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24話

2006年5月28日

午前7時10分

長門戦闘指揮所(CIC)

「敵艦から本艦向けの射撃を感知!弾着まであと3分!」

電測員がそう言うと艦長の戸村真大佐は即座に「面舵一杯!」と命じ、長門は右に舵をとる。


面舵を命じてから取り舵を切って再度艦が安定すると戸村艦長は反撃命令を下す。すると長門の装備する46cm3連装砲は力強い雄叫びを上げて火を噴く。


火山の噴火のさいの空振と言うべき衝撃と雷鳴とでも言うべき音が艦橋に鳴り響く。


腹に堪える衝撃と振動。そして艦橋ではあたかも火を噴く活火山の様な物凄い閃光が見え、すぐにどす黒い黒煙へと変わり公法へと流れていく。

数秒後、敵弾が400m離れた場所に着弾すると巨大な水柱を形成する。韓国軍の27cm砲は27cmとは言え鋳造技術や管制システムの進歩で威力は第2次欧州戦争や北海道動乱の36cm砲弾2発分に匹敵し、長門、サウス・ダコタV・ヴェネットの砲弾の威力を基準に開発された日米伊の25.4cm砲塔にやや威力や射程で劣るもののそれなりの破壊力を持っている。


「ふぅ…………当たってたら大変だったな…………」

そう汗を拭いながら少佐で航海長の俺、大野慎平が呟くと先任伍長で握帆長の米田昭太曹長も「その通りですね。航海長」と続く。


するとすぐにその言葉は現実となった。

長門から300mくらい離れていた駆逐艦朝雪の周囲に水柱が形成され、その衝撃で朝雪の船体に浸水が発生したのである。

その浸水で動けなくなった朝雪は僚艦沢雪に救助を要請したのである。

数秒後、沢雪が朝雪に接舷しようとした次の瞬間であった。巡洋戦艦済州の27cm砲弾が2隻の間に着弾し、その水中衝撃波は4200tの2隻を一瞬でポッキリと引き裂いたのである。


「沢雪及び朝雪轟沈!」

部下がそう言うと「くそっ…………いくら敵艦とは言え救出中のを叩けと言う命令を出せるとは政治将校と言うヤツは残酷いや冷酷で人間らしさが感じられん」と続く。

しばらくするとハリアー(着弾観測機)から送信されてきた映像が水上・航海用レーダーの表示装置の横にある小型モニターに表示される。

巨大な水柱が敵戦艦の百mくらい手前に形成され、別の砲弾が着弾し、新たな水柱が形成されるたびにそれが少しずつ敵艦に迫っているのがわかる。


そして…………モニターに表示される敵艦の艦橋の一部が一瞬だけ橙色の火焔に包まれる。そしてそれが収まるとそこからどす黒い煙を吹いて大きく炎上していたのである。

「何て威力だ…………」

俺がそう呟くと多くの航海科員が頷き、呆然としていたので、俺は自分達の持ち場へ戻る様に命じる。


霧島艦橋

『敵1番艦被弾落伍。2番艦、再び回避運動に入ります!』

戦闘指揮所(CIC)からその様な状況報告が入るとこの霧島の航海長である俺、多川少佐はそれに聞き入る。もし、敵戦艦の砲弾が直撃となればこの船、いや現代の艦艇は一部の装甲戦闘艦を除けば一貫の終わりだ。

なので戦闘指揮所(CIC)やハリアーから送られてくる情報を元に艦を精密に動かす。それが我々、航海科の仕事である。

そして…………

「敵が撃ったぞ、面舵一杯、右舷14時の方角へ迎え!」

俺がそう言うと操舵員が右に艦を動かし、これまた別の操舵員がスロットを適切な場所に動かす。既に現代の戦艦の砲弾の射程は技術革新もあって6~70kmと非常に長くなっている。

故に戦艦にとってミサイルと砲弾の使い分けが重要となっているのである。


「ふぅ…………凄いな」

俺がそう呟くと物凄い轟音が響き、4つのミサイルが雲を曳いて敵艦隊へと向かっていく。

つまりはこちらから対艦ミサイルが放たれたのである。


時を同じくして五島列島上空

F-2の操縦桿を握る俺、少佐の谷田賢が「ツバメ1よりツバメ及びシーガル中隊に告ぐ。目標感知、ミサイルの発射用意が整い次第発射せよ!」と言うと各機から『了解』と通信が入る。

「ツバメ1、フォックス1!」

俺がそう言うと愛機の主翼下から増槽(ドロップタンク)を捨ててから対艦ミサイルや中距離対空誘導弾を放つボタンを押してASM-1対艦誘導弾切り離され、目標へと飛翔していく。

他の機からもASM-1や2が放たれ、雲を曳いて飛翔する。


そしてしばらくすると俺は「お前ら、仕事は済んだ(弓は撃った)な?あとは逃げるだけだ!」と離脱を命じる。


グズっていたら敵艦や敵機のミサイルの餌食になる。

俺は一気に操縦桿を引くと重い増槽(ドロップ・タンク)を捨てて、対艦ミサイルが放たれて軽くなった機体は一気に上昇し始める。うん、やっぱり戦闘機乗りにとってはこう言う軽快な機動が一番、醍醐味を感じると思う。

そして俺はある程度の高度に達するとシーガル中隊隊長と両中隊選りすぐりのパイロットと共にチャフをばら蒔き、そのカーテンで味方の離脱の支援を行ったのである。


無論、韓国側もF-2を追撃すべくKF/A-29を送り込んでいたのではあるが、それを国防空軍のE-767(セントリーⅡ)早期警戒管制機(AWACS)に察知され、国防空軍のF-15及びF-2の2個混成戦闘機中隊と米太平洋空軍(USPAF)の近代化改修済みの嘉手納太平洋機構軍所属のF-15C及び三沢のF-16Cによる奇襲攻撃で撃破されていたのである。


長門戦闘指揮所(CIC)

「ツバメ、シーガル隊のミサイルが順調に飛翔しています」

電測員がそう言うと司令は「そうか。頼むぞ…………」と続く。


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