イベント 『~探求の成果~』
理事長室の扉をノックする。
すると扉がスッーと勝手に開いた。
「「しつれいします」」
私とシャロは、理事長室に入った。
なぜ理事長に呼び出されたのか、私もシャロも分からずにいるのだけど……
「そう畏まらなくてよい。べつに、説教をしようと言う訳では無い」
「お嬢さま、取り敢えず座ってもらっては?」
「ん?おぉ、二人ともそこに立っていないで、座るがよい」
執事の人に言われて、理事長先生は私たちに座るように促す。
私たちは言われた通り、席に座る。すると執事の人は、紅茶を私たちの前に並べた。その紅茶を一口飲んでから私は訊ねた。
「あの…では何故呼び出されたんですか?」
「ん、プレイヤー達があるお祭りを開催しておってな、それにうぬらも参加せんか?」
「え?それって私たちも、参加できるんですか?」
シャロがもっともな疑問を口にした。
しかしそれは予想済みと、理事長先生は詳しい内容を話す。
「うむ、可能じゃ。既にうぬら以外の研究会の皆は、向かっておる。祭りの概要を言うと、『とあるギルドが「魔法紙」の販売を開始した。その記念として、販売しているギルドのメンバー、その者たちが出す課題をクリアしたものに、タダで配布する事になった』と言う訳だ」
「はい!」
理事長先生の話を聴き終え、シャロが手を挙げる。
理事長は頷いてそれに応える。
「三つほど質問があります。一つ、魔法紙とは?二つ、販売しているギルドの名前は?三つ、みんな参加していると言う事は、私たちの研究に役立つものがある、と言う事ですか?」
「んー、魔法紙と言うのは、プレイヤーが誰でも魔法を使用できるようになるものだ。元々プレイヤーには、魔法を使用出来ぬ者がおるのだが、この魔法紙はそんな魔法が使えない者でも、一枚につき一つの使い捨てで魔法を使用できるのだ。この魔法紙には階級があって、一番下が魔法紙、次は魔法書、最上級が魔導書だ」
「もしかして、紙は使い捨てで、書はインターバルがあるけど、何度も使えるの?」
ふと思いついたことが口に出た。
それを聞いた理事長先生は頷く。
「いい着眼点だ、リリスよ。うぬの考察通りだ。ただ、普通に買おうとしたら、もの凄く高い。だから今回は、イベントで配布となったのだが………まぁ、それは置いておくか。ギルドの名は、神秘の図書館。主らの顧問とメンバーが所属しているギルドよ」
「あ、先生がギルドマスターしているっていう、あのギルド?」
「確かに先生なら、魔導書とか作れそうだね」
「ん、実際作っておるのは、あやつらしいからな。それで三つ目だが……もうわかるな?」
「はい、先生の関係なら少なくとも…」
「学べるなにかはある!」
私はシャロと顔を見合わせて、頷き合う。
「その様子だと、参加するようだな。ではアドバイスだ。ギルドのものは各地に潜んでおる。要領は隠れ鬼だな。そしてギルド内ランク、つまり幹部になるほど強力な魔導書が報酬だ。そのぶん、出される課題は難しいぞ」