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9話

幼女街に向かう。




改9月12日

―留守番は任せたよ、シャリー。


―はい。母様、お気をつけて。


―うん。シャリーも元気でね。一週間後くらいに会おうね。


あれから一週間が経ち、ついに街に行く日になった。

この一週間の間に頑張って分身を作り出した。

この分身作りはかなり苦戦した。

<私>から集めた枝や葉を使って作るのだが、なかなか姿を安定させることが出来なかったのだ。

苦戦した最大の要因は、分身を作るには私の姿を投影という魔術で写し取る必要があるのだが、自分の姿をしっかり見たことが無かったためうまく姿形を思い浮かべることが出来ずに失敗することが多かった。

単純に鏡か何かで自分の姿を確認できればよかったのだが森暮らしの私に鏡なんてものは無く、そもそも後ろ姿が見えないのでどうしようも無かった。

どうするべきか悩んでいるとお爺ちゃんがある方法を教えてくれた。

その方法とは、シャリーとお爺ちゃんが私を見て、念話で私の姿をイメージとして私に送るという方法だ。

念話は頭に思い浮かべたものを対象に送る魔術なので今回の方法が使えたのだった。

この方法によって無事に出来上がり、出来上がった分身に少し前に作った水晶を埋め込み、分身が完成した。

水晶は核となっており、体を動かすための様々な術が組み込まれている。

これを破壊されると依り代は動かせなくなってしまう。

つまり水晶は頭脳の役割をもつのである。

また依り代には魔力供給機関が組み込まれており、<私>から離れても依り代が魔力を供給するので<私>から離れていても私は活動ができる。

さらに依り代は<私>を材料に作ったものなので、クルミを生み出すことが出来る。

歩くクルミ製造機なのである。

魔物にとって脅威以外の何者でない。


分身のできばえに満足しながら、早速分身に意識を移す。

意識の移し方は、単純に魔力を流し込めばいい。

全力で魔力を分身に流していくと、私の体は分身に吸い込まれるように消えた。

分身に私の意識が移ったのを確認し、次に目を開けて手足が動くかどうか、五感は働いているかを確認する。


うん、問題なし。

ちゃんと五感は働いてるし、手足も問題なく動く。

魔力の流れも見えるし、完璧。


大丈夫なのを確認ができたら起き上がる。

私の姿形は深緑色の艶やかな髪を腰まで伸ばしており、目の色は青色。顔立ちは整っており、身長110cmほどの美幼女である。


自分で自分の容姿を褒めるとか、なんか嫌だな・・・。


軽く伸びをしたあと、隠してある服を取り出して着る。

着るの黒いワンピースだ。

水の上位精霊ニンフが用意してくれたものである。

少しニンフの気配がするのでどこかで見ているのであろう。

怖すぎる。

とりあえずワンピースを着ていく。


前世男だったのに女物の服を着るのに躊躇はないかって?

ずっと全裸だったのにから女物を服を着るくらいなんてこと無いです・・・。


服を着たら鉄串を一本をかんざしのように使いシャリーに髪をまとめてもらう。


よし出来た。

って、あれ?


―リーユ・・・。


―あ、こん、にゃあ!?


突然ニンフが現れて私に抱きついてきた。


―いいじゃないか!かわいい!


―服が!髪が!待って、ニンフ待って!いまから出かけるから!


―おっと・・・そうだったな。すまない。


―うん・・・シャリーをよろしくね。


―うむ!まかせてくれ。


―シャリー、何かされたら教えてね。どうにかするから・・・。


―は、はい・・・。


ああ・・・不安しかないな。

シャリー、ごめん。


ニンフに離してもらってから、もう一本の鉄串といくつか魔石取り出して籠の中に入れてから、お爺ちゃんの洞窟に向かう。


洞窟の前には狼姿のフィンがおり、こちらを確認したら話しかけてきた。


―来たかリーユ。


―うん。少し不安があるけどね・・・主にニンフが。


―あれでもこの森の水の精霊の中では一番優れておるからな。あの性癖が無ければ・・・。


―精霊にも、変態がいるんだね・・・。


―すまんな・・・。帰ってきたら一度言っておく。


―いいよ、別に。嫌な訳じゃないから。


―そうか・・・では行くとしよう。


―うん。


私とお爺ちゃんは森の外に続く道に進む。



森の中を歩いている。

現在お爺ちゃんは狼の姿だが、街道に近くなったら人の姿を取る予定であるだ。

歩きながらこれからすることを話し合う。


―街に行ったらギルドという場所に向かうんだよね?


ギルドとはこの世界にある冒険者組合のことで、世界中に支部を持っている。

本部はエインフェリア共和国にあるらしい。


―そうだ。ギルドで冒険者として登録する。登録すれば登録証が発行されるが、その登録証が身分証になる。

その登録証があれば、無駄な手間無く街に入れたり、船に乗れたりするだろう。


―ギルドでドラゴンの討伐許可を得るって言っていたけど、どうするの?


今回街に向かうのはドラゴンを討伐する許可を得るためである。

ドラゴンの素材は強いホムンクルスを作るのに最適なので勝手に倒してもいいのだが、勝手にドラゴンを倒すとばれた場合かなり目立つ。

また、これから倒すドラゴン、グランドドラゴンは個体によっては魔物を優先して襲う固体がいるため、迂闊に討伐する事はできない。

今回のグランドドラゴンは微妙なラインなので、討伐許可を得るために街に出向いているのだ。

なお、許可を得て無事に倒したら適当な冒険者に討伐功績を押し付ける。


―イーアスの街のギルド長や領主とは知り合いでな、そのつてを使えば討伐以来自体は降りるだろう。


―ふ~ん・・・そういえば、グランドドラゴンはどのくらいの強さなの?


―ギルドの基準だとCランクだ。


ギルドは冒険者に戦闘能力レベルと冒険者階級の二つの基準を設けている。

戦闘能力レベルは純粋に実力を現しており最低レベルをレベルI、最高レベルをレベルSと定めている。

ちなみに魔物や魔獣を倒す目安になっているレベルだが、測定不能なほど強い、幻獣や神獣は基本的にレベルは定められていない。

出会って襲われたらおしまいということである。

冒険者階級は仕事の実績に比例しており、一番下の階級を十級。一番うえの階級を一級と定めている。

地道に仕事をしていけば、ある程度まで階級をあげることが出来るが、高い階級の依頼は討伐系が多いので、レベルが低いと高階級になることは出来ない。

初めて登録する場合、基本的に冒険者ランクは戦闘試験の結果で決めるが、冒険者階級は十級から始まる。

精霊の森の魔物は平均してレベルEほどである。

意外と低いが、精霊の森はかなり広大で、場所別にレベルが設定されているので、平均レベルEである。


―グランドドラゴンか・・・私の力で倒せるの?私、あまり強くなった感じがしないけど・・・。


―問題あるまい。今のリーユの実力ならば苦戦はするが倒せるだろう。


今回のドラゴン討伐ではクルミを使ってドラゴンの魔力を吸収する方法は使えない。

魔力を吸収してしまうと、ホムンクルスの材料に使えず意味が無いからだ。

クルミが使えたら勝てる自身はある。

しかし、私は基本的にクルミの魔力吸収能力に任せた戦いばかりしている。

しかも、たいていのドラゴンは火を吐いてくるので火に弱い私では相性が悪い。

・・・いまから無事に倒せるか不安になってきた。


まあ、私の戦闘訓練の意味合いもあるだろうから・・・作戦、考えないとな・・・。


グランドドラゴンについて考えていると街道に出てきた。

ここから街道に沿って1時間ほど歩いていけばイーアスの街にたどり着く。

既にフィンは狼の姿から人の姿になっている。


―ドラゴンって弱点はあるの?


―弱点か・・・口か腹だろう。ドラゴンの鱗は鉄以上の硬度を誇る。しかし口の中や腹ならば鱗に覆われていないから攻撃は通る。


―口の中に攻撃って、ブレスのときか噛み付いてくるときに攻撃しろってこと?あと、お腹に攻撃って事は接近しろってこと?


―そうだな。


―それって結構きつくない?


―しかしリーユ、おぬしは強力な魔術を使えないであろう?


―そうだけど・・・。作ってすぐに分身をだめにされたくないし・・・。


―いざとなったわしが助太刀に入るから安心するが良い。


―うん・・・。


お爺ちゃんが助太刀に入ってくれれば、まあ、勝てるだろうけどね・・・。

う~ん・・・一度私の魔術を確認しておいたほうがいいか。


会話を終えてからは黙々と街まで歩いていく。

30分ほどで遠くに大きな街の姿がみてきた。

そしてすぐに街にたどり着き、門に向かう。

街道から来る途中ちらほら人の姿が見えていたが、開いている門の奥には比べ物にならないくらい多くの人がいる。


おー・・・大きな街だけあってすごい人数だな。

というか、ちらちら見られて怖いんだけど・・・まさか、ロリコン?

そういうのはニンフだけで間に合ってます。

まあそれは別として、人間から見たら私は金のなる木なんだよなあ。

今の私は小さい。

しかも自分でいうのはどうかと思うけど顔立ちはかなり整っている。

ロリコンや変な人に誘拐とかされそうだ。

気をつけなければ・・・。

まあ、大抵の相手なら倒せると思うけど。


少し緊張しながらも門の前にいる守衛に近づいていく。




ようやく服を着ましたよこの幼女。

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