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愛狂ガール シリーズ

あなたの個人情報守ります。

作者: 高千穂 絵麻

※この作品はホラーです。一応マイルドだと思いますが、ご注意ください。

※2016年2月7日、日間ジャンル別1位、総合280位いただきました。ありがとうございます。

 ちょっと、あなたのことをネットで検索してみたんだ。


 そうしたら、出てくるじゃない、個人情報。

 名前、生年月日、住所、電話番号、メールアドレス、家族構成、マイナンバー、銀行口座、SNSのIDとパスワード、スマホの機種と利用履歴まで。

 それも、あなたが書いているSNSじゃなくて、まったく関係ないところから。


 その他にも、知らない人の名前やら住所やら、いっぱい出てきたの。


 つい、IDとパスワードが使えるか、SNSにログインしたら、あなたのアカウントで入れたわ。

 コメントは入れていないから安心してね。


 もうこれは事件よね。

 匿名で警察に通報したわ。それと、マスコミにも捨てアドから。


 そうしたら、テレビでもやるし、ネットのニュースでもトップ記事。

 流出させた会社が大きかったことと、件数が多かったみたいで、すぐに騒ぎになっちゃった。


 でも、逮捕されるのって、流出させた人だけなのね。

 おかしいと思ったわ。あなたの個人情報を軽々しく扱っておいて。


 だから、探偵を雇ったの。あなたの個人情報を買い取った会社とか、それを使おうとした会社とか、そういうの。

 少しお金がかかっちゃったけど、あなたのためなら大した出費じゃないわ。


 相手が判ったら、その会社の悪いところも探ってもらったわ。

 探偵からの請求額の桁がひとつ増えたけど、それくらいならなんとかなるから。


 そうしたら、出るわ出るわ、悪事のオンパレードね。

 詳しくは言えないけど、その悪事の証拠と、下っ端だけじゃなくて、責任者の秘密もつかんじゃったの。

 当然、二度と他人の個人情報を悪用できないように、社会の審判というものを知らしめてあげたわ。

 きっともう、悪いことはできないんじゃないかしら。


 それでも心配だったから、役所に行って、戸籍と住民票を取ってきたの。

 平気よ、代理人として手続きしたから、なにも間違っていないわ。

 あなたは安心して毎日を過ごしていればいいの。


 でも、びっくりしたわ。あなたの戸籍に、知らない人の名前が書いてあったわ。

 きっと、役所のデータが間違っているのね。配偶者とか、おかしいもの。

 ねぇ、あなたは独身って言っていたよね。私、あなたの言葉を信じているわ。

 ええ、あなたのことは、すべて解っているから。


 それでね、すごくいいことを思いついたんだ。


 あなたの個人情報って、情報が正しくなければ、個人情報にならないもの。

 特定の個人を識別できなくしてしまえばいいの。


 ねぇ、いいアイディアだったでしょ。

 私のところに引っ越してきて、もう3年たつけど、もうあなたを特定できる情報は、ネットにも、どんな会社にも、国のデータベースにも入っていないわ。

 だって、今入っている情報は、今のじゃない、間違った情報だもの。


 あなたの個人情報は、私だけのもの。他の誰も知らない。

 一番安全な個人情報。


 そろそろそんな、狭いところから出てきてもいいんじゃない。

 私の家の押し入れから、一歩も出ていないでしょう。


 私も3年間、あなたの顔を見ていないから、淋しいわ。

お風呂に入っている時に、調子に乗って思いついて、書いてしまいました。

こういう話なら、すぐに書けるのか、と思うと、ちょっと怖いです(^▽^;)

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― 新着の感想 ―
[一言] ホラーにも色んな種類のものがありますが、こういう風にジワーッと来るのがいちばんショックが大きいですよね。後を引きます。 彼が押入れに入るまでの経緯を想像したら、ゾッとします。 夢に出て来そう…
[良い点] 久し振りに感想を書きたくなる話でした。 最後に来る読後感はずば抜けてる。というか場面をじんわりと結末に向かって恐怖を駆き立てる書き方はもう持ち味ですね。短編でありながらこの読み応えは凄いで…
[良い点] おぉおおおお! 怖いぞ怖いぞ最後の三行!! [一言] うっかり寝る前に読んでしまいましたよ。 個人情報以上に怖いぞ彼女。
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