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1話

川邊昌一

年齢 39、階級 国防海軍少佐

職種 駆逐艦神通艦長(開戦時)

2006年5月2日

北九州沖合い

韓国軍の怒涛の攻撃が九州各地で行われる中、日本国防海軍の阿武隈型駆逐艦の神通は住民を避難させるフェリーの護衛を担当していたが、韓国軍の艦艇出現の報を受けて哨戒任務に就いていた。

神通戦闘指揮所(CIC)

「空軍の無人偵察機(プレデター)からの情報によると対馬より向かっているのは独島級戦艦1、駆逐艦3、フリゲート4の模様です」と通信員が言うと艦長の俺、川邊昌一少佐が落ち着いて「対水上戦用意!」と命じるも、俺の額は多数の汗で覆われていた。

(勝てる訳がない…………こっちは4隻。相手は8隻、加えて相手の士気は(悪い意味でも)旺盛だが、対するこちらは防戦で士気は下がっている、くそっ!)

そう俺は思いつつ「一応、対艦ミサイルの発射用意はしとけ」と命じたのである。

「無人機からの情報を分析した結果、おおよその敵の到着時刻は1時間以内です」と通信員が言うと艦長の俺は「主砲(81式76㍉速射砲)及びRAM(近接防御ミサイル)CIWS(ファランクス)の用意は出来たか?」と続き、射撃員は「はい。完了しております」と続くと俺は「よし」と続き、レーダー表示盤を睨む。

そして更に「大隅型揚陸艦(戦車揚陸艦)フェリー(徴用客船)の脱出は済んだか?」と続くとすぐに通信手は「完了しました!」と言い、すぐに俺は「両舷前進帆走!」と命令し、神通はゆっくりと進み出す。そして旗艦神通に続くように輸送船団が続き、後に同型艦阿武隈、川内と訓練支援艦佐多が単縦陣を組み、殿に敷設艦豊後が位置し、避難者を乗せた輸送船団(コンボイ)は関門海峡を進む。

そして小松と百里から駆け付けたF-15J(イーグル)戦闘機は船団の上空護衛に就いていた。

そして豊後以外を全ての船が関門海峡から瀬戸内海へ入ると同時に豊後は船尾ハッチを開放、一斉に係留式機雷を海へ放り投げ、これから来るであろう韓国海軍艦艇が関門海峡を通峡出来ない、いや掃海させると言う時間稼ぎの為に機雷をばら蒔いたのである。


数時間後、神通らは無事に呉へ到着一方、小松や百里から船団防空の応援に来たF-15は岩国か新田原へと向かい、次の作戦に備えたのである。


神通甲板上

(果たしてこれは勝利なのか?)

神通艦長の俺は呉の軍港に停泊する愛艦の甲板上で煙草に火を付けながら自問自答をした。

だが、軍港の埠頭を見ると北九州から避難してきた人々が安堵の表情を浮かべ、子供たちが無邪気な笑顔で手を振っていた。

そしてその瞬間、俺は勝利を確信した。国民を侵略者から守ると言う、ある種の“勝利”を掴んだと言う事に。


翌日、俺は神通から扶桑への転勤が命じられ、横須賀へ向かった。そして俺は世界最強と諸外国から畏怖される帝国の誉れ、原子力戦艦扶桑の砲雷長と言う大任を託されたのである。


2006年5月5日

日本海沿岸某所

強襲揚陸艦山城、イージス巡洋艦妙高以下、巡洋艦2、駆逐艦4からなる第3国防艦隊は哨戒任務

妙高戦闘指揮所(CIC)

砲雷長の俺、浜村新一少佐はモニターに映し出される様々な情報を見ていた。

するとソナー手が「推進音感知…………恐らく潜水艦です!」と言うと俺はすぐに「対潜戦闘用意!」と命じると艦内に大音量のアラームが鳴り響く。

するとソナー手は「音紋合致!韓国海軍の最新潜水艦、214級の模様!」と続き、第3国防艦隊の司令小牧少将が「よし、五月雨と夕霧からSH-60J(ロクマル)を上げろ」と命じる。

すると五月雨と夕霧はヘリを格納庫から甲板へ出してSH-60J対潜ヘリ(ロクマル)はすぐに空へと舞い上がる。


そしてもう1機が甲板へ出されて、発艦に備える。

(嫌な予感がするな……………)

俺がそう思うとすぐにソナー手が「新たに3隻、214型の存在が確認されました!」と続き、更に「魚雷発射音調知!」とソナー手が叫ぶと艦長は即座に「取り舵一杯!最大船速!」と命じ、艦橋の操舵手は『取り舵一杯!最大船速!』と復唱し、船は一気に加速する。

そして小牧司令は即座に「対潜ヘリは独自の判断による攻撃を実施せよ!」と命じ、ロクマルの搭乗員はすぐに『了解!』と言い、対潜戦闘に備える。

そして妙高含む8隻の艦艇は航跡欺瞞用のマスカーを稼働させて魚雷の接近に備える。

だが……………

ドォオオーン!!と言う物凄い音がすると妙高の斜め後方を航行していた雪風型ミサイル駆逐艦(※1)の雪風の艦中央部に水柱が上がり、水柱やその飛沫がやむと雪風の船体は前半分が沈みかけ、後半分が漂流していた。

艦橋から『こちら艦橋。雪風被雷!』と報告が入ると俺は「状況はどうだ?」と聞く。

すると『はっ!現在、雪風は前後に破断され漂流中です!』と続き、俺はすぐに「相手は恐らく二の矢を撃ってくる筈だ。各員、見張りを怠るな!」と見張員やソナー手に命じる。

するともう1隻から魚雷発射管が開く音が聞こえたので、すかさず艦長が転舵を命じ、短魚雷発射管から3本の97式有線誘導魚雷が放たれ、目標へ向かう。

それと同時にソナーが更なる敵潜を捉え、上空のSH-60は新たな敵潜がいる地点へ向かう。

だが、哨戒網をすり抜けたある潜水艦が続いて艦隊輪形陣の後方にいた初雪に対して魚雷を放ち、同艦の船体後方に直撃し、水柱が収まると初雪は漂流を始めていた。

とは言え妙高の放ったASROC及び短魚雷は少なくとも1隻を確実に撃沈し、2隻を不確定ながら撃沈し、何とか日本艦隊は日露間の通商破壊を狙った韓国軍の計画を阻止したのである。

※1雪風型駆逐艦

史実のたちかぜ型護衛艦。

天津風、夕風からなる天津風型ミサイル軽巡よりランニングコストや建造費が安く、船体番号164~170の7隻が建造された。

ネームシップの雪風を始め5隻が日韓戦争で失われている。

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