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ブランクワールド・オンライン  作者: 東條九音
第三世界 ~崩壊した世界~
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ジークvs黒音 再び ~後編~

チョイチョイと黒音が手招きをする。どうやら先手は譲るつもりらしい。

自分の強さに自信があるからこその挑発。


けれど先手をくれるのなら、ありがたくいただくと


「ハッ!」


ジークは構えていた刀を黒音に向かって打ち放つ。


「っでもって、獣人化‼」


放つと同時に獣人化を使用。獣人化を使用したことで、ジークは人型から狐の耳に尾を生やした、獣人型に変化する。

そして強化した脚力を使い、黒音に接近する。


「いきなりやけを起こしたかにゃ」


黒音はジークが放った刀を避けると、紫色の光りを纏った右手で、近付くジークに邀撃しようとする。

一方ジークは両手に白焔を発生させ、それを手に纏わせる。


「それはどうかな!」


接近して来たジークに、黒音はパンチを繰り出す。ジークは黒音の足元の地面を、左手で殴りつける。

黒音の出したパンチは空を切り、ジークの一撃は、黒音の足元に白い焔の円陣を書き上げていた。


「白焔牢、発動‼」


「にゃンと!分身したにゃ⁉」


ジークが技名を発すると即座に、黒音の足元の円陣が火柱を上げ、黒音を囲う。

ジークの『白焔』は幻惑を見せるスキル。今の黒音にはジークが分身した、幻惑を見せられているようだ。


「レヴィ、白焔の制御は任せた!」


「はい!任されたのです!」


ジークは、刀から人型になった相棒に指示を出す。

ジークの愛刀「レーヴァテイン」


通称レヴィは、インテリジェントウエポンである。レヴィ自身の能力は人化と刀変更。そこにジークが『刻印』を利用して付与した、『白焔』が加わる。

ジークとレヴィは紅き宝玉スカーレット・ジュエル組んだ修行を行った結果、多くのスキルなどの活用法を学び、格段と成長を遂げていたのだ。


「じゃあま、コイツで止めかな?」


そう言うとジークはストレージを開き、一本の試験官を取り出す。

その試験管の中には、奇妙な色をした液体が入っていた。


ジークが取り出したものを見たレヴィは、顔をしかめ意見する。


「マスターさん、爆裂ポーションじゃなくて、ランダムポーションを使う気ですか?」


「使う気だよ?こういう時じゃないと、何が起こるか分からない代物を、試せないじゃないか」


そう言ってジークは、ランダムポーションを黒音に向かって投げつけた。


「あ~ぁ、使っちゃた……確実に勝つなら、爆裂ポーションなのに。もう、どうなっても知りませんよ?」


投げられたポーションは、白焔の檻を越え中に居るであろう、黒音の影にあたる。


「あれ?」


当たったはずなのだが、何の変化も起こらなかった。


「外れを引いたって事か?仕方ない、レヴィ!」


ジークはレヴィに声を掛ける。するとレヴィは、人型から刀の形態へ変化する。


「じゃあ改めて……」


変化した相棒を掴み、抜刀の構えを取ろうとするジークだったが、違和感を感じ取った。


「レヴィって、こんなに…おも…かったっけ?って……言うより、力が…入ら…ない?」


体に力が入らなくなっており、思うように動けなくなっていたのだ。

しまいには刀から手を離し、地面に倒れてしまった。


「こ…これは、霧…か?」


ジークは倒れて初めて、足元一帯に霧のようなものが発生している事に気付く。

そのジークの口にした疑問に答えたのは、白焔の檻に囚われているはずの黒音だった。


「正解にゃん♪」


「黒…音…」


「ありゃりゃ、これはもう動けそうにないわね。じゃあ勝負ありにゃ」


そう言って黒音は、指をパチン‼と鳴らし、霧を消した。


「動ける……ハァ、また負けか」


動けるようになったジークは起き上がり、悔しそうに呟いた。


一方黒音は、満足そうに頷く。そして胸元から、スクロールを一つ引っ張り出し、ジークに向かって投げる。


「にゃはは、お姉さんに勝とうなんて10年早いにゃ。まぁでも、十分楽しめたから、プレゼントにゃ」


「ぉっと。ありがとさん。え~っと『魔法紙:火球連弾(ファイアーボール)』か……ん?連弾?ちょっと黒音さん?これは」


受け取った魔法紙を広げて、中身を確認したジークだったが、技名がおかしい事に気付く。すぐさま黒音に確認を取ろうとするが、姿が見当たらない。辺りを見回すが、人影すらない。


「結局、勝ち逃げか……」



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