3話
敵国サイドの主人公が出ます。
政治将校については微笑みデブをイメージしてくださいw
2006年5月8日11時過ぎ
唐津沖合
韓国海軍戦艦独島は唐津市の沖合いで市街地へと8門の砲門を向けていた。
無論、行うことは艦載砲による地上制圧射撃、すなわち艦砲射撃である。
同艦艦内CIC
モニターに攻撃許可命令が出たことが表示されると「作戦本部より砲撃命令が下ったぞ。艦隊司令及び艦長同志、目標は唐津市の市街地全土だ!良いな?逆らったら、君らの命はない!」と三十路にも満たない若い将官服を着た男、政治将校の盧頼正政治中将が言い、怯えた子犬の様な表情で司令官の李兵日少将が、無表情に大佐で艦長の私、金凛瑞が頷く。
はっきりいえば私より一期上の李少将も私も共に軍歴25年以上のベテランであり、軍歴が5年にも満たないヒヨッコに指示される筋合いは無い。
だが、盧は政府から任命された政治将校な上に、政治将校は現場階級制度なので簡単に階級を変えられるので、ここでは司令や私よりも階級が上になれる。
だから彼に従うしかない。
それにしても避難中の住民がいるだろうにこのデブは躊躇しなく攻撃命令を下し、不敵で残虐な殺人鬼の様に狂気染みた、あるいは病んでいる様な笑みを浮かべていた。
(こいつに人間性はあるのか?)
私はそう思いつつ、逃げ切れていない住民を虐殺したくないという自らの倫理観から来る躊躇いと軍人として果たせねばならぬ責務、その2つに精神を押し潰されつつも砲撃命令を下す。
するとモニターには艦橋からの映像が映り、強烈な27㌢連装砲の閃光が眩く映り、スピーカーからは雷鳴のような轟音が響き渡り、盧を始めとした一部の人員が興奮して奇声を上げ、一部は冷静に状況を分析していた。
(1人でも多く逃げられれば良いのだが…………)
俺はそう思いつつも地図と弾道を示すモニターに目を移す。
するとロシアから1個飛行隊分の機体を買い取り、韓国が独自発展させた上空のO/V-38弾着偵察機が送信してきた映像が表示され、そこには燃え上がる市街地が映っていた。
「ふはははは!我々に立ち向かう奴も、我々の攻撃から逃げる奴も全員ジャップだ!」
政治将校がそう狂気染みた声で言うと私は胸の奥から感じる違和感が更に強いものとなった。
だが、我々は政治将校たる彼に従うしかない。何故なら軍人たる私たちが大統領の出店たる政治将校である彼に逆らえば、それは大統領に逆らう事を意味する。つまり国家反逆罪に問われると言う意味で、自らの家族も無事では済まないだろう。
(……………くそっ、若造の癖して何だこの野郎め!!)
私は胸中でそう吐き捨てると政治将校に艦長室での休息許可を貰い、休む事にしたのである。
同日午後12時30分
韓国軍の輸送機が福岡空港や本土の基地を飛び立った事を衛星が捉えたので国防軍は福岡及び熊本との県境にある最新鋭ミサイルが配備し、、襲来するであろう敵空挺部隊を乗せた輸送機を待ち伏せしていた。
「宮木少佐、広域哨戒レーダーに反応!敵空挺部隊を乗せた輸送機と護衛の戦闘機です!」そうレーダー技師の戸川一等軍曹が報告すると試験大隊の指揮官、宮木了少佐は「了解、SAM陣地は即座に戦闘哨戒飛行任務中のF-15隊と共に敵戦闘機に対する攻撃を許可する!」と命じ、上空のクロス隊が99式空対空誘導弾を放つと、すぐに地上からはトラックの上に置かれた箱形射出機が垂直に向きを変えて03式地対空ミサイルが放たれる。
無論、F-15の存在を感付いた韓国空軍のF-16戦闘機はSEAD任務機であるが、地上のミサイルより脅威の大きいクロス隊を撃破すべくこちらの方角に向かってきたのである。
そしてその次の瞬間だった、あたかも他方向にも戦闘機隊がいたかの様に03式地対空ミサイルが2機のC-130を多数の空挺隊員共々葬り去る。すると護衛のF-16は何機かに別れて輸送機の方角とクロス隊へと向かう。
だが、それこそが罠であった。
クロス隊の方角へ向かっていたF-16の操縦室で突如、赤外線ミサイルに対する警報が鳴り響くとF-15とは別の戦闘機で、F-16よりやや大きい戦闘機が真横を通り過ぎたのである。
F-2"ゼロ・ファルコン"文字通り、F-16ファイティングファルコンを母体とした格闘戦に長けた全天候で運用可能な戦闘機いや多目的戦闘機だ。
「シャーク1よりクロス1。コイツらは我々が料理させて頂く!」そう俺、大尉の栗本総一が言うとクロス1で大尉の戸賀猛が『クロス1了解。流石にこちらの十八番の高度では無いので煮るなり焼くなり好きにしてくれ!』とやけくそ半分に言うも"お前らに任せるぜ"と言う感じに聞こえてきた。
F-2とF-16Cはほとんど同じような大きさと思われがちだが、航続距離、翼面積とそれに伴う旋回性能はこちらが勝っており、速度はほぼ互角である。
空戦は限定的ながらオフボアサイト照準が可能な90式空対空誘導弾改を有するこちらの圧勝に終り、韓国側はクロス隊に向かっていた12機中3機をクロス隊の99式による先制攻撃で失い、残りの9機の内、6機を90式改により喪失、3機は命辛々福岡空港へ着陸するも、輸送部隊は全て03式の餌食となり、熊本県へ韓国兵の侵入を阻止出来たのである。