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26話

金田砲手が指を指した方向を俺が目を向けた次の瞬間、前を走っていた少し隊長の乗車に突如、RPG-7と思しき対戦車ロケットが直撃し、隊長車からの通信が途絶える。

しばらくして隊長からの連絡が無いと言う事がわかり、俺は自らが次席指揮官として何をすべきか考え、命令を出す。


「副隊長、あちらに複数の敵戦車が見えます!」と金田曹長が言うと宮村は「万事休す」と呟くとすぐに「その場凌ぎとしか言えないが煙幕を張れ!」と金田1等軍曹と井村隆3等軍曹に伝え、俺は後続車には砲弾の装填を命じ、自ら囮として前に出る様に命じたのである。


と、すぐに敵はたちの車両に食い付いたかの様に砲撃を開始し、後続の車両は後退しつつも射撃を開始する。


(思惑通りに進んでいるな………)

宮村がそう思った次の瞬間、物凄い衝撃が俺の体を揺す。

すると通信員の井村軍曹が「無線装置損傷、僚車への通信が出来ません!!」と伝えて来たので宮村は「手旗信号で副隊長に通信代行を………」と言おうとした次の瞬間、待ち伏せしていた別の韓国軍戦車が宮村らの乗る戦車をクルー共々破壊する。


第2中隊指揮官車

「副隊長車から応答途絶!各位、これより我に従え!」

そう車長の俺、山川謙治中尉が言うと即座に反撃を命じる。

だが、非情にも山川が上空を見るとCOIN(対ゲリコマ制圧作戦)機であるA-37(ドラゴン・フライ)やソ連製のA-10サンダーボルトと称される空飛ぶトーチカと恐れられたSu-25(フロッグ・フット)が常に旋回しており、前に進む事が困難になっていた。

「くそっ…………」

俺はそう歯軋りをしながら空を眺めていると今度は榴弾砲から放たれたとおぼしき砲弾が付近に着弾し、1台の歩兵装甲車が吹き飛ばされ、火だるまになった車体からこれまた火だるまになった兵士が飛び出てくる。

そして


(このままでは…………)

俺はそう思うとすぐに「このままでは副隊長車の二の舞になる、戦術的退却!!急げっ!!」と命じたのである。


戦術的退却。本来は軍法会議ものの重罪である敵前逃亡とは異なり、戦況に応じた作戦の1つであり、態勢を立て直す際に用いられるのである。


とは言え、敵の牙城を前にして一時的な撤退とは極めてに悔しい。だがこれ以上兵士の犠牲が出ない為に仕方ないのである。


とは言え、一方で朗報とも言える情報も入ったのである。


そう、新田原基地から敵地上戦力制圧の為にJDAM(誘導爆弾)やグアムの米太平洋軍から移管された対レーダーミサイルを搭載したF-2戦闘攻撃機中隊に先導された第1空挺団を乗せたC-130輸送機と護衛のF-15とF-2戦闘機がこちらに向かっていると言う情報であった。


加えてF-2は爆撃を銘打った装備をしているものの、実は中射程の99式空対空誘導弾(AAM-4)や格闘戦用の90式空対空誘導弾(AAM-3)も搭載しており、上空の露払い(制空権の確保)と言う役割もあったのである。


(頼む…………)

山川中尉がそう思う中、F-2は照準に捉え(ロックオン)していた攻撃機とその護衛であるKF-16に対して一斉に99式空対空誘導弾を放ち、誘導爆弾を韓国軍陣地に発射したのである……………


そして誘導爆弾や対レーダーミサイルも同時に放たれ、韓国軍の戦車を次々と陣地丸ごと吹き飛ばしたのである。


F-2戦闘攻撃機が平成の1式陸上攻撃機、そして零戦と呼ばれる所以がまさに発揮されようとしていた。

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