表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブランクワールド・オンライン  作者: 東條九音
第一世界 ~人間の世界~
1/78

プロローグ

とあるプログラマーの部屋、此処であるVRMMORPGが公開されようとしていた。


その人物は学生の頃、友人が考えた当時の技術ではまだ夢物語のようなVR及びARのゲーム設定を貰い受け、環境が整うのを待った。そして、VRやARの技術が世の中に広まり実装され始めると、今まで培ってきた技術を注ぎ込み、友人が思い描いたゲーム世界を作り上げたのだ。

作り上げたゲームはテストも終えており、何時でも世に公開する事が出来る状態となっていた。

その公開直前のゲームの名は、『Blank World Online』と言い世間では変わったゲーム、机上の空論の様な仕様だと言われていた。


通常のゲームは、キャラ制作をするとき、種族を選び、スキルを選んでアカウント登録が完了する。

その時、種族能力や、スキルの効果は初めから決まっている。

ブランクワールド・オンラインではアカウント登録をする際、種族やスキルを選ぶところまでは他と変わらないが、その先は違っていた。登録された情報を基にし、AIが種族能力やスキルの効果をランダムで製作するのだ。


たとえばネーム入力後、性別選択・種族選択・職業選択・スキル選択をするとしよう。容姿については、自動制作か各自で制作をするかを選べる。

問題となるのはこの先だ。種族とスキルは選択式となっており、メジャーものからマイナーのものまである。

その中から「獣人」職を「鍛冶師」にし、スキルに「魔法」を選ぶとする。

まず、選択された種族と容姿を基に、AIが種族能力を作り出す。「獣人」で容姿が犬のようなら、その特徴を使った能力が制作される。


次に、「鍛冶師」の職を選ぶと通常、『武器や防具などを作れる』と言うスキル効果を得るだろう。

しかしブランクワールド・オンラインでは、AIが「鍛冶師」を、「武器師」「防具師」と別々に部類しさらに、武器なら刀を作る事が、防具なら盾を作る事が得意、と言ったように作る。つまりほとんど、その道のプロのスキルになる。


「魔法」も、炎・水・雷・土とあるとすると、通常は相性の関係で炎・土しか初めは使えないが習得レベルが上がると他にも使えるようになるだろう。

だがこれについても、AIが選択した一種類の属性しか使えない。

もしほかの属性の魔法が欲しいのなら、スキル習得時に「魔法」を選ぶと、新たな属性の魔法をAIが製作し習得する事ができる。


つまり、同じ種族や、同じスキル名であっても、全く違う能力・効果を持つキャラが出来上がると言う事だ。


ブランクワールド・オンラインの情報は、アカウント制作の詳細とタイトル以外は何もないため、ネットゲーマーの中では、名前の通り空白な世界、謎が多すぎると言う事で、一つの都市伝説的な扱いになっていた。












「しかしまぁこのゲーム、公開に気付く人は一体どれだけの人が気付くのだろうな」


『気付かれる事が無いのであれば、手始めに知り合いの方にフリーメールを使って招待しましょうか?』


何気なく呟いた言葉に、反応するものが居た。管理AI統括のナナだ。ナナにはAIの統括以外に情報収集・ゲームデータの管理を任せており、BWOのサブマスターとも言える存在だ。


「任せた。それにしても、ちっと賢く作り過ぎたかな」


『そんな事はありませんよ。所詮私はAIです。出来る事は限られますので、お役に立てない事も多くあります。その時、どれだけ悔しい事か』


そうであったとしても、サポートをする上での、優秀過ぎる結果は変わらない。


そもそも、ゲームバランスの調整を任せるための、補助AIとして開発したのがナナだ。

そこから面白半分で、言語プログラムとインターネットからの自動学習プログラムを付け加えた結果、私と会話が出来る位の知能を身に付けて今に至るわけだ。

完成間近になり、新たにバランス用とスキル用のAIを追加し、基本の管理をAIたちに任せるようになった。

その結果、考えていた以上の物が出来上がった訳だが。


「じゃ、そろそろ公開と行こうか」


『ではルル、キキと共に配置に就きます。何かあれば、連絡しますので』


「頼むな。それと、ルルとキキによろしくな」


『分かりました。ですが、ご自分で言った方が、二人とも喜ぶと思いますが』


「そうだろうな。でも、後で会うのだから良いだろう。それじゃあ、始めよう」


この答えに対してナナが、『全く、素直じゃないですね』と言っていた気がするが、その時にはすでに、現実から仮想世界に移動を開始していたため、よく聞こえなかった。








結果としては、製作者の心配は杞憂に終わった。気付いたものが、都市伝説通りのアカウント制作だったことを広めたことにより、その日の午後には製作者の予想を上回るアカウントが出来上がっていたのだ。

かくして、空白な世界は始まりを告げ、新たな物語が、幕を上げるのだった。




読者参加型とは、ハーメルンにてアイデアの募集をしているからです。

詳しくは、ハーメルンの「ブランクワールド・オンライン」を見て頂けると助かります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ