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8話

2006年5月13日

五島列島沖南西数十km

この日、雪風型誘導弾駆逐艦白露以下数隻の小規模艦隊は洋上哨戒任務に就いていた。

白露戦闘指揮所(CIC)

「この辺は島が入り組んでるからレーダーには目を凝らせよ」

そう言ったのはこの子日の艦長を務める俺、元町欣三中佐だ。

俺の命令から数秒後、ある電測員が「レーダーに反の…………反応あり!目標はアレン・M・サムナー級駆逐艦及び蔚山級コルベットです!」と叫ぶと元町は「対水上戦闘用意!」と命じるとこの白露は速度を上げる。

すると本艦の同型艦である巻雲の艦首と第二煙突後方にそれぞれ装備された73式12.7㌢(Mk-42Mod10)速射砲が右舷へ志向され、射撃態勢に入る。

続いて初雪、白雪、朝雪も艦首部の81式76㍉速射砲の射撃態勢を整える。

そしてその数秒後、駆逐隊の司令が射撃命令を下す。するとこの船と巻雲は射撃を始めた。

と、ほぼ同時に敵艦もこちらへ砲撃を開始する。

とは言え、相手が12.7㌢砲を所持していたとしても射程は10~12㌔の38口径型に対して、こちらは54口径で20㌔の射程を誇り、27~30発の発射速度があり負ける要素はない。

とは言え油断は禁物だ。砲門の数に関しては相手の方が多く、更に1人あたりの労力については砲員が少ないこちらが上だ。

つまり油断が破滅を招きかねないのである。それはともかく激しい撃ち合いは続き、最初に我が白雪が落伍し、続いて巻雲の前部砲塔及び右舷20㍉対空機関砲(CIWS)に砲弾が着弾、それらが全損する小破の被害を被ったのである。

とは言え、韓国側もサムナー級1隻及び蔚山級3隻が沈み、サムナー及び蔚山級が各2隻中破するなどの被害を受けており、互角とも言える戦況であった。

だがその均衡を崩す巨龍、独島級巡洋戦艦の3番艦鬱陵が迫りつつあったのである。

そして同艦の放った砲弾は左後方で回避運動中の巻雲の至近に着弾すると巻雲は傾斜しながら速度が下がっていく。

「巻雲に至近弾が着弾!速度低下中!」そう通信員が言うと司令が「駆逐艦望月に巻雲の護衛を命じろ!」と命じた直後だった、通信員が「巻雲、機関室浸水!復旧は不能と見込む!」と報告し、すぐに司令は「望月は巻雲の生存者収容を急げ!」と命じ、なんとか島陰に隠れて望月は巻雲の乗員を収容、初雪の護衛の元、熊本方面へと命からがら離脱したのである。


だが幾度も降り注ぐ砲弾は巻雲や望月の乗員を精神的に圧迫し、戦後、PTSDになり除隊するものが相次ぎ、他にも水柱が炸裂した際の水圧で内臓が破裂し、望月艦内臨時医務室や熊本で死ぬものも相次いだのである………


第1次五島列島沖海戦は日本側の敗戦で幕を閉じたのである………

とは言え、彼らの対潜水艦作戦能力はたかが知れていることが原潜黒潮による偵察で判明しており、水中からの攻撃計画も練られていた。

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