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ブランクワールド・オンライン  作者: 東條九音
第二世界 ~魔法世界~
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囚われのセレスティーア

「おーい、ジイさん。お望み通り、連れて来たぞ!」


とある洞窟の奥で、銀髪の男が叫んでいた。

男の肩には気絶した、女の子が担がれている。

その女の子は、青みがかった銀髪で魔法学院の制服を身にまとっていた。


「思っておったより、早かったのぅ」


「セリアの情報のおかげだな。ジイさんの『魔法学院のディアーチェ、その養子』だけじゃわかる訳ねぇよ。セリアが、マキナって言う本好きを見張っていれば見つかる、って言ってくれたおかげだぜ?ジイさん、依頼するならもっと、情報を集めとけよ」


男の声を聴き出てきた、ジイさんと呼ばれた人物。その人物は、クロムウェル・ベルガンテだった。


「すまんの、なんせディアーチェが匿って居て、何一つ情報が無かったんじゃよ」


「まあ―、依頼は依頼だし、終ったから別にいいけどよ。それで?この女はどうするんだ?」


開いている手で指差しつつ、どうするのかと尋ねる男。

尋ねられたクロムウェルは、背後に控えていた女に声を掛けた。


「莉花、その子をツリーから受け取っておくれ」


「はいー!にしてもツリー君、女の子を誘拐して来たの?」


莉花はその女の子を受け取りつつ、ツリーに問いかける。問いかけている顔には若干、軽蔑するような視線が伺える。

しかしツリーは、慌てる事無く答える。


「なーに、言ってんだ。ここはゲームの中、別に禁止されている訳じゃないだろ。それに、こういう汚い仕事を平気でやっていくのが、ウチのギルドなんだよ」


「恋人が知ったら、悲しむんじゃないの?」


「残念。その恋人が、ギルマスだよ。って言うか、アンタだって片棒を担いでいるだろうが」


ツリーは指をさしながら、莉花に対して事実を突きつけた。

すると莉花は、そうだった!と言ってテッヘと笑う。どうやら誘拐云々は、からかっていただけの様だ。

ツリーとの一通りのやり取りに満足したのか、莉花はクロムウェルに本題ともいえる話を投げかけた。


「それでクロムウェル先生、この子をどうするの?」


クロムウェルはまずはと言いつつ、懐からあるものを取り出した。


「そいつの血をサンプルとして、採取しておく。その後奥の石板に宝玉をはめ込み、そいつは実験に使う事になるのぉ」


「それじゃあ取り合えず、石板の所まで運ぼうか?」


「そうじゃな」


そう言って、三人そろって石板のある場所まで移動を始める。

が、ツリーはすぐに立ち止まり、後ろを振り返った。

不審に思ったクロムウェルはどうしたのか尋ねると、ツリーは二人に先に行くように促した。


「誰か来るみたいだぜ。取り敢えず俺が残って、始末しておくから先に行け」


「分かった。しかし敵も思ったより、早く来たようじゃの……それで、何人じゃ?」


「たぶん、一人だな」


「たぶん?」


ツリーがいつもの様な自信にあふれた回答でない事に、莉花が疑問に感じ聞き返す。


「足音は一人分だ。けど、他にも何かいそうな気配がある。とにかく、先に行ってろ」


するとツリーは、その理由を述べ改めて先に行くように促した。















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