表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブランクワールド・オンライン  作者: 東條九音
第二世界 ~魔法世界~
56/78

初戦決着

『条件がそろった』と言ってからの攻防戦は、雪那の防戦一方だった。


ツリーの放つ攻撃は百発百中、雪那の持つ槍へと当たる様になったからだ。


「ッ、攻撃に移れない。これはかなり、分が悪いかな」


「だろ?スキルの力さ。でも、撃った弾すべてを、槍ではじく奴は初めてだ」


驚きを述べつつもツリーは、雪那に向かってではなく、壁や地面に向けて銃を撃つ。

放たれた弾丸は、壁や地面に当たる前に急に方向を変え、雪那へと向かい始める。

ツリーに斬りかかろうと、接近し始めていた雪那は接近を諦め、向かって来る銃弾を槍で弾き落とす。

雪那が攻撃しようとしては、ツリーの回避不可能な攻撃。先程からこの繰り返しで、戦況としては硬直状態となっている。


(ねぇ、ロン。これってやっぱり、ロンがロックオンされているよね?)


(じゃな。と言うか、ぬしよ。アウルの眼鏡で分析できておろう)


(うん、おおよそはね。彼の言動を含めて分析すると、さっきの術式は触れた対象者に、マーキングを施すものかな。おそらく武器越しでもプレイヤーが触れた事になって、ロックオンされる)


(じゃがあいにく、わっちはただの武器では無いからのぅ。ぬしではなく、わっちにマーキングがついた、と言うことかや)


(かな。こうなると打開策は一つ。ロン!次、仕掛けるかな)


(分かっておる。ぬしこそ、しくじるでないぞ)


雪那は斬りかかる構えを解き、突きの構えへと変更した。


「守りを捨てての突進か?なら、これで終わりだ!『偽・神の断罪ディバイン・パニッシャー』」


ツリーは銃の照準を雪那へと合わせ、引き金を引く。

放たれた一撃は寸分違わず、雪那へと向かって行く。

しかし雪那は退く事無く、構えていた槍を天井に向かって投げた。


「血迷ったか!」


ツリーはこの瞬間、勝ちを確信した。が、ツリーの予想外の事が起こる。

ツリーの放ったディバイン・パニッシャーが、進路を雪那から天井へと変えたのだ。

そして、驚きの言葉が口から洩れそうになった瞬間、腹部に強烈な痛みが走り、壁へと打ち付けられていた。


「『土雷』……って、ちょっと浅かったかな?」


『いーや、十分じゃろ』


ツリーが先程までいた場所に、雪那と一匹の狼が立っていた。


「どうやら無事みたいだね」


『当り前じゃ。あの程度の攻撃、わっちの知恵にかかれば、簡単に対処できる』


「ッソ、何がどうなってやがる」


ツリーは壁に手をつきつつ立ち上がるも、相手を見て何が起こったのか理解出来ずにいた。


「不思議そうだね?良いよ、教えてあげるかな」


その様子を見て雪那は、ロンの頭を撫でつつ種明かしをし始めた。


「まずは、この子の事から。この子はロン。私の眷属かな。この子は私のアビリティ、『神々の呪い』の力で姿を武器へと変えることが出来るの」


そう言うと雪那が指示を出す前に、ロンが姿を槍へと変える。

それを右手で持ち、話を続ける。


「こんな風にね。ここまでくれば、なんであなたの必中攻撃が、弾かれていたかは分かるよね?」


「ロックオン効果が、その武器になった狼に付いた、って事か。だから、ディバイン・パニッシャーが槍につられて、天井に向かって行った訳だな」


「正解かな。そしてあなたの目が、天井に向かった瞬間、私はあなたの懐に入って一撃を叩きこんだの」


(……ッチ、コイツ、セリアと同じ『神シリーズ』の所有者か)

「なるほど、ね。けどまあ、十分時間は稼がせてもらった」


「?まさか、逃げられると思っているの?私たちのマスターを見下した相手が」


(のう、ぬしよ。目的を忘れてはおらぬか?)


「そんな事、どうでも良いかな。黒音が洞窟に入って来たみたいだし、女の子の保護は黒音に任せればいいかな」


(……珍しく、怒っておるのぅ)


雪那はツリーの喉元に刃を突きつけ、ロンの質問に答えた。


一方ツリーは、刃を突きつけられても、どこか余裕があるようだった。


「あぁ、逃げれるね」


「そうね。だって、あなたは動けないから」


その言葉は雪那では無く、雪那を小型のナイフで背後から刺した人物が発した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ