年下の先輩
偉大な発明の2人の出会いのお話です。
独立はしております。
「やあ、君は生きているかい?」
「……いい気分ではないけど生きてるよ。見えないけどそっちは元気そうじゃん。」
「むむ。初対面の人間にその態度とは感心しないなぁ。少しは猫をかぶってもいいんじゃないかな?可愛いよー、にゃ~んって。」
「っ!……すいませんでした。でも猫は遠慮させてください、キャラじゃないので。」
「おぉ、イイねイイね!素直だね!すぐに自分を見つめ直せるのも素敵だね!やっぱり素直ってのはそれだけで財産だよー、ちょっとしたモラルさえあれば素直で人から嫌われることなんて無いからね!」
「はぁ……ところでここはどこなんです?《僕の》部屋じゃないことはわかるんですけど、ちょっと動けないので確認もできないんですよね。」
「そっか、そうだよね。ここは《私の》部屋だよ。」
「やっぱりですか、おじゃましてます。」
「あっはっは、いいよいいよ!どうせ動けないんでしょ?ゆっくりしていってよ!」
「……お世話になります。」
「はは、そんなに堅苦しくしないでもいいさ。なんせ」
「ここは《君の》部屋だよ」
「っ!」
「お?どうしたのかな?《君の》部屋だよー、嬉しくないかな?」
「えー、少し……混乱してまして……ここは《俺の》部屋なんですか?」
「おっと、一人称が変わったね、そっちが素なのかな?いいねー、どんどん砕けてくれて私も嬉しいよー!ルームメイトは仲良くしないとね!だけど体調が悪いなら休むべきだよ、ここには甘いものも無いし。」
「もう一度聞きます、ここは《俺の》部屋なんですか?」
「さっき言ったじゃないか、ここは《君の》部屋だよ、《私の》部屋でもあるけどね。これからよろしくねー、私のことは先輩と呼ぶように!」
「えっと、《俺の》部屋でもあって《先輩の》部屋でもある?言葉遊びか何かですか?」
「おぉー、これが先輩呼びかぁ……!なかなかにくるものがあるね……!言葉遊びも何もルームメイトだってば。今朝君が《私の》部屋に運ばれてきたんだよ、ベッド丸々ね。私もびっくりしたよー、個室にしては広いと思ってたけどいきなりルームメイトが増えるんだもん。話し相手が欲しかったのは本当だから仲良くして欲しいな!」
「えっと、すみません。確認ついでにもう少し掻い摘んでお願いします。頭の中がまとまらないので……」
「そんなに難しかったかなぁ、それじゃあもう一度掻い摘んで言うよ?君が今朝この部屋に引っ越してきたのさ、私は話し相手が出来て嬉しい。これでいいかな?」
「ややこしいわッ!!」
「ひゃぁっ!」
「気分は悪いし知らない部屋だと思ったら自分の部屋だって言われるし自分の部屋には他の人なんていないし考えはまとまらないし気分は悪いし!」
「えっと……大丈夫かな?」
「俺……自分の頭がおかしくなったのかって……!」
「あー……何かごめんね?私もちょっとはしゃぎすぎて変なこと言ってたかも。」
「先輩は生きてますよね?実在してますよね?」
「生きてるよ!15年ちゃんと存在してるよ!」
「はぁ……少し落ち着きました。ところで先輩、15歳なんですか?」
「誕生日は迎えたから16だね、華の女子校生だぞう!」
「俺の方が年上なんですけど。」
「」
「先輩呼びされたかったんですね。先輩。」
「いいじゃないか!憧れてたんだよ!それにこの部屋はもともと私の部屋だし!この部屋の先輩だし!間違ってないし!」
「はは、よろしくお願いしますよ。先輩。」
「むう、何か含むものを感じるんだけど……こちらこそよろしく。仲良くやってこうよ。」
「そうですね、仲良く短い付き合いにしたいもんです。」
「言ったな!絶対長い付き合いにしてやる!覚悟しといてよ!」
「何でそんなに必死なんですか先輩……」
これはとある重症患者と軽症患者の出会い
この2人は良い距離感でいて欲しい