表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブランクワールド・オンライン  作者: 東條九音
第一世界 ~人間の世界~
9/78

お店の中は

店に入ってみると、特にほかの店と変わった点は、見られなかった。


「シロ、特に変わったとこは無さそうだが……」


横にいる筈のシロに声を掛けたが、返事が無い。

振り返り店内を見渡すと、シロは刀の売り場にいた。


シロはそこで、一本の刀をじーっと見つめていた。

探していた武器が見つかったのは良いが、なぜシロがそこから動かないのかが気になり、声を掛けた。


「何、見ているんだ?お前が使っているのは、刀じゃなくて、その隣の売り場の小太刀・ナイフだろ?」


「…ジーク。君が使っていた刀って、一般販売のだよね」


「あぁ、その中でも、耐久度が高い物を買った訳だが」


色んな店を見て、耐久度か他の物より10ばかりだが高い鉄刀を見つけ、それを買った。


まさか一回もメンテをする事も無く、使い物にならなくなるとは、思いもしなかった。


「耐久度が高かったのに、罅が入ったの?一体どんな相手と、戦ったんだい」


まぁ、気にはなるだろう。


今考えたらホント、化け物みたいな奴相手に、よく罅だけで済んだな……


「猫をモデルにした妖怪族の女だよ。打撃を入れられて、罅が入ったんだ」


「え、打撃で⁉それっておかしくないかい?いくら強くても、ただの打撃だけで、罅は入らないだろ?」


「ただの打撃じゃなかったんだろうな。攻撃が来る前に、しっぽが増えて手に何か纏っていたからな~」


「普通じゃないね。それで?その後どうなったんだい?」


「負けを認めた。そんでもって、自分の種族が獣人じゃなくて、妖怪だと教えて貰った訳だ」


「成る程~。そう言えば、名前は聞かなかったのかい?」


「もちろん聞いた。名前は《黒音》だって。お前も気を付けろよ」


いつの間にか、対戦相手の黒音の事ばかり話していた。

話をそろそろ、戻すべきだろう。


「話を戻すが、一般販売がどうかしたのか?」


「あ、うん。一般販売されている武器の耐久度って大体初期の物だと、50前後だよね。ここにあるやつ、その四倍はあるよ。しかも、一般販売と同じで値段で売ってる」


大体初期装備の耐久度が、50前後。

メンテナンスをしっかりしていれば、おそらく第一エリアの中盤始め位までは持つだろう。

だが四倍となると、第二か第三まで余裕で使い続ける事が、出来るだろう。


「つまり安い値段で、業物が売ってあるって事か」


「そうみたい。ジーク、お金は?」


「大丈夫。今の刀を売って足しにすれば、もう一つ上のランクが買えるぐらいはある」


まぁ、罅が入っているから余り足しには、ならないだろうな。


「お金は、僕が出すよ。面白い話も聞けたしね」


どうやら、シロが払ってくれるらしい。

助かる、と言うかアイツは臨時収入があった筈だな。


「そう言えばお前、いくら儲かったんだ?」


「ん?そんなの、秘密に決まっているじゃないか」


どうやら、教えてくれそうもない。

まあ、機嫌を損ねて、払って貰えなくなるよりはいいか。


「そうか。さてと、それじゃあ選ぶか」


そう言って、刀を選び始める。

前使っていたのは鉄刀。

ここには鉄刀は勿論、太刀や野太刀もある。

耐久度は、やはりどれも高い。

どうせ他人に買って貰うなら、高くて刃こぼれのしないやつが良いな。


「ジーク、これなんかどうだい?」


そういうとシロは、一本の直刀を指差した。


だがそれは大きく、何方かと言うと……


「これって、直刀なのか?太刀な気がするが……」


「でも、表示は直刀って、なっているよ」


言われて見てみると、確かに直刀となっていた。


「う~ん、変わってんな。まぁ良い、これにするか」


「いいのかい?そんな決め方で?」


確かに普通はダメだろう。


だが、この刀はどこか感じるものがある。


「いいさ、これで。それで、シロはどうする?」


「僕は、大丈夫。今回は、ジークのために来たからね」


「それじゃあ、お前のお願いが……」


「僕が頼んだのは、一緒に、買い物(デート)をしようって言ったんだよ。だから、僕がこれでいいって言ったらいいの」


そう言うと頬を染めながらシロは、レジへと向かってしまった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ