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25話

午前7時30分

戦艦済州戦闘指揮所(CIC)

「日本軍のミサイルを感知、迎撃ミサイルの発射します!」

そう砲雷長で副長の金頼良中佐が言うと、軍人として全幅の信頼を置いている艦長の李凛正大佐や艦隊司令の林黄少将が静かに頷くとすぐにあのバカ(政治将校)が「もしミサイルが落とせなかった場合、貴様は国家反逆罪に問われるぞ」といちゃもんを付けてくる。


だが、金はそれに屈せず「わかりました。なんとしても落として見せます」と続く、するとソイツは満足そうな笑みを浮かべてふんぞり返って座り込む。


そして金が片手を上げるとその政治将校の近くに座っていた電測員が突如、政治将校の側頭部を丸椅子で殴りかかり、政治将校は気を失う。だがすぐに別の政治将校が腰にかけていたホルスターから拳銃の抜き、その電測員を即座に撃ち殺す。そしてまた別の電測員が気を失っている政治将校の腰のホルスターから拳銃を抜き取り、政治将校に対して発砲し、腹に銃弾を浴びたもう1人政治将校は苦しみだしたのでもう1回その政治将校を撃つと政治将校は奇声を上げて気を失う。すると艦長はその2人を手を後ろで縛った上で椅子に縛り上げる様に命じた。


そしてこの戦闘指揮所(CIC)が平静を取り戻すと金は(どうせ落とせる訳無い)と諦め半分ながらもモニターに表示されたミサイルとミサイルが重なる瞬間を待つ。


数秒後、いくつかの赤い輝点(フリップ)とこちらのミサイルを示す輝点(フリップ)がいくつか消えたが、いくつかの輝点(フリップ)は依然として接近し続けていたが、他の「各艦、シースパロー発射用意完了!」「副砲(12.7cm速射砲)射撃用意完了!」と報告が上がる。すると俺は即座に個艦防衛用ミサイル(シースパロー)の発射命令を下す。


だがその直後だった駆逐艦ヤン・マンチュンが敵戦艦の25.4cm砲弾の直撃を浴び、艦上構造物が大きく破壊され、落伍。続いてもう1隻のテー・ジョヨンも46cm砲弾の数十m至近で発生した水中爆発で航行不能に陥る。


とは言え、それに屈する事なく残存艦艇は一斉にシースパローを放ち、こちらに向かう対艦ミサイルを迎え撃つ。


さっき放たれたミサイルは何発かの敵ミサイルを撃墜には成功したが、結局、シースパローは15発のミサイルを撃ち漏らしてしまい、6発を12.7cm速射砲やCIWSが撃墜するかチャフのカーテンに飛び込んで海に落ちたが、残りはフレッチャー及びサムナー・ギアリング級駆逐艦に直撃し、5隻を大破させた。そして最後の3発がこの済州に立て続けに直撃。その衝撃の直後に船体が傾斜しているのに気が付く。

そして更なる衝撃が後ろから襲いかかり、その衝撃がミサイルの命中である事に気付くが、続いて前方から巨大な衝撃が襲いかかる。おそらく敵砲弾が炸裂した際に主砲弾に誘爆したのであろう。そしてその爆風が戦闘指揮所(CIC)を飲み込むと金たち済州の戦闘指揮所(CIC)の職員の意識は途絶えたのである。


イージス巡洋艦(CGA-174)霧島艦橋

航海長である俺、多川武雄少佐が双眼鏡とカメラを片手に遠目に沈みゆく敵艦に対して敬礼をしながら、戦闘詳報をつけていると隣にいた石倉と言う水兵長が「いくら敵とは言え、なんか同情したくなりますね………」と呟いたので俺は「あぁ、確かに君の言う通りだ。明日、あぁなるのは俺たちかもしれない。今日生き延びたのは奇跡だが、明日は死ぬかもしれない。よく戦争映画で使われる言葉だ。俺が高校生の頃、ベトナム戦争を描いた映画を見た事があるが、あの映画では教練所の最後のシーンで幾多の兵士を鍛え上げたノルマンディー上がりの鬼軍曹がどうしようもなかったが、最後のほうに大きく成長した奴に射殺されるシーンがあったが、その通りだと思う」と続くと石倉は静かに頷く。


2006年5月28日、五島列島沖で行われた一連の海戦で韓国海軍の戦艦鬱陵、済州は撃沈され、日本の巡洋艦那智は第1、2砲塔を損傷する被害を蒙り、長門も船体の一部が浸水する被害を蒙った。だが、韓国海軍は7隻の駆逐艦を喪失、フリゲートも数多く損失する被害を受けて敗北。これ以上の被害を出せば韓国は海軍力を喪失するであろうとし、対馬での松型を改良した砲艦以外は積極的な行動をやめたのである。


数日後、金武軍が失脚した事で韓国世論は対日和平交渉を進めるように言い出し、金を打倒した臨時政府もそれに合意。シンガポールやモスクワ、それにシドニーなどで日韓両外務省高官による会議が行われ始めたのである。

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