表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブランクワールド・オンライン  作者: 東條九音
第二世界 ~魔法世界~
49/78

ジークの特訓

『ほら、動きが鈍って来てますよ!』


「無茶言うな!」


胸のポケットに仕舞ったスカーレットと、会話をしながら戦闘を行うジーク。

そのジークの顔には、少し疲労が見える。

ジークは現在、小屋があった場所、森の中心から西の地点で狼と戦闘をしている。ジークに一体何があったのか。それは、数週間前のスカーレットと出会った頃まで遡る。




















紅き宝玉から話を聞いたジークは、すぐさま行動しようとしたのだがスカーレットは待ったをかけた。


『急ぐ気持ちは分からくないですが、まずは引き受けていただいたお礼です。あなたの装備している刀は、《レ―ヴァティン》ですね。その子を私に近づけなさい』


「それは良いが、一体何する気だ?」


『お礼と言ったでしょう。その子は天然物のインテリジェントです。如何やら寝ている様なので、目覚めさせるのですよ』


「こいつが?でもこいつは店で買った物なんだが?」


『天然物と為るには条件があるのです。まず、儀式のあった時代を耐え抜いている事。もう一つは、それから長い年月を経て意識を持つに到る事。一つ目の条件の時点で、現存するものは少ないですが、二つ目でさらに減る事に為ります。意思を持つかどうかはある種運任せな所もありますから。意思を持ったとしても主と為るもの、つまりパートナーが居ないと何も出来ませんから多くの物は眠りにつくのです』


「なるほど。つまりインテリジェントだったとしても、気付かずに使われる事が多いって事か」


『その通りです。稀に気付く者も居ますが、あなたは気付かずに使っているようでしたからね』


スカーレットの説明に納得したジークは、言われた通りレ―ヴァティンを近づけた。


するとスカーレットが紅く輝きを放ったかと思えば、それは一瞬での間で終わってしまった。


「…なにしたの」


『先程から言っている通り、この子を起こしたのです』


(アレだった近づける必要ないけど、きっと突っ込んだら負けなんだ……)


そう考えたジークは決して口に出す事無く、胸の内に仕舞った。


『うぅん~。はぁれ?ここはどこでしゅか?』


「………」


突然刀が喋り出し、ジークは口を開けて固まってしまった。がそんな事お構いなしとばかりに、二つのインテリジェントは話し出す。


『如何やら起きたようですね』


『ぁ、しゅか―れっとさまだ~。ここは、どこれしゅか?』


『此処は私の家です。如何やらあなたは眠りに付いてから誰とも契約を結ぶことなく、世界を渡り歩いていたようですね。まずは契約を結びなさい』


『ふぇ?ケーヤク?」


『ジーク、あなたもいつまで口を開けて見ているつもりですか。早くお互いに名を交換して契約を結びなさい』


スカーレットに声を掛けられ我に返ったジークは、スカーレットに質問をした。


「なぁ、お前さんより後のインテリジェントは全部こうなのか?」


『そんな訳ないでしょう。この子は意識を持ってから一度も契約した事が無いので、こんな感じなのでしょう。要は純潔、処女なのでしょう』


何か言い方があれだけど、まあいいか。


「それじゃあ改めて、俺はジーク・レイア。お前の名前は?」


『わたしのなまえはレ―ヴァティンでしゅ。ますたーさん、これからよろしくおねがいしゅます』


『この子はあなたの実力次第でいずれ、擬人化する事が出来るかも知れません。と言う事でこれからは、鍛錬を積みながら目的地に移動しますよ』





















「ふう~終った~」


『おつかれしゃまでしゅ。ますたーさん』


『疲れで鈍くなって来ていますが、中々上達してきましたね』


戦闘が終わるとインテリジェントたちが感想を述べた。

だんだん慣れては来たけど、やっぱり好きかって言う奴らだな。特にスカーレットは上から目線だし。レヴィは良い。何か癒されるから。あれかな?精神年齢が幼いからかな?


「取り敢えずこのまま、西の海岸線を目指せばいいんだよな?」


『その通りです。到着するまでにしっかりと、レヴィを使いこなせる様になりなさい』


『ますたーさん、レヴィもがんばるよ!』


「ああ、分かっているよ。お互い頑張ろうな、レヴィ」


因みにレヴィとはレ―ヴァティンの事だ。呼ぶときにレ―ヴァティンだと長すぎるから、愛称をつけてやった。


「さて、そろそろ落ちるか」


『おや、今日はもう戻られるのですか?プレイヤーたちは不便ですね、此処とは別の現実もあって』


「ああ、明日ちょっと早くに用事があってな。それにしても、現実の事知っているんだな」


『ええ、理屈は良く分かりませんがプレイヤーは私たちも使える転移門と、もう一つ別の転移法を使える。その転移法を使う事によってその世界を行き来すると、いつだったか話してくれた方が居ました』


改めて思ったけど、このゲームのゲームマスターは凄い奴だな。殆ど人と変わりないNPCたちを作り出している。

それに多少強引だが、プレイヤーの行いに疑問を持たせないようにしている。いずれは見つけ出して会ってみたいな。

って言ってもそれが、ゲームマスターが出したグランドクエストだけどな。


『あの~ますたーさん。はやくいかなくていいのでしゅか?』


「お、そうだった。それじゃあ、また今度な」


そう言って、ジークはログアウトしていくのだった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ