのでシャリーと共に休んでいると、リントに声を掛けられた。


「そろそろ起きるようです。」


リントが言い終えると同時に、女のホムンクルスはゆっくりと目を覚ました。


即座に<私>からクルミを捥いで、魔力を籠めてシャリーに渡す。


―食べて魔力を補充して。シャリーにはあのホムンクルスの感情を落ち着けて欲しいから。


―分かりました。


シャリーはクルミの皮を剥いて食べる。


そうこうしていると、女のホムンクルスはしばらくぼんやりしていたが完全に目を覚ましたようで、きょろきょろと周囲を見渡している。

彼女に話かける。


―大丈夫?目が覚めた?


「なんだ!?声が・・・。」


またか・・・。

振り出しに戻りそう・・・。


―シャリー、お願い。


―はい。


シャリーが一言つぶやくと、女のホムンクルスは徐々に落ち着き始めた。


―・・・落ち着いた?それなら、あなたの事を聞きたいのだけど。


「あ、ああ。俺は・・・――――


話を要約すると、このホムンクルスの持つ以前の記憶では彼女は人狼という獣人だったらしい。

ちなみに男だったそうだ。今の姿について言ってあげると、狼狽していた。おもしろい。

話を戻す。

彼女は獣人の国、セリアン王国の田舎の村の生まれだったが、5歳のときに村を竜により襲われてしまい、一人だけ生き残ったのだそうだ。

数日してから、国から派遣されてきた軍に保護された。

家族も死に、行くところが無かった彼女を老齢で引退する予定だった派遣軍の隊長だった男が引き取ってくれたらしい。

しばらくは悪夢にうなされながらも平穏に過ごしていたが、村の惨劇が忘れられず、7歳から養父に戦い方を教わり始めたが、13になった時に養父が亡くなった。

養父の親族に彼女に残された遺産をほとんど奪われ、どうしようもなくなり軍に志願して兵士になったそうだ。

その後10年兵士として勤めていると、彼女の村を襲った竜が再び現れて、村々を襲い始めたという。

彼女は真っ先に竜討伐に志願して、彼女を含めて2000人で討伐しに行った。

討伐隊はちょうど村を襲われて逃げてくる村人と遭遇して、襲われている村に急行して竜と戦った。

しかし、竜との戦いの最中に子供を狙った竜から子供を庇った為に喰われてしまった。

そして、目が覚めたら今の状況になっていたらしい。


―――ということだ。・・・それで、俺はどうなっているんだ?」


竜に強い怨みを持っていたから、喰われて死んだことでとり憑ついたのか?

・・・よく分からない。

今は説明する方が優先か。


―それは・・・―――


私なりの彼女の状態の考察を述べた後、私の事情やホムンクルスを作った目的、これからすることについて話した。


彼女は私の話を聞いて呆然としている。


さて、どうしたもんかね。

・・・そういえば名前聞いてない。

まあ、待つか。


―シャリー、もういいよ。お疲れ様。


―はい。母様もお疲れ様です。


―また同じ術をかけて貰うかもしれないからよろしくね。


―分かりました。あの・・・クルミをください。


―あ、そうだね。はいどうぞ。


―ありがとうございます。


とりあえずシャリーに術を解いてもらい、シャリーを労う。

そして彼女が立ち直るまで、待つことにする。


最初はリントが女のホムンクルスの予定だったんですが、獣人のほうが口調がアークと似ているので変えました。仕方ないね。

次で旅に出れると思います。

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